イラク緊急対策本部レポート

2003年4月21日

 イラクへの軍事行動開始を受けて、外務省のオペレーションルームで連日開催されていた「イラク緊急対策本部会議」の概要を私のプレスブリーフの要旨の形でレポートします。

下のカレンダをクリックするとその日のプレスブリーフにジャンプします
 
 
 
 
 
  
 
  
 
 
 
 
           


<4月22日(火)>

今日で開戦から33日、週末で1ヶ月が経ちました。今日は午後3時45分から第25回目のイラク緊急対策本部の会議を開きました。対策本部の会議としては、今日が最後の会議となります。先週末でイラクにおける軍事行動開始から1カ月が経過し、軍事行動はほぼ終息に向かいつつあります。これまで、外務省イラク緊急対策本部においては、軍事情勢のフォローや、邦人保護を中心に活動を行ってきましたが、政府、外務省としての取り組みも、今後は人道支援、復興支援に軸足が移っていきます。これに伴いオペレーションルームで行ってきました緊急対策本部としての業務は、本日をもって終了することとし、今後は高橋イラク復興支援等調整担当大使が核となるタスクフォースが調整の中心的役割を担いつつ、各担当部局で人道・復興支援のための政策の立案、実施を行っていく予定です。今日の会議において、大臣から、これまで33日間、邦人の犠牲者も出ず、大きな問題も発生せずに対応してこられたのは、まさに外務省が全省一丸となってこの問題に取り組んできた成果である、ただ今後、支援・復興という新しいステージに入るので、更に緊張感を持ってイラク問題に取り組みたいという挨拶がありました。イラクの緊急対策本部は今日をもって終了ですので、会議後に行ってきたこの記者会見も今回をもって終了したいと思っています。ただ今後も、イラクの復興に向けた外務省の取り組みは継続しますし、タスクフォースの会議や場合によってタスクフォースのメンバーに局長クラスも加えた拡大会議等も開いていきたいと考えており、そこでの議論については、随時、会見、懇談といった形で、出来る限り私の方からも紹介したいと思っています。
今日の会議においては、3月20日以降の主に軍事状況の総括的説明がありました。局面ごとの展開をスライドを用い振り返り、今回の軍事行動の特徴についても分析しました。一方、邦人の状況ですが、「人間の盾」の最後の2名も1週間以上前にもうサイトを出ており、現在この2名は、NGOの国際緊急援助隊と一緒に、バグダッドにおいて水とか郵便物の配給の作業を行っているとのことです。
今日、対策本部の中で、高橋大使からORHAの状況等について説明がありました。とりまとめて、我が国文民によるORHAとの連携を通じたイラク支援の第一陣につきまして、発表します。先般、ORHA(米国復興・人道支援局)との連携による人的協力を行う旨発表したところですが、ORHAの活動拠点がクウェートからバグダッドに移転することに鑑み、我が国としてはORHAが行うイラクに対する人道・復旧復興支援活動に最大限協力することを目的として、まず第一陣として2名をバグダッドに出張させることとしました。まず明日、23日に在英国大使館参事官、奥克彦を派遣する予定です。また、在イラク大使館の二等書記官、井ノ上正盛(現在、在ヨルダン大使館の兼任)を25日に派遣することを考えています。奥参事官は23日に、井ノ上書記官は25日に、それぞれ陸路でクウェートよりバグダッドに入る予定です。奥参事官の具体的な業務内容については、ORHAと各国との調整関連業務を担当する方向で調整しております。出張期間については、取り敢えず2ヶ月を目途としています。この2名以外の現地出張については、現在、関係省庁と鋭意協議中であり、現地のニーズ等を踏まえつつ人選の上、国内及び米国等との所要の調整を終えた段階で、漸次出張させる形をとっていきたいと考えています。 なお、在イラク日本大使館の再開に関しては、近日中、出来るだけ早々に事務レベルによる調査団をバグダッドに派遣し、大使館の仮事務所(よくテレビに映っているのは本事務所ではなくて仮事務所です)の破損状況、治安状況、他の外交使節団及び国際機関の活動状況等、現地の状況を調査、確認の上、可能な限り早期の再開を目指して所要の準備を進めていく考えです。

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<4月18日(金)>

3月20日に軍事行動が始まり、明日でちょうど1ヶ月になるわけですが、今日でイラクの緊急対策本部は24回目になっています。
軍事情勢については比較的落ち着いてきている、最終局面を迎えているということで、今日は報告はありませんでした。

各国の動向ですが、まず米国について、バウチャー国務省報道官が昨日の定例の記者会見で、サダム・フセイン政権が倒れた今、イラクに対して経済制裁の必要性は消滅した、各国がオイル・フォー・フード計画を通さずにイラクと取引をすることを禁じる制裁は必要ないと述べています。欧州ではEUの首脳会合が終わり、17日に議長国の声明が出されています。その声明によると、現段階では人道支援の供給や、文化遺産、博物館の保護を含め、安全な環境を確保する責任は連合軍にある、イラクの復興と国際社会復帰に至る過程ではイラク国民の自主統治に向けたプロセスを含め、国連が中心的役割を果たすべきであると述べられています。

今日、中東アフリカ局から、周辺国の反応についての報告がありました。主だった点としては、我が国が今回の軍事行動を支持する立場をとったことが我が国とイラク周辺国の関係に与えた影響については、幸いこれまで中東諸国よりは大きな否定的な反応はない、政府レベルでは否定的な反応はない、また、エジプト及びシリアで批判的記事及び一部の抗議行動が散見された他は、我が国に対する批判が国民レベルで盛り上がるといったような状況ではないとのことでした。この理由として、例えば我が国はイラク周辺国と伝統的に友好関係を有しており、かかる関係に基づく日本への良好なイメージが背景にある、また、軍事行動後の地域の将来の不安から、一般的に周辺各国とも、諸外国とのこれまでの基本的な外交路線を大きく変更することについて慎重なのではないか、との点が指摘されました。ただ、各国政府とも英米等によるイラクの占領には反対し、イラク国民の手によるイラク政権の樹立を急ぐべきだとの立場をとっていますので、今後、我が国がイラクの復旧・復興支援を行うに当たっては、その点に留意する必要があると思います。

邦人の状況ですが、まず「人間の盾」の関係者、一般邦人については、本日1名、アンマンに退出したことが確認されて、一般邦人でバグダッドに留まっている人は2名に減っています。一方で、報道関係者は60名以上が滞在中です。また、NGO関係者が、バグダッドに昨日、一昨日と入っております。これまでNGOではピース・ウィンズ・ジャパンが6名、北イラクで活動中でしたが、一昨日の4月16日に、ジャパン・ボランティアセンターの2名がバグダッドに入りました。これは主に現地で、医薬品の配給を行っているようです。昨17日に、日本緊急援助隊9名がバグダッドに入り、水の配給等の支援を行っているとのことです。従ってNGO関係の邦人としては、現在17名がイラクにいます。そのうちの11名がバグダッドとなっています。

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<4月16日(水)>

今日、23回目のイラク緊急対策本部は、国会の関係もありましたので午後3時から開催しました。川口大臣も欧州出張から戻り、対策会議に出席しました。大臣からは、軍事行動の開始から27日目になり、幸い邦人の被害者は今のところ出ていないが、引き続き緊張感を持ってイラク問題に取り組みたい、また、文化遺産の盗難等が起こっているようだが、日本政府として文化遺産の保全、修復に対して国際機関と協力しつつ前向きに取り組みたいと発言がありました。

各国の動向ですが、昨日、ブッシュ大統領はイラクにおける勝利は確実だが、完了していない、当面の課題は秩序の回復と食糧・水・医療品の供給だと述べています。また、パウエル国務長官が昨日、シリアがフセイン政権の崩壊による地域の状況の変化を理解し、これまでの政策を見直すことを期待すると述べています。昨日はブッシュ大統領とシラク・フランス大統領との電話会談が行われました。また、ドイツのシュレーダー首相は昨日、ハノーバーでブレア英首相と会談を行っています。その会談において、米欧間の亀裂の早期修復の必要性で合意はしたものの、国連の具体的関与のあり方については意見の相違もあった模様です。その他各国の動きとして、モンゴルが一昨日、国軍約80名をイラクに派遣し、人道支援、資材調達支援、警備監視活動、医療支援等の任務に当たらせることにしたと発表しています。

軍事情勢ですが、大きな山場は越えたと思います。ただ、連合軍は引き続き一部地域の残軍勢力の掃討及びフセイン政権指導部の捕獲に尽力する一方、人道支援面での対応を強化している模様です。新体制を巡る動きでは、昨日、イラク人による暫定政権設立を目指す最初の準備会合、「イラクの将来に関する会議」がナシリア近郊で開催され、イラク国民会議、クルドの2大勢力など、旧反体制派イラク人代表者約60名が参加をした模様です。10日以内に次回の会合を開催することを決定しています。そして、民主的連邦制の施行、法の支配、多様性の尊重、指導者をイラク人自らが選ぶこと等、13項目の声明が公表されています。ただ、この会議にはシーア派最大組織のSCIRIは欠席しました。今後、国内の数ヶ所で同様の地域会合を開催し、最終的にはバグダッドで全国会議を開き、暫定統治機構メンバーを決める、こういうシナリオも英米側の方にはあるようです。

邦人の状況ですが、現時点において邦人に関する被害状況は入っていません。「人間の盾」の関係者1名は、15日、ヨルダンに出国し、一般邦人は4名、北部にいるNGO関係者が6名、報道関係者、これはなかなか把握しにくい状況ですが既に60名以上入っている模様です。

