活動報告

第162回国会 衆議院 予算委員会 質疑(外交問題)

○甘利委員長 これより会議を開きます。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長知念良博君、公安調査庁長官大泉隆史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

○甘利委員長 本日は、外交・経済についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。茂木敏充君。

○茂木委員 

本日は、先週の案件もありまして、急遽設定をされた外交・経済に関する集中の審議であります。こういった形で与野党がそろって真摯に国政の問題を議論する大変貴重な機会だと思っております。

 そこで、北朝鮮そしてイラク問題を中心にしまして、小泉総理、町村外務大臣に質問させていただきたいと思います。

 まず、北朝鮮問題であります。

 先週の木曜日、午後三時に、北朝鮮の外務省のスポークスマンが唐突な声明を発表いたしました。極めて非建設的、遺憾な声明であった、このように私は考えております。声明のポイントは、御案内のとおり二点ございまして、まず、北朝鮮が自衛のための核兵器を製造したと初めて公の場で表明したこと、それから二点目に、六者協議への参加を無期限で中断すると一方的に表明したことであります。

 さらに、米国の第二期のブッシュ政権について、北朝鮮敵視政策に固執していると改めて批判をし、そして日本についても、拉致問題が解決済み、遺骨問題は捏造、日本が日朝平壌宣言を白紙に戻したなど、事実とは全く異なる極めて不当な批判を行い、日本の六者協議への参加を認めるのは困難との一方的な立場を主張しております。

 小泉政権の北朝鮮政策の基本姿勢、私なりに理解すれば三点あると思っております。

 まず第一点は、戦後日本外交の残された懸案であります日朝国交正常化の早期実現の問題。そして二番目に、二度にわたる総理の訪朝初め、誠意ある交渉を通じた包括的問題の解決。そして、ヨーロッパでは既に冷戦構造が終わっております。東アジアにおける二十一世紀の新たな安全保障環境の構築とそのための六者協議の推進。こういう三点が私は基本である、こんなふうに考えております。

 そして、日本や六者協議の参加国が、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題の包括的解決にまさに真摯に取り組んでいるこの時期、今回の北朝鮮外務省スポークスマンの声明は、日本を初めとする関係国の外交努力や国際社会の期待に逆行する極めて遺憾な対応であると、国権の最高機関、この国会の場におきまして、まず厳しく非難、強く抗議をさせていただきたいと思います。同時に、時代おくれの瀬戸際外交、さらに、北朝鮮のおどしは、我が国にも国際社会にも全く通用しない、そのことを明言させていただきたい、そのように考えております。

 そこで、まず、この北朝鮮問題に歴代の総理の中でもだれよりも情熱を傾け真摯に取り組んでこられた小泉総理が今回の北朝鮮の声明をどう受けとめられたか、御所見を伺いたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 詳細につきましては後ほど外務大臣からも答弁あると思いますが、私は、今茂木議員が言われたような主要な指摘、そのとおりだと思っております。

 まず、今回の北朝鮮側の声明については、これは問題がある。北朝鮮にとって決して利益にはならない。日本としては、日朝平壌宣言というのは両国の正常化に向けて重要な政治文書でありますし、将来、北朝鮮と日本との間に正常な関係を結ぶということが両国にとって利益になることである。同時に、この正常化を実現するためには、拉致の問題、核の問題、ミサイル等の問題、これを総合的、包括的に解決することが前提である。

 そして、なおかつ、この北朝鮮との問題は、日本と北朝鮮との二国間だけの問題ではありません。お隣の韓国はもちろん、アメリカ、中国、ロシア、いわゆる北朝鮮との隣国である関係諸国との問題を考えますと、北朝鮮にとっても、北朝鮮を含めた六カ国協議という場は、将来の発展のためにも良好な関係をこの五カ国と結んでいくということは極めて重要であり、北朝鮮にとって最も利益になるのではないかという観点から、私は、それぞれの関係の、米朝二国間、あるいは韓国との関係、中国との関係、ロシアとの関係を含めたそれぞれの国との関係と同時に、六カ国協議の場を重視していくことが北朝鮮にとっても利益になる、そういう観点から交渉を進めてきているわけであります。

 しかし、今回、北朝鮮の新たに発出されました声明というものに対しましては、その表現された文章だけをとってみれば問題であるというのは事実であります。しかし、同時に、過去の北朝鮮側の正式な発表ぶりとそこに秘められた真意というものもやはりよく考えて判断していく必要があるということを考えますと、今後とも、この問題につきましては、早く北朝鮮側が六カ国協議の場に出てきて、国際社会の一員に加わることが最も北朝鮮にとって利益になるという働きかけを、今後も中断することなく、日本政府としては働きかけていく必要があるというふうに考えております。

○茂木委員 北朝鮮はこれまでも、核抑止力、こういった表現で核保有の可能性を何度も示唆してきましたが、公の声明として核の製造に言及したのは今回が初めてであります。もちろん、瀬戸際外交、これを多用しまして、交渉の過程で緊張を高める発言を行う、これは北の常套手段でありまして、北朝鮮の言動一つ一つに動じることなく、まさに今の総理の答弁のごとく、冷静かつ毅然たる対応をとることが今最も重要だ、そんなふうに私も考えております。