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<4月14日(月)>

今日10時から22回目のイラク緊急対策本部の会議を開催しました

週末にかけパウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官はテレビのインタビュー等で幾つかの発言を行いました。戦後のイラクの問題、シリア、大量破壊兵器の廃棄の問題について主に言及しているようです。まずパウエル国務長官ですが、米国はイラクの将来の指導者もイラクの暫定統治機構の指導者も選ぶことはしない、それはイラク人及びイラクの代表の仕事であると述べています。シリアに関しては、シリアがイラク前政権指導者たちの逃げ場所となることは賢い選択ではないと話しています。ラムズフェルド国防長官は、フセイン体制は既に過去のものとなっている、シリアがイラク戦争犯罪人やテロリストの避難場所にならないことを期待する、イラクの大量破壊兵器に関する情報を有しているイラク人の協力を得ることが優先事項の一つであると述べています。大量破壊兵器の問題に関連しては、現地のフランクス中央軍司令官も、イラク人から多くの情報提供が米軍に対して行われており、大量破壊兵器が隠匿されている可能性のある場所は2、3千ヶ所はあり、その存在を確信していると述べています。

軍事情勢ですが、米国海兵隊は昨日13日、政権最高幹部や特別共和国防衛隊等が集結しているとされるイラク北部ティクリートへ進軍をしている模様です。一方、米国国防総省は、作戦状況の進展に伴う体制の見直しの一環としてB2ステルス爆撃機を本国に撤収し、空母も削減する方針だと発表しています。イラク国内、バグダッドの様子ですが、市民による略奪等、無政府状態が継続している一方で、米国海兵隊がイラク警察と共に市内の合同パトロールを計画し、一部実施し始めている模様です。

邦人の状況ですが、これまでのところ、邦人の被害情報は入っていません。所在が不明であったフリー・ジャーナリストについては、11日の夜に本邦の家族に連絡があり、本人の無事が確認されました。ヨルダンへの出国を希望しているようでありまして、出国に際しての支援要請が来ていますので、在ヨルダン大使館が必要な措置を行う予定です。おそらく今日中にもそういう形になっていくのではないかと思っています。「人間の盾」として活動していました中の6名が日本時間の12日の夜、ヨルダンに出国しました。従って、「人間の盾」として配置されて未だ残っている方は5名ということになります。

今日の会議では、川口大臣のドイツ、フランス、英国の訪問、11日に行われたロシア、ドイツ、フランスの3ヶ国首脳会談につき報告がありました。既に現地でもブリーフを行っているところですが、川口大臣の訪欧については、まず我が国のイラク人道・復興5原則に対し、各国の賛同を得ることができました。各国より、戦後の日本の役割が重要であるとして強い期待が表明されました。人道・治安状況については、各国より現在の人道・治安状況の悪化につき強い懸念が表明されました。我が国としても真剣にこの問題に取り組んでいきたい旨、大臣の方から説明をされたました。国連の関与については、国連の関与という原則については各国の間で意見の一致があるようですが、タイミング等につきましては様々な意見が出たようです。更に中東和平の問題につきまして、中東地域全体の和平と安定、特に究極の課題とも言うべき中東和平の更なる進展につき、各国とも強い関心を示したとのことです。

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<4月11日(金)>

今日は21回目になると思いますが、イラクの緊急対策本部会議を10時から開催しました。

同時に現在、川口大臣が訪欧中であり、フィッシャー・ドイツ外相、ドビルパン・フランス外相との会談も終わりました。フィッシャー外相、ドビルパン外相との会談ですが、我が国の復興支援の5原則につき、川口大臣の方から説明し、フィッシャー外相、ドビルパン外相とも賛同したとの報告を受けています。おそらく国連の関与のあり方とか国際社会の協力の枠組みということが議論の一つの中心になったと思いますが、フィッシャー外相との会談において、川口大臣はイラクの戦後に関して、国際社会全体として対応することが大切であり、安保理決議が非常に重要になるという日本側の考え方を説明しました。これに対しフィッシャー外相の方は、現在は人道状況に最も関心があるが、当面米英軍が治安を含め対応することが重要であると述べ、イラクの復興については、ドイツとしては国連が中心的な役割を担うことが大切だと述べたようです。両国間では、国際社会が一致してこの戦後について対応することが重要であるとの共通認識は持ったようです。また、ドビルパン外相との会談においては、ドビルパン外相の方から、国連の役割について、例えば中心的な役割とか、重大な役割、Central RoleとかVital Roleといったいろいろな言葉があるようだけれども、要は国連の役割については、国連が具体的に何をなしていくかが重要であるとの発言があったと聞いています。

イラク全体の情勢ですが、3月20日の開戦以来、連合軍はイラク向けにアラビア語のラジオ放送を行ってきており、昨日からはテレビを通じた放送を開始しています。昨日、第1回目では、ブッシュ大統領及びブレア首相が北アイルランド首脳会談の際に録画したイラク国民向けのメッセージを放映したようです。ブッシュ大統領はその中で、フセイン政権は権力の座から追われつつある、連合軍は法と秩序の維持を支援していく、イラク国民が平和で国民を代表する政府を樹立することを支援していきたいといったことを述べています。ブレア首相も、イラクは英国でも米国でも国連でもなく、イラクの人々によって統治運営をされるべきである旨の発言をしています。

軍事情勢ですが、バグダッド市内では、イラク民兵との部分的な交戦等もまだ残っているようです。バグダッド市内のモスクで10日、米国海兵隊とイラクの民兵が交戦し、海兵隊員1人が死亡、20人以上が負傷した模様です。パレスチナ・ホテル付近でも、自爆攻撃があり、海兵隊員1人が死亡、3人が重体という状況です。北部では、クルド人勢力及び米軍部隊がキルクークに入ったということであります。今後の焦点ということでは、一つはバグダッド市内の治安は非常に悪くなっていますので、この治安維持の問題、そして残っている民兵等の残存兵力の掃討が一つの中心になってくると考えます。もう一つは、フセイン大統領の故郷であるティクリートの攻略が大きな焦点になってくると見ています。

邦人の状況ですが、これまでのところ邦人の被害情報はありません。報道関係者が多数、バグダッドに入っているようであり、我々が把握している範囲で、23名がヨルダン・イラク国境からコンボイを組んでイラクに入国した模様です。なかなか全体の人数が掴みにくくなってきています。現在、把握している範囲においては、NGOの関係者が北部に6名、一般邦人が10名、報道関係者の方は少なくとも23名増え49名、合計しますと65名ということになりますが、おそらくこれからまた入国する方があると、この数字自体を毎日報告することに意味があるのかどうかという状況にもなってくると思っています。

周辺国の危険情報ですが、昨日報告した3地域につき、「渡航の是非を検討してください」との危険情報に引き下げを行いました。その他の周辺国の危険情報についても、今現地の大使館等々と連絡を取っているところであり、段階的に引き下げていく予定です。

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<4月10日(木)>

まず全体の情勢につきコメントします。バグダッド及び北部など一部地域で戦闘は続いているものの、軍事行動は最終局面にあると認識しています。我が国としては戦闘終結の道筋が開けてきたことを歓迎するとともに、戦闘が一刻も早く終結し、現地の治安情勢が改善することを希望しています。今後とも戦局の動向を注意深く見極めていく必要がありますが、戦後のイラクのあり方についても本格的に検討すべき時期にきていると認識しています。我が国としてはイラク復興「5原則」に基づき、イラクの人道・復興支援に積極的に取り組んでいく考えです。川口大臣はまさにこの時間、欧州に到着するところであり、イラク復興への国際協調の再構築や国連の関与のあり方について関係国と緊密に協議を進めていきたいと考えています。

今日、20回目のイラクの緊急対策本部を10時より開催しました。まず全体の軍事情勢ですが、バグダッド市内では引き続き散発的な抵抗があり、また、治安の悪化が懸念されますが、全体の情勢としてはバグダッドが陥落したことはほぼ確実と思われます。しかし、イラク政権首脳の所在は依然として不明であり、今後、彼らの行方が一つの大きな焦点になってきます。また、今後の戦闘の焦点ですが、一つはフセイン大統領の故郷であるティクリート、これはバグダッドの北方百数十キロの地点ですが、ここにフセイン政権の要人が逃げ込んでいる可能性もあり、このティクリートの情勢がどうなっていくかというのが一つの焦点であり、もう一つ、北部モスル、キルクークは依然としてフセイン政権側がコントロールしており、これらの都市の解放も今後の課題になってくると思っています。
米国要人の発言を見ても、ラムズフェルド国防長官は勝利を宣言するには処理すべき課題も多いと述べていますし、フライシャー報道官も今後とも重大な危険があることを知っており警戒感を弛めていないとの発言しています。

イラクの反体制派の動きですが、今後のイラクの体制を検討する上で、いわゆる反体制派グループにも一定の役割があると思われますので、今日の会議においてはこの反体制派の動向等についても議論しました。なお、イラクの国民会議など国内外の反体制派の参加を得て、ナシリア近郊で12日に予定されていたイラク暫定統治機構発足に向けた会合は延期をされる見通しとのことです。

邦人の状況ですが、バグダッド市内における治安の悪化を大変懸念しています。ただ、現状におきましては邦人の被害情報というのは入ってきていません。また、イラクに滞在している邦人数も前日から変化がなく、42名です。ただ、ジャーナリストの方1名が4月2日に本邦の関係者に連絡があった以降、所在が不明であり、10日の朝、本邦の御家族に確認しましたが、本人からの連絡はないという状態です。政府としては近隣国の大使館や現地の関係者等を通じて情報収集を行っているところですが、現時点で同氏の安否に関する情報は確認できていません。併せて、国際機関等を通じた同人に対する情報の収集にも努めているところです。

周辺国の状況ですが、若干の落ち着きも見られるようであり、本日中に幾つかの地域に関する渡航情報、危険情報につき、引き下げの情報を発出する予定です。バーレーン全土、カタール全土、サウジアラビアのリヤド及び近郊、そしてカフジを除く東部州に対し、現段階の「渡航の延期をお勧めします」という段階から、レベル2の「渡航の是非を検討してください」という段階に引き下げたいと考えています。また、イスラエル、クウェート等についても、今後の情勢を検討しながら危険情報をどうするかにつき早急に検討していきます。

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<4月9日(水)>

米英首脳会談ですが、日本時間の8日午後7時に、首脳会談を終えたブッシュ大統領、ブレア首相がイラクに対する共同声明を発出しました。我が国としましては、英米首脳が今後のイラクのあり方についての考え方を改めて明確に示すと共に、安保理決議の採択を追求する方針、イラク復興において国連が重大な役割(Vital Roleという言葉を使ったと思いますが)を担うこと、そしてイラク国民による統治の早期の成立を支持することを表明したことを評価します。今後、戦後の移行期については関係国とも様々な意見交換が必要ですが、可能な限り早急にイラク国民を代表する政府が誕生することを強く期待しています。今後、関係国、国連をはじめとする国際機関、イラク人の間の議論を通じて可及的速やかに国際協調が再構築され、国連の十分な関与の下でイラクの復興活動が行われるべきと考えています。従って我が国としても、このような議論に前向きに参加し、英米をはじめとする関係国や、国連等の国際機関と緊密に連携しつつ、先般発表した「イラク人道・復興支援5原則」に基づき、イラクの復興に積極的に取り組んでいく考えです。

各国の動きですが、まずイラクでは、イラクの国営テレビ、ラジオ局が8日午前に相次いで放送を停止している模様です。バスラにおいては、地元のシーア派の指導者によるバスラ市民委員会の設置を英軍が発表しました。フランスのシラク大統領、ロシアのプーチン大統領、ドイツのシュレーダー首相は、11日及び12日にサンクト・ペテルスブルグで首脳会合の予定です。英米の首脳会議が行われ、フランス、ロシア、ドイツの首脳会合が11日、12日に行われるといった動きに、日本としても注目をしていきたいと考えています。昨日言及したアナン事務総長ですが、17日にアテネで開催されるEUの首脳会議に出席することとなりました。その機会に各国首脳と会談を行う予定であり、9日から予定されていた欧州の歴訪については、従いまして取り止め、17日の段階で行うことになったと承知しています。

軍事情勢ですが、作戦行動がバグダッドの市内に集中してきている模様ですが、今日の会議では、昨日来詳細に報道されている以上の内容はなかったので、もし質問がありませんでしたら、割愛します。

邦人の状況ですが、これまでのところ、邦人の被害情報は入っていません。イラク滞在の邦人数は、昨日から1名減り、合計で42名になっていります。7日にラマディ、これはバグダッドの西方100キロの所ですが、ここにいた報道関係者5名が、全員バグダッドに入り、バグダッドには現在30名、うちプレス関係20名、一般の方10名が滞在しています。日本時間の昨日午後5時頃、バグダッドのメリディアン・パレスチナ・ホテルに砲撃がありました。報道関係で犠牲者が出たことには心が痛む思いですが、現在まで邦人の被害情報というのは入ってきていません。なお、パレスチナ・ホテルには、邦人のプレス関係者11名、一般邦人3名が宿泊しています。この中で、一般邦人の2名を除いた12名については、砲撃後に全員の安否が確認済です。一方、「人間の盾」の関係ですが、「人間の盾」の関係者1名がイラクから出たため、「人間の盾」として現在配置されている人数は昨日より1名減り、12名になっています。なお、現在、アンマンにある「人間の盾」の事務所より、4月6日付の「人間の盾」リストを入手しました。ただこれは不完全なリストであって、例えば日本人で「盾」として配置されている人が、このリストでは4名となっております。このリストでは、9つのサイトに、世界で約20カ国から60名強が配置をされているとのことです。多い順で言いますと、トルコの方が16名、英国、フランスが各々5名、日本、米国、豪州が各々4名です。

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<4月8日(火)>

今日は朝の9時から第18回目のイラク緊急対策本部を開催しました。30分強、今日は議論しました。

まず各国の動向ですが、米英首脳会談が現地時間の昨日7日から開催されています。北アイルランドのベルファスト郊外の迎賓館において行われており、1日目の会談が現地時間の7日の午後6時、日本時間で言いますと8日の午前2時から始まりました。2日目の会談は、現地時間8日の午前中から開始をされて、場合によっては昼の時間までかかるのではないか、日本時間で言いますと今日の午後から夕刻にかけてになると思います。ちなみに北アイルランドの正午は、日本時間では夜の8時になります。なお、2日目の会談にはアハーン・アイルランド首相も参加をして、3者会談を行う予定です。結果が入り次第、会談の内容については分析を急ぎたいと思っています。川口大臣は11日に訪英致して、ストロー外相との会談を行う予定で、非常にタイムリーな会談になるのではないかと思っています。この会談に出席するパウエル国務長官は、機中の記者懇談で、戦闘段階は終焉に向かっている、今やイラク社会全体を代表する政府を如何に樹立するかという戦後の課題を考える時期に来ていると述べています。国連においても、アナン事務総長が今週の後半に欧州を訪問し、イラク情勢及びあり得べき国連の役割につき、英国、ドイツ、フランス及びロシアの首脳と協議をする予定だと聞いています。これに先立ち、ニューヨーク時間の7日11時から12時半頃、安保理メンバーとの会合を開きました。この会合において、アナン事務総長は、ラフディン・アハメド氏というパキスタン人を事務総長特別顧問に任命したことを報告し、アハメド特別顧問が今後のイラクの諸問題に関する国連のフォーカル・ポイントとして活動する旨述べました。フォーカル・ポイントということでありますから、このアハメド氏が中心人物として活動するということだと思っています。アハメド顧問は、これまでに国連事務局の官房長を務めたこともある経験豊かな国際公務員であり、カンボジア、東チモールの事務総長特別代表の経験もあります。アハメド顧問は、今年の2月以来、非公式に戦後のイラクにおける国連のあり得べき関与についての国連内での検討にも関わってきた人物と聞いております。

戦況については昨日来詳しい報道がされていますが、バグダッドの中心部に米軍が侵攻し、2つの大統領宮殿を制圧しました。これは米軍が開戦以来、作戦行動で一貫して奇襲と迅速性を重視していることの一つの表れと見ています。どうしてこういう作戦がとれたかということでありますが、一つは、やはりバグダッド上空の制空権をアメリカが確保していることが大きいと思います。もう一つは、イラク側の戦闘能力というのは明らかに低下している、こういう2つの前提の下で今回の作戦がとられたのではないかとの分析の報告がありました。また、今回の作戦の目的ですが、サダム・フセイン政権の崩壊というものを内外に強く印象づける、そして秘密の地下施設であったり、政権中枢に迫り、情報の収集を行う、3つ目に空爆の効果を検証する、ということではないかと思っています。生物・化学兵器についても情報がいろいろな形で出ています。米国の第3師団は、化学兵器貯蔵庫と思われる施設を、イラク中央部のヒンディーヤ市近郊において発見をしたとのことです。施設ではドラム缶14本が発見されている。現場での初期検査の結果では、これらは化学兵器に使用されるタブン及びサリンの可能性があるということです。また、バグダッド市近郊で化学兵器を搭載したBM21中距離ミサイル20基を発射可能な状態で発見したとの報告が入っています。その一方で、国防省のブリーフィングにおいて、ラムズフェルド国防長官は、報じられている化学兵器の発見については、憶測は避け、慎重に確認する必要がある旨述べており、我が国としてもこれらの化学兵器と言われるものの検証結果は慎重に見極めたいと考えています。

邦人の動きですが、昨日から4名増え、イラクに滞在している邦人の数は、確認できている範囲では、合計43人です。一般邦人1名、報道関係者、これはフリー・ジャーナリストではありませんが、報道関係者3名がイラクに入ったということです。ただ、この報道関係の3名については、バグダッドの市内ではなくて、バグダッドの西方100キロメートルのラマディに滞在中であるということです。昨日、在イラク日本大使館の現地補助員が大使館に出勤し、その結果を在ヨルダン日本大使館に報告してききています。これによると、バグダッドの市内の様子は、一昨日から昨日にかけて、激しい爆音や銃声が続いているとのことです。町中の車や人通りはほとんどない、非常に危険を感じる状況であるが敢えて大使館に出勤をしてきたと言っています。停電は依然として続いているが、水道からの水は異常なく出ている、イラク国営テレビは通常どおり放映されている、国内の電話は切断されたままである、米軍がバグダッドに入ってきているとのニュースは聞いているが、直接米軍の姿は、この現地補助員は見ていないとのことです。

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<4月7日(月)>

今朝は、10時から第17回目になるイラクの緊急対策本部の会議を開催しました。

各国の動向ですが、昨日も申し上げたとおり、ブッシュ大統領が今日から北アイルランドを訪問して、ブレア英首相と二日にわたって会談を予定しています。また、ライス補佐官は5日から7日の日程でロシアを訪問中です。ウォルフォヴィッツ国防副長官が、6日フセイン政権崩壊後のあり方につき、米英が中心となって、暫定統治を築く、紛争後のイラク暫定政府樹立には6ヶ月以上要するだろうとの発言を行っています。ロシアにおいては、5日にプーチン大統領がフランスのシラク大統領、米国のブッシュ大統領と電話会談を行っています。シラク大統領もシリアのバッシャール大統領と電話会談を行いました。各国ともイラクの今後につき、活発な意見交換を始めている模様です。

軍事情勢ですが、第3歩兵師団の威力偵察が5日に引き続き、6日も行われました。米英軍はバグダッドの制空権を掌握し、低空からの航空攻撃、近接の航空支援が可能になっています。また、バグダッドの南東部においては、海兵隊が侵攻中です。北部、西部に続く主要幹線道路についても、特殊部隊が確保し、バグダッドの包囲網が着々と築かれつつある模様です。軍の当局者によると、現存の勢力、第3歩兵師団、海兵隊等のみでバグダッド攻略も可能であるという発表もなされています。イギリス軍ですが、バスラ市内の突入を開始しています。こういった攻撃の一方で情報戦、ビラであったり、テレビ、ラジオ放送、これも英米軍としてはかなり強化をしているようです。