 そこで、まず事実、状況の確認でありますが、日本もこれまでも関係国と緊密な情報交換を続けて、北の核開発については情報の把握をしっかりと進めている、このように考えております。また、先ほど総理の答弁の中にもございましたが、今回の声明の全文を注意深く読んでみますと、行間からは、どうにか米朝の二国間協議を実現したい、こういう意図も読み取れるわけであります。

 そこで、今回の北朝鮮の発言の意図、そして実際の北朝鮮の核開発、保有の状況につきましてどう分析をされているか。もちろん、ここは外交そして安保の秘密会ではありませんので答弁の限界もあるかと思いますが、町村外務大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。

○町村国務大臣 先ほど総理から包括的な御答弁があったことでございます。

 若干これを補足することを含めて今の御質問にお答えをしたいと思っておりますけれども、一言で言いますと、この核の保有宣言という声明でありますが、日本政府としてはまことに遺憾な声明である、こう思っております。

 なぜならば、先ほど総理が言われたように、六者会合を通じて核問題を平和的に解決するというのが関係国すべての基本姿勢でありますし、また、そのために外交努力を傾注しているさなかであるわけでありまして、まことにそういう意味で遺憾であると言わざるを得ないわけでありまして、これは、日本が位置している北東アジアの安全にとって直接的な脅威であるだけではなくて、国際社会が今全体でこうした核の拡散、国際的な不拡散の努力をしている、それに対する深刻なる挑戦である。そういう意味からもまことに容認できない、こう思っているわけであります。

 では、本当に核を持っているのかどうなのかという、今、委員からのお尋ねでありました。

 今まで累次の、いろいろ北朝鮮の発言があります。あるいは、アメリカのCIA長官の発言等々があるわけでありますが、そうしたことを総合的に勘案しますと、北朝鮮が兵器化し得るプルトニウムというものを相当量持っている、そして核兵器を保有している可能性は確かにあるんだろうと思います。しかし、その現状について、これであるという確定的な判断をしている国はありませんし、日本もまた同様でございます。

 しかし、いずれにしても、先ほど申し上げましたようなこうした発言というものは国際社会に対するまさに挑戦でございまして、今後、こういったことを平和的な手段を通じて解決していくということを強く求めていきたい、そのために関係諸国とも緊密なる連携を続けていこう、かように考えております。

 多分、きょうかあしたぐらいに韓国の外務大臣がアメリカにおいてライス長官との話し合いを行うはずであります。先ほどの理事会でも、この週末、私と大野防衛庁長官がワシントンに行って、いわゆる2プラス2に出席をすることを予算委員会のお許しを得たと聞いたところでございますけれども、ライス長官とまた一対一で話し合う機会もあろうかと思いますので、この北朝鮮の問題を当然しっかり取り上げていきたい、また中国の外務大臣とも近々電話等で連絡をとり合いたい、こう思ったりもしております。

 さまざまなルート、大使館ルートもございます。しっかりと関係国と足並みをそろえながら、この問題に冷静に、しかし毅然と対処していきたいと考えております。

○茂木委員 国際社会との協調、それから六者協議のお話が出たわけでありますが、今回の声明の中で、六者協議については無期限でその参加を中断すると一方的に声明している北朝鮮でありますが、これは明らかに誤った判断である、私もそのように今考えております。私も外務副大臣時代、この六者協議には立ち上げの段階からかかわってまいりましたが、六者協議は北朝鮮の核問題を平和的に解決する現実的かつ有効な枠組みでありまして、総理もおっしゃったように、六者協議の中断は北朝鮮にとっても何らプラスの方向に向かわない非生産的かつ全く誤った方向の対応である、このように考えております。

 そこで、今回の対応につきまして、外務大臣の方から一部既に答弁もございましたけれども、特にこういう時期こそ関係国との緊密な連携が必要でありまして、確かにアメリカとのバイの会談もあるわけでありますけれども、まずは日米韓、この三カ国の協議、これも私は早急に行うべきだ、こんなふうに考えております。

 同時に、北朝鮮に大きな影響力を持っております中国、中国は近く共産党の幹部をピョンヤンに派遣する、こういう予定も聞いております。また、今、日本には六者協議の議長を務めた王毅次官が大使として赴任もしているわけであります。ぜひ中国との協議も早急に行っていただきたい、このように考えておりますが、改めて外務大臣にお伺いいたします。

○町村国務大臣 今茂木委員御指摘のように、今、中国、韓国等は春節というんでしょうか、旧お正月の期間のようでございますが、来週ぐらいにこの休みが明ける、そんなことで、時期はまだ定かじゃないようでございますが、来週早々にも中国共産党中連部の部長が北朝鮮を訪問するという話を聞いております。それを見ながら、今お話のあった中国を含め、実務者といいましょうか、例の六者協議の代表者会議というのがあるわけであります。私どもはアジア大洋州局長がその任に当たっておりますが、そうしたレベルでの会合を開いてはどうかという話を、先般、私、韓国の外務大臣と電話で話をした折、そんな提案もしたところであります。またさらに、必要あらば、今度は閣僚レベルの会合もしかるべきタイミングで開く必要もあるんだろう。

 韓国、アメリカ、そして日本、この三者、伝統的に足並みをそろえてやってまいりました。そして、今お話しのように、やはり中国の影響力というものが、歴史的にも、あるいは経済的にも、あるいは地理的にも大変深い関係がある。したがって、中国のより大きな影響力の発揮というものも当然期待をするわけでありまして、さまざまなレベル、さまざまな組み合わせで今後会合を重ねていって、できるだけ早い無条件の北朝鮮の参加を求めたい。