邦人の状況ですが、イラク国内は2名増えて39名となっています。昨日からマイナス2名、プラス4名で39名という形になります。マイナス2名は一般邦人1名、フリージャーナリスト1名。このフリージャーナリストは人間の盾として浄水場に配置されていた人ですが、この2名がシリアに出国まして、マイナス2。そしてフリージャーナリスト4名が、恐らく一昨日だと思いますが、すでに入国していたことが確認されプラス4名、こういう形で合計は39名です。人間の盾に関しては、今申し上げましたようにフリージャーナリストの方が1名出た一方で、一般邦人の方1名、フリージャーナリストの方1名、合計2名が新たに配置をされ、合計で1名増加の12名となっております。配置状況で申し上げますと、ドーラの浄水場に7名、北バグダッドの変電所に2名、ジャジーラの浄水場に2名、ドーラの発電所に1名、合計で12名になります。現段階において、これらの邦人に対し、被害にあったとの情報は入ってきていません。バグダッドとの間の電話は、ほぼ不通という状態になっており、安否確認は極めて難しい状況です。但し、昨日、日本時間だと昨日の昼過ぎぐらいになりますが、人間の盾の関係者でシリアに出国した人の情報によりますと、邦人の盾はその時点、つまり盾の関係者がバグダッドを出た時点においては全員無事であったということであります。

今日は対策本部会議の中で、各国際機関のイラク国内での活動状況についての報告を受けました。ユニセフ(国連児童基金)ですが、現地職員200名が現在イラクの国内で活動中です。国際職員は現在イラクの国外へ退避中ということであり、バグダッド及び北部の3地方事務所を中心に、一つは保健、特に脆弱層に対する栄養、生活物資の配給を北部3州を中心に実施をしています。現在イラクにおいては、100万人の妊婦がいるそうでして、産院での緊急機材が特に不足をしている。また、5歳未満の子供が420万人おり、子供の最大の死亡原因が水関係の下痢ということですので、この分野での対策であったり、予防接種等々が今後必要になってくるとのことです。ICRC(赤十字国際委員会)については、現在イラク国内の国際職員が14名、ローカル職員が113名、これは3月29日時点ですが、活動を行っています。バグダッドの病院は戦傷者、死者への対応で手一杯であり、手術は自家発電装置に依存している、但し、昨日あたりから人数の把握そのものが非常に難しい状況になってきているとのことです。WFP(世界食糧計画)ですが、現地職員800名程度が現在活動中ということです。例えば、北部においては、イラク北部の3都市で食糧配布を実施しており、5,000トンの食糧を既に配給済みです。内訳としては、2,000トンが米、1,600トンが砂糖等とのことです。

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<4月6日(日)>

今日は、戦況等に若干動きがありましたので、日曜日ですが第16回の緊急対策本部会議を11時から開催しました。1時間強議論をしたわけですが、まずは戦況の動きにつき詳しい報告を受け、この2週間強のさまざまな動きにつきレビューをして、今後の問題、例えば、人道支援の問題等、幅広く自由に細かい点まで議論を行いました。例えば、これから日本として人道支援等を決定していく意味で、どの機関がきちんと機能しているのか、こういうことも見極めて上で、支援の内容を詰めていく必要があるので、そういった細かい議論も行いました。

戦況ですが、米軍は、4日の夜から5日の未明にかけて、バグダッドを空襲し、共和国防衛隊の6個師団の内、2個師団を壊滅し、残り4個も戦闘能力を大幅に低下させたと強調しております。5日の中央軍のブリーフィングによると、5日の午前、第3歩兵師団所属の2個の部隊が市の南方から市内に進軍し、市の中心部、チグリス河畔まで北上した上で、国際空港方面西側に抜けたと既に発表しています。この行動の目的ですが、連合軍が随意に市内に展開できることを明確に示すことであり、これは成功したとしています。ただその一方で、戦闘終結には程遠い状態であるということも強調しており、我が国としても戦況の動きにつききめ細かくフォローしていきたいと考えています。

パウエル国務長官は、ヨーロッパを歴訪しており、4日にピーターセン・ノルウェー外相、ソラナEU上級代表と個別に会談しました。その後の記者会見によりますと、暫定統治機構の構成・設置時期等につき、米政府は真剣に検討している、検討が終わり次第発表すると述べています。また、国連の役割については、実質的な対話を始めた段階であると述べています。始めた段階であるということですから、もう少し時間がかかるという理解で良いのではないかと思っています。また、ライス大統領補佐官が4日の会見において、サダム後のイラクのあり方について五点述べています。一つ目は、一体性を保持し自由かつ内外に平和なものにする。二つ目は、全ての大量破壊兵器を武装解除した形にする。三つ目は、テロを支援し匿うことのない形にする。四つ目が、国民の権利及び法の支配を尊重する。五つ目が、民主主義を指向するイラクのイラク人による再建を支援する。イラクの暫定統治機構、IIAの問題、国連との関係についても言及しているようですが、何らかの明確な方向を決めた段階ではないと理解しています。

邦人の状況ですが、今日段階でイラクに滞在している邦人は一人減り37名になっております。内訳で申し上げると、北イラクにいるNGOの6名は変わっていません。市民団体・個人の11名も変わっていません。報道関係者が21名から20名に減っています。これは北イラク、クルド地域にいた報道関係者1名が出て、7名から6名になった結果であり、全体の人数は38名から37名に減りました。一方、人間の盾としてサイトに配置されている人数についても11名で変わっていません。この11名については、昨5日の日本時間の5時に、向こうにいる人間からその本邦の関係者にあった連絡を外務省として確認したところでは全員無事であるということです。ただ、バグダッドとの間は極めて連絡が取りにくい状況になっています。今後、イラクに入るという邦人の情報も若干ありますが、本当に危ない状況であります。是非報道を通じても、絶対にバグダッドに入らないようにと呼び掛けていただければ有り難いと思っています。

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<4月4日(金)>

今日は大臣の記者会見もありましたので、第15回イラクの緊急対策本部を11時15分から開催しました。

各国の動きですが、パウエル国務長官は、3日、ブラッセルでNATOの会合に出席しました。一連の会談ではイラク復興における国連の役割が主な議題であった、同長官は、復興において国連は役割を果たすことになるが、具体的には今後検討される旨、強調しました。これに関連して、ロバートソンNATO事務総長も、記者会見を行っております。その内容を紹介をさせて頂きますと、イラク情勢の対応を巡ってNATOでは過去に分裂はあったが未来に向けたコンセンサスが育ちつつある、戦後復興に関しては国連を初めとする国際機関を含む国際社会として取り組む必要がある、新たな問題に対処するため米欧関係を再構築する必要がある、こういった点が主なポイントであったと思っています。
また、幾つかの主要国首脳の発言があります。ドイツのシュレーダー首相は3日の議会演説において、イラクの戦後復興において、国連が中心的役割を果たすべきだと述べました。しかし、同時に現時点で復興の詳細について憶測をするのは不適当であると発言しています。また同時に、イラクの復興に関し原則として4つのポイントを挙げ、1つはイラクの領土保全の問題、2つ目は、イラク国民自らによる自らの将来の決定。3番目に天然資源のイラク国民の下での所有、管理、利用。4番目は中東地域全体における政治的安定化プロセスの開始を挙げています。ロシアのイワノフ外相は、イラク問題に拘わらず米英との関係進展がロシアの長期的利益に合致している旨の発言を行っています。

イラクの軍事情勢では、新たな展開としては、米国の第3歩兵師団はバグダッドの南端から10キロメートル、市の中心部から言うと大体20キロのサダム国際空港に到達をした模様です。また、バグダッドの北西90キロメートルの大統領宮殿、これは確かバグダッドの市内に3つ、周辺を含めて5つ、全体で8つあったかと思いますが、その一つの大統領宮殿を特殊部隊が急襲した模様です。バグダッド市内では3日の午後9時、日本時間で言いますと4日の午前2時から全域で停電が起こり、開戦後初めての大規模な停電状態になっています。今後の展開は難しい予想ですが、バグダッド市内の包囲とイラク側の抵抗、これが一番大きな焦点になってくると思っています。バグダッド市内の各所に特別共和国防衛隊、民兵が配置されているようであり、米側としてもそういった動向に注意を払っているということです。

邦人の動向ですが、昨日来、現地の邦人数38名に変化はありません。ただ、「人間の盾」としての配置されている人が昨日まで10名でありましたが、11名に増えています。新たな1名はドーラの浄水場の方に入ったという情報であります。

今日の対策本部の会議では、周辺国の動向につきかなり細かい説明、そして若干の議論がありました。イラクの周辺のアラブ諸国では開戦以来、断続的かつ頻繁に抗議デモが繰り広げられており、特に激しいのがエジプトとヨルダンでありまして、一方、官制のデモ、コントロールされたデモという形ではイラン、シリアでもデモが頻発しています。しかし、現在まで、特に開戦以来、規模の拡大であったりとか、過激化などの兆候は見られないようです。一方、イラク側は各国からの義勇兵がどんどんイラクに集まってきているとの宣伝をしているようです。各国政府の対応ですが、デモとか言論を管理する一方で政府としても反戦の発言をしたり、官制デモを組織するといった形で硬軟両方を組み合わせて、概ね各国とも世論をコントロール出来る範囲に留めており、現在のところ安定を保っているという状態です。ただ、今後戦争が長期化してくると、各国の世論の反発が高まる恐れが様々な面であるのではないか、ということにつき議論をしました。

昨日も報告申し上げましたSARS、重症急性呼吸器症候群に関する危険情報の関係ですが、昨日は香港と中国の広東省に危険情報を発出しましたが、他方、ベトナムやシンガポール等、域内感染が見られる他の地域につきましても現地の大使館、領事館と緊密に連絡を取ってきました。外務省としては、本日中にもベトナムのハノイ、シンガポール、中国の山西省、台湾及びカナダのトロントに対し危険情報を出す方向で準備を進めています。尚、内容については、「渡航・滞在される方は安全対策に十分注意を払ってください」、という第1段階の危険情報とする予定です。同時にマカオにつきましても、これまでのところ同地域での域内感染の例は見られませんが、マカオへは香港経由で入ったり中国の広東省経由で入るということが多いので、同じ第1レベルの危険情報を今日、出す方向で準備を進めています。従って、危険情報1を発出する予定の地域は、ベトナムのハノイ、シンガポール、中国の山西省、台湾、カナダのトロント、マカオになります。

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<4月3日(木)>

今日は副大臣会議もありましたので、副大臣会議、そしてイラクの緊急対策本部の会議につき併せて報告します。

副大臣会議においては報告事項の後、上野副長官から香港の肺炎、SARS(重症急性呼吸器症候群)の問題について問い合わせがありましたので、私から、邦人の生命、身体の安全、これについてはテロであっても内乱であっても感染症であっても変わらない、関係省庁とも早急に協議の上、出来るだけ早く結論を出したいと報告を申し上げました。今日中には危険情報を引き上げたいと思っています。外務省としては、3月17日以来、中国、香港、ベトナム等を対象に、重症急性呼吸器症候群、SARSの発生に関するWHOの緊急情報に基づき、スポット情報を発出しているところです。このスポット情報については旅行会社を通じまして渡航者にも伝わるシステムになっています。24日には、アジア地域を中心に広域情報、更に28日には香港及び中国を対象に、現地大使館、総領事館からの報告を中心に注意を喚起するスポット情報を発出しているところです。また、昨2日にWHOが香港及び広東省への不要の渡航を延期することを検討するよう勧告したことについてもスポット情報を発出しています。危険情報の早期発出についても、これまで厚生労働省等、関係省庁とも協議をしているところで、外務省としては、本日中にも香港及び中国広東省に対し危険情報を出す方向で準備を進めています。尚、この危険情報の内容ですが、WHOの勧告も踏まえて「不要不急の渡航を延期することを勧める」という内容にしたいと考えています。

本日10時から第14回のイラク緊急対策本部会議を開催しました。米国等の動向ですが、昨日2日、トルコ訪問中のパウエル米国務長官はトルコ首脳と会談し、イラク北部への人道支援物資や米軍用食糧、燃料のトルコ経由でのイラクへの陸上輸送、米軍機のトルコ空軍基地への緊急着陸や負傷兵のトルコへの搬送につき合意しました。また、トルコ軍の北イラク進駐については調整委員会を設置することで合意したとの報告を受けています。パウエル国務長官は、この後ブラッセルを訪問予定であり、EUのトロイカ、更にはおそらく主要国の外相等々とも会談をする予定だと聞いておりまして、今後、国際協調を進めていく上で注目点になってくると考えております。

軍事情勢ですが、昨日以来、戦局が動いています。今日の会議においては、その報告、そして若干の議論をしました。米英軍がイラク軍リパブリカン・ガードの防衛線を突破しましたが、これは連日の激しい空爆がボディブローとなった可能性が高いと考えています。最前線はバグダッドまで30キロの地点に達していますが、米英軍の主力はまだカルバラ包囲、という状態です。一方北部においては、リパブリカン・ガード部隊が南下しつつあります。おそらくこれは首都防衛の目的ではないかと考えております。なかなか今後の見通しというのは難しいわけですが、バグダッドの包囲体制は米英軍が築きつつあると思われます。ただ、不透明な部分はあります。例えば補給拠点の前進も視野に入れていかなければならない、また天候を考えますと、この日曜日以降、来週、砂嵐が連日続くということで、補給、天候の状態、更に相手方の抵抗等々もあり、この時点で確たる見通しを申し上げるというのは難しいかなと思っています。

邦人の状況ですが、今日は若干複雑であります。全体としては、イラクに滞在する邦人は3人減り38名になりました。実際にバグダッドを出た方は7名おり、シリアに入っています。しかしこれはマイナス7ではなくて、外務省として今まで掴んでおりましたのはその中の6名で、1名は分からない人がいましたので、計算上はマイナス6です。一方、新たに入国をしてしまった人がジャーナリスト1名、市民団体・個人2名で3名です。実際に出た人が7名ですが、昨日まで申し上げた数字で言いますと掴んでいるのは6名ですからマイナス6、そして入った人が3人ですからプラス3、これで全体的にはマイナス3ですから41から38になりました。

各国の動向ですが、韓国の大統領が昨日の国会演説において、多くの議員と国民が韓国のイラク派兵に反対していることを承知しているが、今後の北朝鮮の核兵器問題に備え、半島における戦争を防ぎ、国民の安全をはかる観点から敢えて派兵を決定した、今回米国を支援しておくことが今後の北朝鮮問題の平和的解決に資すると判断したと国会演説で表明しております。その韓国の国会ですが、昨日の夕方、国軍部隊のイラク戦争派遣同意案を賛成179名、反対68名、棄権9名の賛成多数で可決しました。一方フランスですが、シラク大統領がフランスの上院議員との懇談において、米国はフランスの同盟国かつ友人である旨、また米国の軍事的勝利を確信している旨述べたとの報告を受けています。こういったフランスの発言、動向につきましても今後とも注目をしていきたいと思っています。また、本日の緊急大差右本部会議におきましては、北イラクの動向、例えばクルド人の問題であったり、トルコ軍の侵入の問題といった北イラクの動向につき若干の議論をしました。

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<4月2日(水)>

9時20分から第13回のイラク緊急対策本部の会議を10階のオペレーションルームで開催しました。

まず軍事情勢ですが、状況について大きな変化はないようです。米軍等は引き続きバグダッド及び共和国防衛隊に対し空爆を続けており、米側の発表によりますと、共和国防衛隊の戦闘能力を半減していると評価をしています。北イラクにおいては軽装備の米部隊がクルド民兵と共同作戦を行っていますが、軽装備なためにイラクに対して十分な脅威となっておらず、イラク側は幾つかの有力部隊を南部戦線の方に移動させている模様です。一方南部ですが、海兵隊が再び前進を開始し、首都南方100キロのヒッラに到着した模様です。第4歩兵師団はクウェートにおいて陸揚げを開始しています。この第4歩兵師団が前線に展開するのはおそらく4月の中旬以降になると見られています。

邦人保護の関係ですが、イラクに在留している邦人の数は41名ということで昨日と変わっていません。昨日、イラクのサハフ情報相が記者会見で、3月31日にルトバにおいて米軍機が「人間の盾」メンバーを乗せたバス2台を攻撃し負傷者が出たと発表していますが、これまで外務省として情報収集している範囲においては、邦人が被害にあったという情報はありません。

今日の対策本部会議では経済関係、特に、開戦前と開戦後の世界経済の動向について分析しました。昨年の春から原油高、日米欧の株価の下落、ドル安傾向が続いており、イラク・リスクは今回の場合、12年前の湾岸戦争と違って早い段階から折り込み済だったという側面はあったと思います。ブッシュ大統領の18日の最後通牒、20日の開戦を受け株価は上昇、ドル高、原油価格は下落しました。これは、一つにはマーケットの側で短期終結の期待感があったのではないかと思っています。その後、戦況等により、株価、原油の価格は変動しています。大きな傾向で言うと、株価は下落、原油は価格上昇、そしてドル安という方向に動いています。一方で米国側がバグダッドの進攻が順調と発表したり、バスラで市民の蜂起があったりすると、今度はマーケットがよい材料として捉えて、逆にドル高、株高と小さな反発もあります。湾岸戦争との比較ではイラク・リスクが今回早く織り込まれていたという側面はマーケットにあると思います。一方で、日米欧の政府当局の対応ですが、例えば湾岸戦争の時、日本はまだバブルの末期で、若干財政的にも余裕がありました。米国も当時は金利が7.75%と高金利なのに対し、現在の政策金利は1.25%であり、湾岸戦争時よりは、今後の事態にもよりますが、財政出動とか金融緩和といったやり得る政策手段の幅は若干狭いかもしれないと考えています。これから、軍事情勢はもちろんですが、経済の動向についても注意深くフォローしていきたいと思っています。

今日はこういった形で、少し経済の問題を中心にしながら議論しまして、また明日以降、北イラクの情勢であったり周辺国の情勢等々も適時検討していきたいと考えています。

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<4月1日(火)>

今日はイラクの緊急対策本部会議、9時55分から第12回目を開催しました。本日付けで高橋文明イラク復興支援等調整担当大使が発令しましたので、今日の会議から高橋大使も出席しております。開戦以来、2週間近くが経ち、かなり情報の収集等も定例的に行われるようになりましたので、今日の会議では、軍事情勢についても、個別の問題よりも、少しポイントをしぼって議論しました。例えば、今後の戦局の見通しであったり、補給線がのびていること、それに対する補強対策の問題といったことです。現在、バグダッドの南160㎞のナジャフ近郊に、補給基地を建設中だということです。補給の支援が可能な距離というのは、だいたい200㎞ということで、そういうことも想定しながら、補給基地を建設しているものです。一方、ゲリラ攻撃も多発しているようです。近代戦においては、補給の遮断というのは定石ですが、今回の場合、形態が軍人ではなく民兵によるゲリラということは、想定外であったのではないかという報告がありました。それから、生物・化学兵器の使用の可能性については、多数の化学防護服が発見されており、これに対して米軍も警戒感を強めているようです。一方で、実際に生物・化学兵器を使うとなると、国際的な非難も出る、そして、現在の米軍の軍事行動を正当化する、ということで、フセイン政権側もあまり安易には使えないのではないかという見通しも報告されました。もちろん、軍事情勢についてはいろいろな情報が混合、錯綜するわけですが、そういった中から今後、必要な情報の分析、議論をしていきたいと考えています。例えばイラクの国民が米英軍に、フセイン政権にどういう感情を持つかということも大変注視をしなければならない点ですし、また周辺国においてもデモ等も起こっており、周辺国がどうこの事態を見るかということも注視をしていきたいと考えています。
邦人の状況については、新たに邦人3人がイラクに入国していることが確認されました。確認されたのは昨日で報道関係者が3名です。現在イラクに残っています邦人の数は38名から、残念ながら41名に増えたということです。NGOの6名、そして市民団体・個人等の9名は変わっていません。報道関係者が23名から26名に増えました。「人間の盾」として配置されている人は10名ということで変わりありません。今、バグダッドの方は電話がほとんどつながらない状況になっており、唯一つながるのは衛星電話です。一方、現時点でバグダッドの市内、電気とか水道は使える状態だということです。