 なお、国際会議レベルでいいますと、三月の二十八日から三日間ほどIAEAの理事会が開かれるという予定も立っておりまして、この場においても関係国としっかりとした話し合いをしていく必要があるんだろう、かように考えております。

○茂木委員 三月の二十八日のIAEAの理事会のことに関しまして、私も昨年IAEAの総会に出ておりまして、いろいろな議論、また提言もこの後させていただきたい、こんなふうに思っております。

 この六者協議につきましては、北朝鮮以外の五カ国は意見が完全にまとまっているわけです。中国もそうでありますし、ロシアにしても、早急に復帰すべきだと。まさにまとまっていることでありますから、早急に関係国の間の明確なメッセージを北朝鮮に送る、このことが私は極めて重要だ、こんなふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、拉致問題に関連してお尋ねをしたい、こんなふうに思っております。

 これまでも拉致問題に対します北朝鮮の対応は極めて不誠実でありましたが、今回の声明で北朝鮮は、この拉致問題につきまして、既に解決した拉致問題にかこつけてにせ遺骨問題まで捏造などと、極めて不当な言及を行っております。この問題で説明責任があるのは日本ではありません。だれの目から見ても明らかに北朝鮮の側であります。

 その一方で、私は、日本の国内でこの問題に関しまして、政府についてもっと厳しい毅然たる対応をとるべき、こういう声が起こる一つの要因として、外務省がこれまで北朝鮮への抗議、そしてまた働きかけ、さまざま行ってきていると思いますが、それがなかなか国民に十分説明されていない、国民に届いていない、これも一つの要因になっているのではないかな、こんなふうに感じております。

 そこで、町村外務大臣に、このにせ遺骨問題の発覚以来、先週の木曜にもいわゆる備忘録に対しましてしっかりした抗議をされた、このようにも聞いておりますけれども、どんな形で一連の抗議なり働きかけをしてきたのか、このことを改めて国民の皆さんにもう一度説明していただきたい、こう思います。

 また、拉致問題に関連しましては、期限を区切って経済制裁をすべき、このような声が高まっております。そして、今回の声明を受けまして、自民党だけではなくて、国民世論全体としてそういった声が一層高まっている、このように私は認識をいたしております。

 そこで、今回の北朝鮮の極めて不当な声明を受けて、政府として経済制裁について現時点でどのように考えていらっしゃるのか。もちろん、経済制裁といいましてもさまざまなレベルのものが考えられるわけでありまして、それらも含めて、現時点での考え方をお聞かせいただければと思います。

○町村国務大臣 一つ、先ほどIAEA、三月と私言ったが、間違えました。失礼しました。二月の二十八日から三月の二日でございますので、ちょっと訂正をさせていただきます。

 拉致の問題についての北朝鮮の対応でございます。昨年、三回実務者レベルの会合をやり、さらには局長級の会合を十一月にやり、そして、いろいろな、遺骨と称するもの、さらには幾つかの証拠物件を持ち帰り、それを分析していたわけでございますが、十二月の下旬に、それに対して、その遺骨が横田めぐみさんのものではないというDNAの鑑定結果、これは日本の最も権威ある機関でやったもの、これはまさに横田めぐみさんのものではないという鑑定結果がはっきり出た。

 その他の証拠の物についても、八名が亡くなった、二名が入国をしていないという説明を立証するにはほど遠いものばかりであったということであったものですから、日本国政府から先方政府、現実には、中国にあります日本大使館から、同じく北京にあります北朝鮮大使館に、その文書とともに、鑑定結果を含めて先方に渡し、そして、こうした不誠実な対応が続くのであれば私どもとしては厳しい対応をとることになるということを、先方に明確に文書をもって伝えたところであります。

 これに対して、先月になって、北朝鮮からいわゆる備忘録と称する、日本の主張というのはすべて捏造であり、あるいは悪らつなデマであり等々、いつものパターンの反論が返ってまいりましたので、改めて、警察庁等とも相談をした形で我が方からの回答を行ったところでございます。

 私どもとしては、基本的に、対話と圧力という基本的な考え方に立ちまして、北朝鮮に対して誠意ある対応を求める、そして、関係する国々にもこの問題を常に提起をして、およそ人道的観点からいっても、あるいは国の主権が侵されたという意味でもまことに許しがたいこういう行為が現実にあったし、いまだにその問題が解決していないということを諸外国にもPRをし、国際社会に対して協力を求めてきているところでございます。

 そういう中で、全体のこれまでの北朝鮮外交は、先ほど委員がまさに言われたように、拉致の問題一つをとりましても、まず五名の方々が帰国をされた、さらにその家族も帰国が実現をしたという成果は私はあったと率直に思っておりますが、さらに安否不明の被害者の方々について、依然として先方の対応というものが極めて不誠実であり、およそ納得的なものではないということでございますから、私どもとしては、まず生存される方々を一刻も早く帰しなさい、さらに真相究明のための必要な、真実を明らかにする手段で説明を求めるということで、今、先方に対して対応を求めております。これはもちろん、いろいろなルートでの接触というものがあるわけでございまして、そうした形で今私どもはやっております。

 そして、委員御指摘のように、制裁ということが大変強く御意見として出されてきているのも私もよく承知をしております。昨年一年間でも、国会の発議という形で制裁の法案まで通していただいた。