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<3月31日(月)>

今朝8時からのイラク緊急対策本部会議並びに一連の情勢について報告します。米国の動きですが、30日にラムズフェルド国防長官が大量破壊兵器の活動及び拠点の大半はバグダッド南のカルバラからバグダッド北のティクリット付近の間にあり、この地域には連合軍がまだ到達していないので生物・化学兵器の捜査はこれからであると報告をしています。米軍は29日から昨日にかけ引き続きバグダッド市内外を集中的に空爆している模様です。一方、イラク側の動きでありますが、29日にラマダン副大統領が自爆テロの継続を表明しています。また、アナン国連事務総長の姿勢を批判し、オイル・フォー・フード計画を変更する安保理の決議に関し、イラク政府の同意のない決議は機能しないだろうと発言しいます。また30日、イラク軍への入隊を希望するシリア人グループがイラク北部に到着し、イラク軍の報道官は既に4,000人以上のアラブ義勇兵がイラクに到着している旨発言しております。

テロ事件が幾つか発生しております。30日の午後1時頃、イスラエル北部ネタニヤ市内にあるロンドン・カフェの近くでパレスチナ人によると見られる自爆テロが発生、少なくとも30人が負傷、うち数名は重体の模様です。同30日、クウェートの米軍ウダイリ基地の売店の前において、トラックが米兵士の集団に突っ込み、兵士15名が負傷した模様です。

邦人の状況ですが、イラクの邦人数は変わっていません。ただ、内訳等々で動きがあります。バグダッドに滞在していた邦人男性2名が新たにヨルダンのアンマンに出国していることが日本時間の30日の夜に確認されました。御家族の方に確認をとりました。一方、その後新たに邦人男性2名、これは何れも報道関係者ですが、これがイラクに入国していることが日本時間の31日、本日の未明、確認をされました。その結果、マイナス2名、プラス2名ということで、全体の数は38名で変わっていません。また、「人間の盾」も10名で変わっていません。

クウェートの状況では、現在のクウェートの邦人数は85名ですが、空港は現在開いており、一部欧州の航空会社を除いて各社が運航中です。大使館としては在留邦人に対し商業定期便等による退避を呼び掛けておりますし、陸路の退避も準備しています。29日にミサイルの着弾があり、改めて邦人に退避の意向を聴取しましたが、退避を希望する者は現時点ではおりません。商業便も運行しておりますし空港も開いているということで、少なくとも現時点において専用機を使ってクウェートにおける邦人の退避を行う必要性は低いという判断を現時点ではしております。

次にシリアですが、本日、シリアのイラク国境付近地域に対し、危険情報を引き上げます。現段階での渡航延期に加え、「滞在中の方は事情の許す限り退避することをお勧めします」という注意書きを追加します。つまり、退避勧告の一歩手前であります。この背景、判断に至った状況ですが、シリアでは3月24日に国境方面にあります橋が連合軍機により爆撃され、その際バスが巻き込まれ、一般市民が犠牲になった事案が発生しました。また、28日にはラムズフェルド米国防長官がシリアからイラクへの軍事補給物資の流入に関する情報について敵対行為と発言したこと等を受け、シリアとイラク国境における情勢が、今後緊迫する可能性が排除出来ない、こういう情勢分析の下でシリアのイラク国境付近に関し危険情報を引き上げたわけです。
これに関連して、我が国のシリアにおける人道支援活動ですが、今、JICAの医療技術協力チームがシリアのイラク国境に近いハサケ国立病院に行っております。また、UNHURの要請に対し、PKO法に基づき医療チームを国境近くのUNHCRの難民キャンプに派遣すべく事前の調査団を派遣したところです。これらの活動についても、我が国人道要員がシリアとイラクの国境付近で活動することが安全面で問題があるという結論に達しました。同時に難民の発生状況、これを見てみても現在まで大量の難民が起こっていないこと、当初予想された程のニーズも生じていないという状況ですので、取り敢えず我が方の要員の現地での活動については見合わせ、事態の推移を見守ることと致しました。従って、JICAの医療技術協力チームについては元々の滞在予定であります4月1日をもって現地を離れることとしました。また、PKO法に基づく医療チームの事前調査団については、早期に現地を離れ、本邦に帰国することとして、医療チーム自体の派遣は当面見合わせることとしました。

難民は今申し上げたように、30日時点では大量な国外流出は見られていません。また、各地で抗議行動が起こっていますが、インドネシアのジャカルタでは、市民10万人が米軍の即時進攻停止を求めて、米国の大使館員に向けデモ行進を行い、これにアミン・ライス国民評議会議長も参加していたと報告を受けています。

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<3月29日(土)>

トルコ国内便のハイジャック事件についてですが、今、在ギリシャ日本大使館の職員を空港の方に派遣をしています。大使館員からの連絡によりますと、現地の警備当局と連絡をとりまして、全員解放されたことはもう確認済みであります。乗客は今、空港近くのビルの方に収容されているということで、大使館員もそちらに向かい、直接安否確認をとって、しかるべく家族への連絡等も進めていきたいと考えています。

次に、本日のイラク緊急対策本部の会議の結果について報告します。まず、軍事情勢ですが、28日の未明、米英軍はバグダットの中心部、共和国宮殿など、また郊外に対して大規模な空爆を続けています。その一方で、クウェートでは、市内のショッピングモールにイラクのミサイルが着弾、爆発したことをクウェート政府が確認しています。今回の場合、低弾道のミサイルで空襲警報が鳴らなかったようです。クウェートに関しては、まだ邦人が残っており、明日にも政府専用機を物資の輸送で飛ばすわけですが、クウェートの状況等々も見ながら、今後政府専用機をどういう形で使うか、このことも検討していきたいと考えています。

イラク国内の邦人は、41名という形で昨日と状況は変わっていません。

国連の動きですが、国連安保理はオイル・フォー・フード計画を変更する決議1472を全会一致で採択しました。また、今日29日の日本時間未明に、アナン事務総長は、16の国際機関による人道支援活動のために、一定の人道的被害の想定のもと、向こう6カ月で総額約22億ドルが必要になるとの緊急統一アピールを各ドナー国に対しまして発出しました。これには、現在中断しているオイル・フォー・フード計画によって手当されるべき経費も含まれております。このため、本アピールによって新たに必要となる経費の額は現段階では明らかではありません。このアピールに対する我が国の対応ですが、既に3月20日の時点で、人道支援活動を実施しているUNHCR、WFP、ユニセフの3機関に対し、当面の活動に必要な資金として503万ドルの拠出を決定しています。その上で本日発表された緊急統一アピールに対しては、オイル・フォー・フード部分がどれぐらいになるか、、そして難民、避難民等を含めた人道的被害の状況、更に緊急支援の具体的ニーズ、各ドナーの本アピールに対する受け止め方、また各国際機関が必要としている支援の内容等、その準備状況等を十分に見極めつつ、検討していきたいと考えています。私の方からは、これはかけ算ではない、例えば22億という額が出て、これに対して何割とか何%を掛けるということではなくて、それぞれの機関が出しているニーズであったりとか、プログラムをしっかり精査をした上で、ひとつひとつ足し算で積み上げて、日本としての支援策、回答を出すようにと指示を出しています。

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<3月28日(金)>

今日も朝の7時から第9回目の対策本部会議を開きました。

まず、米英首脳会談ですが、日本時間の本日の午前1時に共同記者会見が行われました。ブッシュ大統領の方からは、ゆっくりではあるが確実にイラク国民に対する恐怖が解き放たれつつある、イラクにとって長期的に最も必要なことは、国民を代表する政権の誕生であり、この政府の形はイラク国民が選択すべきものだという発表がありました。同時に、国連がオイル・フォー・フード計画を直ちに再開するよう求めるとも発言をしています。一方、ブレア首相ですが、イラクの戦後体制については、米英は国連と協力していく、イラクの領土保全と迅速な人道支援、イラクの復興後の適切な統治機構をエンドースするための新たな安保理決議を追求していく。ここで、追求していくの主語はWeで、これは英国だけではなくて米国も追求をしていくとのことです。そして、安保理決議、これは原文によりますとリゾルーションズと、複数ということですから場合、によってはオイル・フォー・フード計画に関連するような比較的こじんまりしたものから、もう少し大きな統治機構のあり方等々、いろいろな意味を含めているのではないかなと思っています。更に、国連が関与すべきことは確かであるが、国連の役割に関して同盟国と協議すべき多くのことがあると発言しています。

軍事情勢については、若干天候の回復等もあり、連合軍の部隊が今後、数時間、もしくは数日後に軍事行動を強化するという報告がカタールの中央軍の関係者から述べられています。

邦人の関係では、2名の「人間の盾」のサイトに配置された方が出国して、今イラクに残っている邦人の数は41名、このうち「人間の盾」としてサイトに配置されている人は9名になりました。尚、出国をされた2名の方ですが、何れも男性で、一人が59歳のフリー・ジャーナリスト、もう一名の方が63歳の会社の社長です。日本時間で昨日の15時にバグダッドを出発し、移動時間6時間半をかけて国境の町タンフを通過しました。通過したのが日本時間の昨日の21時30分です。一名がビザを持っていないということで大使館の職員がこの手続等々の支援をさせて頂きました。入国の手続に時間がかかり、シリアの入国手続が終了したのが日本時間の本日の4時20分です。その後、ダマスカスに移動して、日本時間の今朝の7時10分にダマスカスの大使館の方でアレンジしたホテルの方に現在滞在しています。健康状態は若干の疲れもありますが良好だと聞いています。

各国、国連の動向等ですが、2日間にわたる安保理の公開会合が終了しました。1日目、2日目と併せ合計で82カ国と2オブザーバーが発言しております。発言の概要を若干集計しますと、武力行使の支持等を表明をした国が1日目と2日目併せ20カ国以上。一方、武力行使を非難する国は1日目と2日目の会合で30カ国以上。停戦を求めた国が約30カ国前後、こういう形になっています。同時に多くの国が平和的解決に至らなかったことに遺憾の意を表明しています。人道支援の関連では、多くの国が国際人道法、ジュネーブ諸条約の遵守の必要性及び国連による緊急人道支援の必要性を強調しています。韓国では、本日、今回の軍事行動に対する兵員の派遣に関する同意案を処理することにしているようですが、国論の分裂が見られ、本日、本会議で処理されるかどうかはまだ不透明です。一方、英国では昨日、ブラウン蔵相が、対イラクの戦時予算を17.5億ポンドから30億ポンドへ増加させる旨、下院に発表しました。