 したがって、私どもは、この厳しい対応の中に当然経済制裁、あるいはいろいろなレベルの制裁というのがあると思いますが、そういったものも含まれるという考え方に立って、今私どもはさらに先方の誠実な対応を求めるということでやっているわけでございますが、いつまでもただじっと黙って誠実な対応を求めるとだけ言っているわけにもまいらない、かように思っておりまして、今後さらに先方の出方を見ながら、最も効果的なタイミング及び方法について、今後とも具体的な対応というものを政府部内では検討している。しかし、今直ちにこの時点で制裁を発動するという状況にはいまだ至っていない、かように判断をしているところでございます。

○茂木委員 北朝鮮の備忘録を見ましても、余りにもずさん、それから誠意を欠いた回答だ、そんなふうに私は思っております。

 この拉致問題、恐らく二、三年前、例えば海外に行って、アブダクション、拉致という言葉を使っても、何のことですかという方が多かったんですが、それは、国内でも家族会の皆さんの働きかけ、そしてさまざまな外交努力によりまして、今、海外の主要な人にアブダクションの話をしますと、きちんと理解をしていただける段階にまで来ております。そういった、国内世論だけではなくて国際世論というのも整いつつある。さらに、きょうこの時点で経済制裁について世論調査をとったら、恐らく、私は、国民の八割、九割の皆さんが、経済制裁を実施すべき、こういう回答をされるんじゃないかなと思います。そういった世論もしっかり受けとめて対応していただきたい、このように考えております。

 先ほど、総理の方から対話と圧力の問題について御発言もございましたが、私は、外務副大臣時代、外務省内で、この対話と圧力、こういう対処方針を最初に提起させていただいた一人でありまして、この基本方針の中で導入した圧力というものの考え方でありますが、もちろん経済制裁、これも大変有効な圧力の手段でありますが、まさに北が圧力と感じる手だてをタイムリーかつ毅然たる対応でとっていく、このことが極めて重要だ、こういうふうに考えております。

 この観点からいたしますと、北の核問題を国連安保理に提起することは今極めて有効な圧力である、このように私は考えております。日本は、ことしからまた安保理のメンバーになったわけであります。そして、北朝鮮が一方的に中断をしました六者協議への復帰、先ほど申し上げましたように、中国やロシアも強く呼びかけている、こういう問題でございます。

 また、北朝鮮は、これまでもNPT、そしてIAEAの保障措置協定に違反をしてきておりまして、さらに今回の声明でまさに核兵器の製造を宣言している。宣言している以上、北朝鮮の核問題の安保理への提起は極めて妥当であり、早急に検討、準備に入るべきだ、私はこのように考えておりますが、外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○町村国務大臣 今委員がお話しのとおり、アメリカもまたその他の関係国も、日本もまた同様でありますが、六者協議の再開、これに無条件に北が応ずるべきである、こういうポジションでありますし、また北朝鮮自身も、あの声明をよく読んでみると、六者会合のプロセス自体を否定しているわけではないというふうに読めるわけでございます。

 したがいまして、私どもは、今なすべきことは、関係国と協力をしながらこの六者協議の再開に向けて最大限に努力をすることであろうということで、今直ちに六者協議から国連安保理へと移る段階には現状はないだろう、こう思っております。

 しかし、そうした今後行われるであろうさまざまな外交努力にもかかわらず、北朝鮮が何ら対応を示さない、あるいは状況がさらに悪化をするというような状況があろうかと思います。そうなった段階で、この安保理への付託というものも選択肢の一つとして関係国で検討されることはあるんだろうと思いますが、しかし、現状では、今まだ直ちに安保理に持っていくという状況にはないのではなかろうか、かように受けとめております。

○茂木委員 私も、何もこの六者協議を飛ばしてすぐに安保理に付託、こういう話を申し上げているわけではなくて、六者協議が重要である、そしてそれが実現しなければ必ず安保理に行きますよ、こういうメッセージが必要であり、それについては中国もロシアもこの六者協議が重要で戻ってきなさいと北朝鮮に呼びかけている、こういう事実を重く受けとめてほしい、こんなふうに考えているところであります。

 さて、北朝鮮は今回の声明で、日朝平壌宣言に関しまして、日朝平壌宣言を白紙に戻し、国交正常化をしないという日本といかにして一堂に会して会談を行えるであろうか、こんなふうにしているわけでありますが、核問題にしましても拉致問題につきましても、日朝平壌宣言に違反しているのは明らかに北朝鮮であります。その一方で、解釈でありますが、改めて今回の声明でも日朝平壌宣言に北が言及していること自体、最低限この宣言の重みについては北朝鮮も認識をしている、このようにも考えられるわけであります。

 さまざまな問題がある、さまざまな困難がある、そういうことを十分認識した上で、まさに政治決断で、日本の総理として初めて北朝鮮を二度にわたって訪問し、一回目は直接日朝平壌宣言を交わされた小泉総理として、今回の北朝鮮の対応をどうとらえていらっしゃるのか。また、今後、北朝鮮の対応をしっかりと改めさせ、そして日朝平壌宣言をしっかりと履行させ、国交正常化交渉を進展させていくためにどのように取り組んでいかれるのか。改めて、総理の強い決意と明確な答弁をお願いしたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 日朝平壌宣言というものを私と金正日氏の間で署名し、これを将来の日朝国交正常化につなげる重要文書であるという認識を持っていることについては、私は、今でも有効であると思っております。

 しかし、最近の北朝鮮側の言動を見ていますと、この日朝平壌宣言の精神に反している面が見られるということも、問題があると思っております。要は、この日朝平壌宣言の精神というものをいかに現実に実施していくかということについては、やはり粘り強く、忍耐強く、お互い誠意を持って対処していこうという努力が必要ではないか。

 今、確かに、北朝鮮側の発言につきましては、我々としては納得できない面が多いわけでありますが、かといって、日本側との正常化を望んでいないかというと、そうでもない。六カ国協議、無期限中断すると表面的には言っておりますけれども、果たして、中断して北朝鮮にとってどんな利益があるのかということを考えると、何ら利益がない。そういうことを考えますと、先ほど申し上げましたように、公式的に発言している面と、やはり交渉の扉はあけておきたいという真意もよく見ておかなきゃならない。

 そういう観点から、引き続き我々としては、六者協議に応じるような働きかけ、そして将来、日朝国交正常化というのは、両国だけでなく朝鮮半島全体にとって、平和的、実現していくことが世界の安定のためにも重要ではないかという努力を今後も続けていかなくてはならないと思っております。

○茂木委員 今回の北朝鮮の声明、冒頭申し上げましたように、極めて遺憾な声明であります。そういった中で、北朝鮮をいかに正しい方向に引き戻すか。六者協議を含め、さまざまなツールを日本としても持っているわけであります。また、関係国も持っております。そういったことを矢継ぎ早にきちんと実行していく、このことが、まさに今、日本外交の真価が問われる、こういう状況ではないかなと思いますし、そして、それをピョンヤンに対して明確なメッセージで送っていく、こういうことが重要だ、私はこんなふうに考えております。

 ところで、総理、キューバ・ミサイル危機を題材にした「13デイズ」という映画をごらんになられたことはございますか。見た。私も何回か見ましたが、ハイライトシーン、これは、一九六二年、今から四十三年前になるわけでありますが、十月の二十二日に、アメリカのケネディ大統領がテレビ演説で、キューバに対する海上封鎖を表明する、ここのところがハイライトシーンになってくるわけであります。

 この決定に至りますさまざまな過程につきましては、ケネディ大統領の弟、ロバート・ケネディ氏が「サーティーンデイズ」という小説の中で細かく書いているわけでありますが、さまざまな選択肢の中でとられたこの海上封鎖、実は、西ベルリンに対する封鎖、これに飛び火することを考えまして、ブロッケードということではなくて、実際にはクアランティーン、隔離、こういう言葉を使ったわけでありますが、この海上封鎖、具体的な行動であると同時に、これはアメリカが、キューバに絶対に戦略的な核の基地をつくらせない、こういうクレムリンに対する明確なメッセージであった、このように私は考えております。

 実際には、この海上封鎖から一週間後、十月の二十八日に、当時のフルシチョフがケネディに対しまして、キューバの攻撃的な兵器の撤収を行う、こういう回答を寄せまして、世界をまさに核戦争の瀬戸際まで追い込んだこのキューバ・ミサイル危機が一段落をするわけであります。

 私は、計算された毅然たる行動、そして対応、これはまさに外交上の明確なメッセージなんだ、こんなふうに考えております。ぜひ日本政府がピョンヤンに対して明確なメッセージを送る、このことを改めて強く要望させていただきたい、こんなふうに考えております。

 時間の関係で、引き続きイラクの問題についてお尋ねをしたい、こんなふうに思っております。

 私は一昨年、外務副大臣時代に、二度にわたってイラクのバグダッドを訪問いたしました。最初は、一昨年の三月、イラク戦争直前に小泉総理の特使としてバグダッドを訪問しまして、イラクが国連の査察を全面的に受け入れることが戦争を回避する上で非常に重要なんだ、こういう交渉役を任されて参りました。当時のフセイン政権のタリク・アジズ副首相と、二時間にわたる大変激しい議論、交渉を展開したわけであります。

 交渉の過程では、アラビア語、日本語、そして途中には英語も入り乱れる、お互いに話し合う、こういう激しい交渉の中でその通訳をやってくれたのが亡くなった井ノ上書記官でありまして、こっちがしゃべっているときに相手は割り込んでくる、そういう状況が何度もあったわけでありますけれども、あの童顔に似合わず、絶対に自分の仕事、通訳の仕事はやめない、大変立派な姿勢で通訳に取り組んでくれました。本当に有能なアラビストだった、そんなふうに私は井ノ上書記官について今でも考えております。

 また、私が五月、戦争の直後、バグダッドを訪問したとき、会談、そして現地での視察、これのアレンジをしてくれたのが亡くなった奥大使でありました。

 私と、当時のORHA、CPAの長官でありましたブレマー長官の会談は朝行ったわけでありますが、その直前に奥大使が、茂木副大臣、一つだけぜひ聞いてほしいと。イラクの復興にだれよりも情熱を傾けていた奥大使が私に言った言葉を非常に今でも鮮明に覚えております。それは、CPAとしてエグジットストラテジー、つまり出口戦略というものをどう考えるのか、このことをぜひ聞いてほしい、これが奥大使の言葉でありました。会談では、ブレマー長官は赴任直後、実際には長官としての初仕事が私との面談、こういうことで、なかなか出口戦略について明確な回答はその時点ではなかったわけであります。