日本の支援策では、イラク難民にかかる物資協力及び政府専用機の輸送に関して、本日の閣議において、UNHCRに対して難民用のテント、160張、1,600人分を譲渡し、政府専用機にてヨルダンに空輸することを決定しました。政府専用機は明後日、30日の22時頃に成田を出発して、31日、現地時間の10時頃、日本時間にすると17時頃にアンマンに到着する予定です。もう一つの医療チームの派遣の問題ですが、これに関連して本日、医療チーム派遣の検討のために、事前の調査団を現地に向けて出発させる予定です。この調査団の検討結果を受け、医療チームの派遣のあり方につきましては、再度、検討したいと思っています。

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<3月27日(木)>

今朝は、7時半から第8回のイラク緊急対策本部会議を開催しました。まず、各国の動向ですが、ブレア英首相が米国に到着して、26日から27日にかけてキャンプ・デービッドで米英首脳会談が開催の予定です。

軍事情勢ですが、米英軍は26日までにバグダッドの早期攻略の体制を整える一方、バスラ、ナシリア等で続くイラク軍の抵抗排除の作戦を展開中です。イラクが発射したミサイルはこれまでに合計10発、全てクウェートに向け発射され、一部ミサイルの射程は150キロメートル以上あり、うち1発は190キロメートル飛びペルシャ湾北部に着弾したとの米中央軍の発表がありました。また、26日、バグダッドの住宅地が空爆を受け、少なくとも住民15人が死亡、約30人が負傷したとの報道がありますが、米国防省はこの情報については確認中だということです。バスラの周辺ですが、ウム・カスルの港に12トンの救援物資が到着しまして、米軍はバスラに飲料水の輸送を開始したということです。

邦人の状況では、人数的には昨日と変わらず43人ですが、今、「人間の盾」の11名のうち、2名が近くイラクを出国の予定です。現地時間で今日の午前7時に、日本時間ですと午後2時ですが、バグダッドをタクシーで出発してダマスカスに向かうということです。在シリア大使館の方に出国手続き等の支援要請が来ておりますので、館員を派遣して受け入れの支援を行いたいと考えています。

国連の動きですが、イラク問題に関します安保理の公開の会合、ニューヨーク時間で26日の午後3時、日本時間では今朝の5時から始まっております。アナン事務総長のスピーチに続き、各国の演説が行われておりますが、日本の原口大使の演説、31番目ということで、今日行われるとしてもかなり遅い時間になるのではないかと思っています。

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<3月26日(水)>

今日、午前8時から第7回目のイラクの緊急対策本部会議を開催しました。今日はいくつか発表事項がありますので、会議の概略は簡単に致します。

まず、軍事情勢ですが、イラク全土で天候が悪いということで、作戦は難航しているが、連合軍は目標に向けて攻撃を継続しているというフランクス司令官の発表がありました。天候の方は明後日くらいから完全に回復してくるのではないかということです。また、米軍ですが、バグダッドから100キロのカルバラまで進軍している、一方、ナシリアでユーフラテス川を渡った英米軍の地上部隊は、東ルートでバグダッドに向けて北上を開始しています。最新の情報ではバグダッドから150キロのクートで共和国防衛隊と散発的に応戦が始まっているようです。また、バスラの周辺では、シーア派がバース党に対し民衆蜂起、という情報が出ております。

各国の動きですが、日本時間の本日午前0時半からブッシュ大統領が戦時補正予算要求に関する演説を行いました。総額で747億ドル、支出の目的は3つあります。一つが、イラクの自由作戦及びテロとの戦いに従事する米軍兵士の支援、部隊の派遣費、装備の供給等について、626億ドル。二つ目にイラクの人々への人道支援の提供及び復興、更に、周辺友好国への支援として78.5億ドル。三つ目にテロの脅威からの米国本土防衛に42.5億ドル。その他の注目すべき動きですが、ブレア首相が26日に訪米をして、ブッシュ大統領、そして国連のアナン事務総長と会談を予定しています。一方、韓国の国会は国内での反対論の高まりを受けて、工兵や医療団をイラクに派遣するための法案の採決を当面は見送ったようです。
安保理の動きですが、イラク問題に関する安保理の会合開催の要請が、非同盟諸国、それからアラブ連盟からなされ、これを受けて、安保理の公開会合が26日の午後3時より開催される予定です。

邦人の保護状況は、20日に開戦されて以来、今日初めてイラクの邦人の数が減りました。3人減って43人です。但し、その一方で「人間の盾」としてサイトに配置されている人は6人増え、11人という形になってしまいました。11人の内訳は、ドーラの浄水場に6名、それからジャジーラの浄水場に3名、そして北イラクの変電所に2名です。一方、バグダッドから出国しました3人ですが、一人はシリアのダマスカス、二人はヨルダンのアンマンに出国したとの確認がとれています。

それから、イラクの難民救援に関し、現在、UNHCRの方からイラクの難民救援活動を支援するため、二点の要請がきています。一点は人道救援物資の供与と輸送です。そして二点目は難民キャンプへの医療チーム派遣、この二点になります。一点目の人道救援物資の提供については、UNHCRの方から緊急に必要とされる難民用のテントをヨルダンまで空輸してほしいという要請があり、内閣府の国際平和協力本部の人道救援物資備蓄から1,600人分、一つのテントが10人用で、これを160張、政府専用機にて輸送することを検討しています。必要な手続きを取りまして、今月中にも実施したいと考えています。次に難民キャンプへの医療チームの派遣についてですが、現在周辺国の難民の発生状況及び治安状況等について現地の大使館を中心に情報収集及び分析にあたっているところです。既に発表した医療技術協力、NGOを通じた支援、そして国際機関を通じた支援等々の進み具合ですが、医療技術協力に関しては、JICAの医療技術協力チームをシリアのハサケ国立病院における緊急医療体制の強化支援のために派遣しています。21日に日本を発ち、24日に現地のハサケ県に到着しております。二番目のNGOを通じた支援では、ジャパン・プラットフォーム傘下のNGOがイラクの北部及びヨルダンにおいて行います緊急医療活動に対し、約330万ドル、4億円を拠出しています。この中でイラクのドホーク北部に従来より疎開中の避難民に医療支援を実施中です。国際機関を通じた支援につきましては、3つの機関に対して、資金提供をさせて頂いたことを発表しております。

先日来、話題になっている在京イラク大使館の閉鎖の問題について、我が国として、現時点で在京イラク大使館を閉鎖することは適当ではないという結論に達し、その旨昨日米国に対しても伝達しました。在京大使館の処遇は接受国である我が国が主体的に判断する問題であり、様々な要素を勘案した上で、我が国としてイラク政府との公的なチャンネルを維持することが必要と考え、今回の結論に至りました。

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<3月25日(火)>

今日、午前7時から第6回目のイラクの緊急対策本部をオペレーションルームの方で開きました。まず、軍事情勢の報告ですが、イラク軍部隊が各地で激しく交戦をしていることは、当初の予測の範囲内と昨日フランクス司令官が述べています。米軍はあえてこれら部隊との直接の衝突を避け、迂回しながらバグダッドを目指している、機雷の掃海作業、湾岸からウム・カスル港まで水路の半分が終了したということですが、このウム・カスル港、今後イラクに対する人道物資等を運ぶ上では大変重要な港湾になってきますので、この作業が早く完了することを期待しております。バグダッドでは空爆が継続中で、また、特殊部隊が市内で作戦行動中ということです。南部方面においては、24日、イラク南部を襲った激しい砂嵐のために首都バグダッドに向かっている米第101空挺攻撃師団の攻撃速度が落ちているということです。イラク側ですが、私も3月の初め、イラクに行った時に会ってきましたアジズ副首相が開戦後初めて記者会見を行いました。記者会見によりますと、フセイン大統領はイラク国内を完全にコントロールしており、イラク指導部も良い状態にあるとの内容だったと思います。そのフセイン大統領はテレビ演説で徹底抗戦を呼び掛け、続けて、死亡説も出ておりましたイブラヒム革命評議会副議長の映像も放映されましたが、これらフセイン大統領の演説、イブラヒム副議長の映像はいつ撮影されたものか確認されていません。

邦人の関係ですが、昨日から1名増えてイラクに留まっている邦人は合計46名です。ただこれは、昨日から急に1名増えたということではなくて、実は北部のクルド地域にいるプレス関係の人が、今まで5名ということだったのが、実際は1週間ぐらい前から6名おりまして、それが昨日確認をされました。こういうことで1名増えましたので、全体的に46名になったということです。

各国の動きですが、トルコに関連して幾つかの動きがあります。NATOでは、24日の大使級会合において、ドイツとベルギーが、トルコがイラク北部に侵攻する場合、トルコ防衛の任務の見直しもあり得る旨の発言を行っております。一方で24日、トルコ政府高官は難民流入を防ぐため等として、イラク北部に軍隊を派遣する意向を表明しています。この点、今後の一つの注目点になってくるのではないかと考えています。

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<3月24日(月)>

本日、朝の7時から第5回の外務省のイラクの緊急対策本部が開催されました。まず軍事情勢でありますが、米軍の進撃は継続し、最前線はバグダッドまで約160キロ、ナジャフにまで到着しているということです。また今回の作戦は「SHOCK&AWE」、「衝撃と畏怖」と呼ばれており、この空爆のキャンペーンも継続中で、バグダッド近郊の共和国防衛隊の拠点、これもターゲットとしているようです。一方、イラク側の抵抗もここに来て激化を致しております。ナシリアにおきましては、ほぼ終日激しい戦闘が行われた模様です。5人の米軍兵士が捕捉され、アルジャジーラ・テレビでもその様子が放映をされております。更に、米軍兵士十数名が行方不明ということです。南部バスラでは市街での睨み合いが続いていますが、イラクも引き続き抵抗している模様です。一時、制圧をされたと発表されたウム・カスルですが、スポット的に抵抗があるようです。抵抗しているのが共和国防衛隊という情報もありますが、この点につきましては確認がされておりません。北部では、米特殊部隊とクルド人抵抗勢力と共同で、モスルとキルクークを伺う模様です。また、英軍機のトルネードですが、米軍のパトリオットで撃墜されたとの点については確認済です。バグダッドに接近するにつれ、イラク側の反撃は増加するものと予想されております。米軍にとりまして当面、ナシリアの拠点確保、シーア派の聖地でありますナジャフの早期奪取が戦術的に重要であるという情勢です。

次に邦人の保護状況ですが、昨日からまた5名増えております。5名全員が、一旦イラクの外に出た報道関係者、フリー・ジャーナリストでバグダッドにいた人が、一旦出たのがまた5名戻ってきたという形で、全体の内数で言いますと、昨日来申し上げておりますようにNGO、これは北イラク、これが6名です。報道関係者が19名から24名に増えました。このうち19名がバグダッド、そして北イラク、クルド地域に5名という形です。また市民団体・個人は15名です。「人間の盾」の登録を確認している人が7名。人間の盾として実際にサイトに配置されている人が5名。この部分の人数は変わっておりません。

尚、昨日幾つかのマスコミの皆さんから各国の対応がどうなっているんだという御質問がありまして、若干調べてみました。韓国ですが、現在4名がイラクに滞在をしているとのことです。一日1回、4名の方から在ヨルダン韓国大使館に連絡が入るそうです。一方、フランスですが、報道関係者、永住者がいると思われるが、自己責任で滞在している以上、特段の措置はとっていない、。人間の盾参加者についても同様であり政府として安否確認に関知しないということです。ドイツについては、報道関係者、永住者がいると思われるが正確な数は把握していない、人間の盾参加者の人数、場所も不明。先方から連絡も無く、特段の措置はとっていないということです。イタリアについては、22日現在の滞在者は35名で大部分が報道関係者。うち、「人間の盾」登録者は4名。報道関係者は全てバグダッドに滞在中。「人間の盾」の所在につきましては不明とのことです。オランダについては、20日時点で14名がイラクに滞在しているけれども、場所とか内訳は不明だそうです。ロシアについては、現在イラクには大使館員と報道関係者のみで、一般のロシア人はいない。イギリスについては、「人間の盾」参加者が7名いたこと以外把握していないが、現在、調査中であるとのことです。それぞれの国がそれぞれ独自の対応をとっているようですが、我が国と致しましては、今後とも邦人の保護に関しては、なかなか難しい状況もありますが、限られた中で万全を期していきたいと考えております。

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<3月23日(日)>

今日の9時から、第4回目の外務省のイラク緊急対策本部を開きました。今日の会議は概ね30分で終わりました。軍事行動の状況ですが、米国国防省の報告によりますと第4師団をトルコ経由で投入する計画は断念をした、地中海に待機していた約40隻はスエズ運河経由でペルシャ湾方面へ移動中とのことです。また、バクダッドの状況ですが、22日夕刻から米英軍の空襲が継続しております。バスラ方面の状況ですがバスラ北方の空港と橋を制圧、支配下においた。但し市街戦には入っていない模様です。こちらの方はどちらかと言うと英国軍が中心で、強制的に制圧するというよりも、若干時間が掛かっても投降を待ったりということを考えているようです。北部の状況につきましては、モスルに対する攻撃が始まっている模様です。また、トルコの動静ですが、トルコ軍が北イラク州に侵入している模様ですが、トルコの参謀本部はこれを否定しています。但し、その用意は整えているということで、国境付近は日常的に人が行き来したりということがありますので、全体的に必ずしも組織的にトルコ軍が侵入しているとの確認はできておりません。イラク側ですが、22日夜にイラク国営テレビがフセイン大統領が3回にわたり政府高官と会合を持っている様子を放映しています。ただ、イブラヒム(革命評議会副議長)は会合には出ていなかった、画面にいませんでした。また、映されました映像がいつの時点のものか未だ確認できていません。

在留邦人関係ですが、昨日段階で33名であったイラク国内に残留している日本人の数は、残念ながら今日7名増えて40名になっております。内訳は報道関係が1名追加、市民団体・個人が6名増加という形です。実際の内数は、1人バクダットから退去をして国外に出ましたが、逆にダマスカスから5名、ヨルダンから3名入ったということで、7名増えたという形になっています。実は、日本時間で昨晩、私はダマスカスにいます林大使と直接連絡をとりまして、説得など更に力めて欲しいとの話をしました。ダマスカス経由で入りました5名につきましては、説得を試みましたが大変意思が硬いとのことで、またそれぞれ自己責任で入るとの話でして、外務省としても強制力を持っておりませんので止めることは出来なかった訳です。なお、昨日段階でダマスカス経由で入ろうとしている意図を持っている人が10名近くという話を申し上げて、その内の今申し上げた5名につきましては意思が硬く自己責任で入りますとのことで入られてしまったわけですが、残りの5名につきましては若干名について説得が功を奏しておりまして今思いとどまる、こういう段階になっています。

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<3月22日(土)>

今朝の9時から、第3回目の外務省のイラク緊急対策本部会議を50分開催しました。バスラ方面、それからバグダッド、西部、北部、四方面から本格的なオペレーションが始まり、バグダッドにおきましても激しい空爆が行われたようです。また、第3機械化歩兵師団が国境から約160kmの地点まで到達しているとのことです。イラク南部におきましては、ウム・カスル及びファオ半島を制圧したのことです。そして西部におきましては、H-2及びH-3の飛行場、H-3にはスカッド・ミサイル、それから大量破壊兵器等々が隠匿されているのではないかということも言われていたところですが、このH-2そしてH-3の飛行場を占拠したとのことです。
一方、イラク側の方では、フセイン大統領の安否情報につきましても、いろいろな情報が流れておりますが、確たる情報は確認できていません。イラク軍兵士の投降が相次いでいるようですが、まだ確認はできておりませんが、一個師団8,000人が師団ごと投降したという情報も流れています。また、イラク南部では、何カ所かの油井が炎上しているという状況が続いているということです。

国連の方の動きは、安保理の正式な会議が開催されるという予定はありません。但し、オイル・フォー・フード計画に関連しまして、非公式協議の中で、できるだけ早くこの問題について結論を出したいとして、専門家レベルで今協議が進んでいるという事ですけれど、今誰が責任を持ってオイル・フォー・フード計画の現地における配分等を行うかということは、まだ結論は出ていないとの報告がありました。

次に邦人の保護状況ですが、残念ながら昨日に引き続きまして、またイラクに入る人が増えております。昨日段階30人でしたが、これが33人に増えています。内訳を申し上げますと、報道関係者は昨日までは16人でしたが、これがまた2人増えてしまった、そして市民団体・個人も8人から9人に1人増えました。3人ともダマスカスからイラクの方に入りました。一方、今ダマスカスに更に10人くらいの人がイラクに入りたいということで集まっているようで、これに関しましては、現地の日本大使館の方で必死に思いとどまるようにと説得を続けている状況であります。そして、昨日段階で、1名の方の安否がはっきりしないということがありましたが、この1名も安否の確認がとれました。33人全員につきまして、今朝の3時時点、つまりバグダッドの爆撃が始まる前の時点までは全員の安否の確認ができております。しかし、それ以降非常に電話がつながりにくくなっており、例えば、東京から電話しても、通じるのは10回に1回くらいの状況で、3時以降につきましては、この安否の確認はできていません。

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<3月21日(金)>

今朝の7時から、外務省のイラク緊急対策本部第2回目の会議(注:第1回会議は開戦当日の20日、12時25分より開催)を開催しました。ちょうど1時間かかりました。

まず、米軍等の動きですが、20日の夜米軍は主力部隊である第3歩兵師団など地上部隊をイラク南部へ進撃させ、イラク軍との交戦を開始したとのことです。これに先立ち、クウェートの米軍陸上部隊はイラク・クウェート国境付近のイラク軍に対する砲撃やミサイル攻撃を実施し、米中央軍司令部によりますと、この攻撃で、イラク・クウェート国境バスラの長距離射程発射台2台、地対地ミサイル・システム1台を含む9つの標的を攻撃しました。また、米軍は、地上軍支援のためにペルシャ湾展開中の米空母艦載機が、イラク南部で相当規模の空爆を再開しています。クウェート国営通信によると、米英軍はイラク南部のクウェートとの国境沿いの町、ウム・カスルを制圧したとのことです。また、20日21時、米軍はバクダット中心部の複数の大統領宮殿及び政府施設に対する空爆及び巡航ミサイルによる攻撃を再開しています。
一方、イラク軍等の動きですが、20日午前、イラク軍は米軍の駐留しているクウェート北部に向けてスカッド・ミサイルを含むミサイル6発を発射したと見られています。但し、スカッド・ミサイルが含まれているかどうかにつきましては、現段階では確認されていません。クウェートの国防省当局者によると、スカッドは2発とも米軍のパトリオットミサイルに迎撃され空中で爆破され、残りの4発は国境地帯に着弾したが、人的・物的被害は出ていないということです。また、イラク軍がイラク南部の油田3、4カ所を放火したとの報道があり、ラムズフェルド国防長官も20日の記者会見で、放火した可能性があると発言し危惧しております。

3点目に、邦人保護の関係ですが、昨日と大きく変わっている点は、イラクの邦人数が27名から残念ながら30名に増えたことです。内訳を申し上げますと、北イラク・クルド地域におりますNGOの6名は変わっておりません。報道関係者が13名から16名に増えております。これはフリーカメラマン3名がバクダットに入ったためです。それから、市民団体・個人は8名です。報道関係、市民団体含めまして「人間の盾」の登録を確認している人数は7名です。そして、「人間の盾」以外の市民団体・個人で当面残留する意向の方が2名います。なお、日本時間の今朝の4時半段階までで、この30名のうち1名以外につきましては安否が確認済みです。

明日は予定としては9時から緊急対策本部を開きたいと考えております。もちろん状況の変化等々ございましたら適時判断をして、この対策本部は再開されるという形になると思っています。

自民党幹事長 衆議院議員茂木としみつ

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