 あれから二十カ月がたちました。イラクでは今でも、残念ながら治安の状況が改善しない、こういうことが続いております。政治プロセスでいいますと、選挙が実施されたり、この後の憲法の起草、そしてまた国民議会ができる、一定の進展、こういうものはあるわけでありますが、しかし、いまだ出口戦略というものが明確に見えていない。これがイラク復興の最大の問題点ではないかな、こんなふうに私は考えているところであります。

 そこでまず、政治プロセス、こういう視点から今回のイラクの国民議会の選挙の評価についてお伺いをしたい、こんなふうに考えております。

 イラクは、人口が二千七百万人、そして国内の二十歳以上の有権者が千四百万人、プラス在外で百万人。この千五百万人のうち大体千三百万人が有権者登録をいたしまして、八百万人が投票した、こんなふうに言われているわけであります。投票率でいいますと六一%。

 日本の国政選挙より投票率が高いということでありまして、昨年七月の参議院ですけれども、選挙の投票率が日本では五六・五七%、一昨年の衆議院選挙でいいますと小選挙区の投票率が五九・八六%、いずれも六割に達していない。それから、去年あれだけ注目を集めたアメリカの大統領選挙、これも投票率は五八・九%、こういう段階であります。

 イラクの近隣諸国、最近の選挙を見てみますと、アフガニスタン、日本も支援しまして、二〇〇四年、昨年の十月九日、大統領選挙が行われました。このとき非常に高くて、七一%の投票率ということでありました。また、イランでも去年の二月に国政選挙が行われておりますが、この全国の投票率は五〇・五七%、こういうことでありまして、先進国それから近隣諸国と見ても、今回の投票率そのもの自体は決して低くなかったんじゃないかな。在外に限ると、この百万人のうち九三・六%が投票した。実に驚異的な数字じゃないかな、こんなふうに私は考えております。

 その一方で、今回の選挙に当たりましては、テロリストの妨害、こういうこともございました。また、スンニ派の一部が選挙に参加しない等々の問題点も残ったわけであります。

 そこで、今まさにこの時間に最終結果が出るか出ないか、こういうタイミングであるかと思いますが、今回のイラクの国民議会の選挙の結果、どう評価しているのか、外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

○町村国務大臣 国民議会の選挙、これからのイラクの動向を左右する大変重要な第一歩を踏み出した、こう思っております。この実現に向けて努力をした暫定政府の皆さんはもとよりでありますが、ある意味では危険な状況をも顧みず、非常に数多くの方々が列をなして投票に行った。そのイラク国民の民主化への情熱、独立した国家への情熱というものを私どもは高く評価したいし、これに協力した国連を初めとする関係国、関係機関の努力というものもやはり正当に評価されるべきであろうと思います。

 結果でございますが、二月の十三日ですから昨日ですか、ちょっと時差の関係がはっきりいたしませんが、イラクの独立選挙管理委員会の暫定結果というものが発表になったところでございます。これによりますと、投票率は約五八%ということでございまして、六割にはちょっと欠けたような感じがいたしております。

 そのうち、統一イラク連合、これはシーア派のアヤトラ、シスターニ師の承認を受けているという最大のグループ、これが大体四八%程度ということで、五割近い、あるいは五割前後の票をとったということ。第二位がクルド同盟、これが二六%前後ということ。三位がイラク・リストという、これはやはりシーア派で、アラウィ首相に近い人たちが一四%程度。それからイラク人党、これはヤーウェル大統領の、これはスンニ派でございますが、二%前後といったような結果が出たようでございまして、ある意味では予想どおり、大変なシーア派の圧勝の姿。クルド人の方も、二割の人口の中から二六%という大変高い率になったというのは、やはり投票率が高かったのかな。そのような結果が出ているようでございます。

 いずれにいたしましても、大変重要な第一歩を踏み出した。今後の政治プロセス、しっかりと進んでいくように、先ほど委員お話しのとおり、憲法制定、あるいはそれを承認する投票、またその憲法に基づく国民議会の選挙ということで、あと二回大きな国民投票があるわけでございまして、それぞれ大変なことだろうと思っておりますが、国際社会一致してそうしたイラク人による国づくりをしっかりと支えていきたい、かように考えております。

○茂木委員 かつて、アポロの船長でありましたアームストロング船長は、月に到達するときに、一人の人間にとっては一歩だけれども人類については大きな一歩だと。私は、中東の平和と安定にとって、このイラクの国民議会の選挙はまさに大きな確かな第一歩であった、こんなふうに考えております。

 日本は、これまでイラクの支援に関しましては、自衛隊の派遣そしてODAの活用によります人道復興支援、これを車の両輪としてしっかりと展開をし、また日米同盟そして国際社会との協調、このバランスをとれた形の両立を目指した支援を進めてきたわけであります。今回、民主的な選挙がイラクで歴史上恐らく初めてということでいいんだと思います、行われたということは、確かな成果が上がっている、このことは間違いないんだと思います。

 そこで、これからどうしていくかということでありますけれども、私は、今後のイラクの安定と復興のためのキーワードは三つある、こんなふうに考えております。まず第一に、政治的には、国民の幅広い代表ということであります。また二つ目に、社会的には、みずからの手による治安の回復ということ。そして三つ目に、経済的には、目に見える生活の改善。これが三つのポイントである、こんなふうに考えております。

 そこで、まず、国民の幅広い代表という観点から今後の新政権樹立に向けての動きについてお聞きをしたい、こんなふうに思います。

 今後のプロセスとしましては、今回の選挙で選ばれた二百七十五名で構成されます国民議会が大統領と二人の副大統領を選ぶ、そしてこの三者が首相を指名しまして、その首相の推薦によりまして閣僚が指名をされる、こういうプロセスになっていくんだと思います。

 そして、先ほど選挙の結果につきまして外務大臣の方からございましたけれども、イラクはシーア派が約六割、そしてスンニ派が二割、そしてクルド人が一七%、さらにはたくさんの少数民族もいるわけであります。

 今後、イラクの政権の安定、さらに憲法の起草以降のプロセスをしっかり進めていくためには、各宗派の代表さらには民族の代表がバランスよく政権の中に入ってくる、このことが極めて重要なのではないかな、こんなふうに私は考えているわけでありまして、ぜひその点についての外務大臣の見解を伺いたいとともに、もちろん内政干渉という形になっては困るわけでありますけれども、国際社会として、こういったバランスのとれた政権をつくっていくためにどのような働きかけが可能なのか、このことにつきましてもあわせて御意見を伺えればと思います。

○町村国務大臣 まず、国際的な働きかけの方から申し上げますと、昨年十一月にエジプトのシャルムエルシェイクという場所で、イラクはもとよりでございますが、周辺国及びG8の各国ということで関係国が集まりまして、国際社会で協力して、まず選挙を成功させようという会議を開きました。

 私も機会を得ましてそこに参加したわけでございますが、確かに、その中でも、選挙はちょっと延期した方がとかいういろいろな声が内々あったことは事実でありますが、しかし、予定どおり実行して今回のような成果をおさめた。このプロセスをもう一度どこかでやろうという内々の話が今始まっておりまして、そんなに遠くないうちに、そうした国際社会からの働きかけというものが出てくると思います。

 それから、もう一つ大きいのは、だんだん重要性を増してくるのが、やはり何といっても国連でございます。国連のアナン事務総長も、今後のイラクの政治プロセス、治安の状況を見ながらということはあるかもしれませんが、次第に国連の方々のプレゼンスをふやしていくというような形で、国連が今まで以上に、より大きな役割を果たしていくということが必要なんだろう、こう思っております。

 それから、今委員が言われた三つの点、本当にそれぞれ重要な今後のイラクの国家としての命運を担う三つの大きなポイントを指摘いただきました。そのとおりだろうと思います。

 その第一の、バランスのとれた代表ということであります。

 議会は議会として、一応選挙結果があるわけでありますが、それはそれとしてと言っちゃいけませんけれども、その機能をさせるものとして、同時に、例えば大統領と首相と議会の議長、これをどんなバランスで主要なグループに配分するかとか、あるいはそこに至る以前に、もう既に大統領あるいは首相が努力をし始めているようでございますが、いろいろなグループ、いろいろな宗派の代表との水面下あるいは水面上の話し合いも既に行われていると私ども承知をいたしております。

 そういう意味で、各派のバランスはとれた形で今後の憲法制定作業が行われ、そしてまた次なる投票が行われるというふうにさせる、そういう方向に進んでいくのが非常に重要だ、こう思います。

 そして、そのことが先ほど言われた治安の回復のいわば大きな土壌をつくるという意味で非常に重要なんでありましょう。そういう形が必要だということは、いろいろなまた国際的な構成員からもイラク政府に発言が届いております。私どもの在バグダッドの大使からも先方政府に対するそうした意図も内々伝える等の外交努力もやっているところでございますが、今後とも、今、委員が言われたような幅広い代表が今後のイラクの統治機構の中にしっかりと組み込まれていくように努力をしていただきたいと心から願っているところであります。

○茂木委員 二つ目のポイントの治安の問題でありますけれども、イラクの治安情勢につきましては、一昨年の八月の治安情勢の悪化以来、残念ながら一進一退、こういう状況が続いているわけであります。もちろん、イラクの治安の回復には、政治が安定することを含め、さまざまな課題というのがあるわけでありますが、私は、大きな方向として、治安ということでいいますと、やはり今のアメリカであったりとか多国籍軍による治安対策から、だんだんイラク人みずからの手による治安改善、こちらの方向に移行していく、このことが重要なんだ、こんなふうに考えております。

 このためにも、恐らく今、十三万六千人と言われますイラクの警察の能力の向上、このことが極めて重要でありまして、またイラクは、イラク警察、装備の状況、これが不十分でありまして、私は、副大臣当時から、車両、そしてまた通信、そして電気、具体的に申し上げると、パトカー、トランシーバー、小型のジェネレーター、これの日本からの供与がイラクの警察能力を向上させる上でも極めて重要だ、こんなふうに主張してまいりました。

 また、人材の育成、トレーニング、こういうことも重要でありまして、外務省としても、今そういった機材の提供であったりとか人材の育成にもしっかり取り組まれているということでありまして、私は、そのスピードを加速していただきたい、こんなふうに考えております。時間の関係で要望だけさせていただきたい、こんなふうに思うわけであります。

 そこで、最後に、イラクの復興問題について総理の方にお伺いをしたい、こんなふうに考えております。

 私は、一昨年、イラクを訪問したときに、イラクには日本の遺産というものがたくさんある、こういうふうに感じました。日本の遺産、つまり日本の経済協力であったりとか、日本企業がつくった病院、発電所、変電所、通信施設、これが至るところに見られるわけであります。

 実際に私も、奥大使の案内で、十三の病院、大きな病院を日本がつくっておりますが、その中の一つ、イラクのバグダッドの北部にありますカーズミーヤ記念病院、そちらを視察してまいりました。中に入ると、日本庭園があったりとか、機材もほとんど日本製、こういう状況であります。まさに私は、この日本の遺産を復興する、このことがイラクの復興にもつながっていくのではないかな、こんなふうに感じているところであります。

 同時に、今後、イラクの問題を考えると、教育の問題が極めて重要になってくるのではないかな。日本の場合、今、アフガニスタンでも、バック・ツー・スクール・プログラム、これをユニセフとともに実行しまして、大変高い評価も得ております。こういった経験もイラクで十分生かせるのじゃないかな、こんなふうに私は考えます。さらに申し上げると、これも地域を限定して、例えばサマワ周辺であったりとか、そういう地域で復興のモデルをつくっていく、成功例をつくっていく、それを全国に広げていく、こんなことも極めて重要なんではないかなと考えております。

 そういったイラクにおける遺産を復興していくんだ、さらには教育であったりとか、日本が得意な分野でしっかり支援をしていく。このことは、私がバグダッドを離れるときも奥大使に、しっかりやるからね、こういうことで約束をしてきた分野でありますので、ぜひ進めていただきたい。

 これまでの議論をお聞きになられて、総理の御所見、またイラクの日本の遺産を再生する、これについてどうお考えか、承りたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 今のお話を伺っておりまして、日本の過去のイラクとの関係、遺産という言葉にも触れられましたけれども、この友好的関係、日本の支援がイラクの発展に役立っているということは、考えてみれば、大変大事な財産だとも思っております。

 今回のイラク戦争後の自衛隊の諸君の献身的な活動によって、サマワの住民とは友好関係をうまく維持しながら、日本の支援が評価されているわけでありますが、これも、現在の自衛隊諸君だけの活動ではなくて、過去の日本の協力、そして日本企業のイラク支援あるいはイラク経済に対する現実の事業が評価されている。日本人ならやってくれるんだ、そういう過去における日本との良好な関係も大きく寄与しているんではないかと私は感じております。

 茂木委員が触れられました病院の件にしましても、これは過去、十三の病院を日本が協力して建設した、そして多くのイラクの市民が日本の医療施設で病気の治療を受け、その医療水準の高さを評価し、現在、そのような病院に対しましても、日本はエジプトと協力して医療支援活動をイラクに対して行っております。

 アメリカとイギリスとは違った日本の協力があるのではないか、また、アメリカにはできない、イギリスにはできない、そして日本ならできることもあるのではないか、そして、国際社会と協力しながらできることもあるのではないか。いずれにおきましても、イラクの国民から評価されるような支援活動をこれからも継続して、早くイラクにイラク人による安定した民主的な政権ができるように、これからも日米同盟と国際協調の重要性をよく認識しながら日本は当たってまいりたいと思います。

○茂木委員 一昨年、私はイラクに滞在中、どういうことがあるかわからない、こういう思いでイラクに行ってまいりましたが、実はその期間だけ日記をつけておりました。イラクを離れる五月十四日の日記にはこう書かれております。

 AM八時、小学校再訪。

  ユニセフの現地事務所に日本の支援で購入したスクールキッズ(ノート、鉛筆、クレヨン、スケール等、学習用品の詰め合わせ)が届いたというので、バグダッドを立つ前にデ・ロイ所長らと一昨日の小学校二校を訪れ、子供たちにプレゼントしてくることになった。

  学校で一人一人の子供にノートを手配りすると、子供たちが、シュクラン・ジャジーラン、本当にありがとうと言ってくれた。しっかり頑張ってほしい。本当にイラクを復興するのは日本でもORHAでも国連でもなく、次世代を担う君たちなのだから。

  小学校を後に一路アンマンへと向かう。同じ砂漠の光景が何時間も続く。スコールが降った跡がある。このわずかな雨が砂漠の自然を眠りから揺り起こし、あすには砂漠一面に驚くほどの生命力で小さな草花が咲き乱れるかもしれない。あくまで主役は砂漠の自然と生命力。日本の支援も新しいイラクへの雨になれば。

こう結んであります。

 イラクは、国際社会のしっかりした支援があれば必ず復興する、そういった力強い潜在力を持った国だと私は確信をいたしております。そしてまた、総理の方からもありましたように、日本には確かな貢献ができる分野というのがある、こんなふうに考えております。イラク支援についてはさまざまな意見がある、このことも承知しておりますが、次世代を担うイラクの子供たちのためにも、しっかりした支援を継続していただくことを要請したい、このように考えております。

 北朝鮮問題そしてイラク問題について質問させていただきましたが、北朝鮮問題にしてもイラク問題にしても、国民がここまで外交を注視している、こういう時期はかつて日本ではなかったんではないかな、こんなふうに私は考えております。私は、不祥事に揺れる外務省に副大臣として乗り込んでいったときに、外務省の職員に、国民がこんなに注目をしている、期待している政策を担える、これはやりがいがあるじゃないか、こういうことを常に繰り返してまいりました。国民の期待にどうこたえていくか、こういうことが問われております。

 まさに、外交にしても、内政にしても、信なくば立たず、こういうことであると考えております。国民の信頼にしっかりこたえる、そういった力強い外交を展開していただくことを心より切に要望しまして、私の質問、一分残して、終わらせていただきます。

○甘利委員長 これにて茂木君の質疑は終了いたしました。