政調会長会見録

2016年12月15日

平成28年12月15日(木)
15:00 ~
於:党本部記者会見場

【冒頭発言】

 本日、「働き方改革に関する特命委員会」の「中間報告」を取りまとめました。来週、安倍総理に申し入れを行うことを予定しています。
 すでにご覧いただいていると思いますが、この「中間報告」は、「働き方改革実現のための制度改正」、「平成29年度予算及び税制改正による対応」。主にこの2つの柱で構成しています。
 特に2番目の「予算及び税制改正による対応」については、アベノミクスの成果により雇用情勢が改善した結果生まれた果実を活用することにしました。具体的には、雇用保険特会の人材投資関連予算を今後、倍増して「未来への人材投資プラン」を推進することにしました。予算の裏付けなどもある思い切った政策を打ち出すことができたと考えています。
 年明けにも引き続き議論を重ね、今年度内に最終報告を取りまとめたいと考えています。

 

 

【質問】

 昨日、沖縄で起きたオスプレイの事故についてお伺いします。沖縄からは非常に反発が出ています。率直な受け止めは。
 また、本日午前中に二階幹事長が沖縄県連の照屋会長と会談した際、「これまで以上に実効性がある対策を講じられるように党を挙げて考えていきたい」とおっしゃっていたが、会長からご覧になって党としてできる実効性ある対策というのはどのようなことが考えられるのでしょうか。

 

【回答】

 まず、事故の発生については、地元の住民の方々に大きな不安を与えるもので、極めて遺憾だと考えています。
 昨日の米側からの情報提供によると、不時着水したオスプレイは、沖縄東方の海上で、米空中給油機からの空中給油訓練を実施中、プロペラが給油ホースを切断したことにより、プロペラのブレード、つまり羽が損傷し飛行が不安定になった。
 そして、パイロットの判断により、訓練地点から距離が近いキャンプ・シュワブを目的地として飛行する中で、地元への影響を極小化するため海岸沿いを飛行していたが、途中、辿り着けないと分かったため、パイロットが意図した地点である浅瀬に着水した。
 米側の見解としては、事故の原因が機体そのものの問題である可能性は極めて低い。
 このように情報提供があったところですが、政府から米側に対して事故原因の究明及び日本側への情報提供、さらに安全が確認されるまで、オスプレイを飛行停止するよう申し入れを行ったところです。米軍は、今回の事故と日本側の申し入れを受け、安全が確認されるまでオスプレイの飛行を一時停止しています。
 米軍機の飛行に際しては、安全面の確保が大前提です。米側には、引き続き、事故に係る原因究明、情報提供、再発防止の徹底を政府とともに党として申し入れていきたい。とくに党の側としては、地元のさまざまな不安などをきめ細かく吸い上げる努力をしていきたいと思っています。
 私も来週、沖縄を訪問する予定です。その際に具体的にどのような声が上がっているのかをしっかりと聞いてきたいと思っています。

 

 

 

【質問】

 関連してですが、地元からの反発が上がっているということで、普天間基地の移設やオスプレイの配備が予定されている横田基地、佐賀空港への影響が懸念されますが、地元への説明などを含めて政府にどのような対応を求めていくお考えですか。

 

【回答】

 まず、米側に事故の原因究明、情報提供、さらには再発防止策をしっかり徹底することを求めるのが第一だと思っています。その情報提供、再発防止策を踏まえて、地域住民の皆さんとお話をし、説明をしていくということになると思います。

 

 

 

【質問】

 来週の沖縄訪問の具体的な目的と日程は。

 

【回答】

 22日に北部訓練場の返還式典が予定されています。基本的な目的はこれに出席することです。

 

 

 

【質問】

 IRの基本法が成立しました。次の検討課題は実施法になると思いますが、これに向けて与党内、自民党内でどのような検討をするのか。また、スケジュールを教えていただけないでしょうか。

 

【回答】

 この実施法は、今回の基本法制定から概ね1年くらいだと思います。おそらく実施法は内閣提出法案となりますが、これまで議連や国会などでの議論の経過がありますので、しっかりと実施法に反映をさせたい。同時に、ギャンブル依存症の問題やマネーロンダリングの問題などさまざまな課題がしっかりと解消されるような対策を政府と考えていきたいと思っています。

 

 

 

【質問】

 依存症対策ということですが、現時点で入場規制や入場料金の問題など考えている案があればお聞かせください。

 

【回答】

 まさにこれからだと思っています。

 

 

 

【質問】

 日露の関係について。今日、安倍首相がプーチン大統領と会談し、北方領土問題や経済協力について協議する見通しです。このタイミングにおける首脳会談の意義と期待する成果についてお聞かせください。

 

【回答】

 これまで両首脳間で何度も議論を重ねてきました。今回の日露首脳会談は、そういったさまざまな対話を踏まえて、双方が胸襟を開いてトップ同士、向かい合って率直に議論を進める大変いい機会だと思っています。
 もちろん、70年以上解決してこなかった問題であり、一回の会談で解決できるような簡単な問題ではないと考えていますが、安倍総理とプーチン大統領の信頼関係の下に、領土問題・平和条約を着実に前進させる会談となることを期待しています。

 

 

 

【質問】

 関連です。今回、極東での大規模な経済協力も進みそうな絵が見えますが、この点は会長としてどのようにお考えでしょうか。

 

【回答】

 経済分野「8項目の協力プラン」は、ロシア極東地域における開発、医療などの分野についてはロシア全体で日本の企業などが日本の技術を使って協力をしていくということで、我が国にもロシアにも大きな利益をもたらす、双方にとってウィンウィンの協力となる提案・プランだと考えています。
 こういった幅広い分野での日露関係の拡大・強化・深化は、平和条約を進展させていくという意味からもプラスになると考えています。

 

 

 

【質問】

 IR法案について、連立政権を組む公明党について伺いたい。今回、採決で自公の足並みにばらつきが出たことに加えて、会期延長についても公明党は賛同せず、自民党が単独で議長に延長要請をすることになった。この自公の足並みの乱れについて、会長はどのようにお考えでしょうか。

 

【回答】

 今回のIR法案は議員立法です。わが党としては党内手続きを経て、この法案に賛同することを決めました。公明党は自主投票という形でしたから、公明党所属議員の個々の判断に基づいて投票をされたと理解しています。当然、そういった意味でIR法案のこの国会での成立ということについては、自民党と、公明党の個々の議員については意見の違いがあったと考えています。

 

 

 

【質問】

 来年度予算編成の関係で、高額療養費制度の見直しについて。今日、自公それぞれの部会で見直し案が了承されました。まず、この受け止めをお聞きしたいのと、これによって社会保障費1,400億円抑制の目標は達成される見通しになったのかどうか。

 

【回答】

 まず、後者の方から。来年度の社会保障関係費全体については、まだ与党内手続きが残っていますが、1,400億円抑制の目途は立ったと考えています。
 この中で、高額療養費制度については、負担能力に応じた公平な負担として全世代で制度を支え合うことが必要といった観点から、70歳以上の中所得者層についても見直すこととしたわけです。具体的にはご案内の通り、外来の月額の上限を2017年8月から1万4,000円に、2018年8月から1万8,000円に段階的に引き上げていく。そして、年間を通じて長期で療養をされている方の負担が急激に増えないように、年間の上限額についても1万2,000円×12、14万4,000円とさせていただきました。
 急激な変化や過度の負担にならない中で、来年度以降についても道筋をつけるいい結論を得ることができたと考えています。

 

 

 

【質問】

 関連で。「1,400億円の目途は立った」ということですが、高額療養費の見直しに関しては、当初の厚労省案は中所得者の負担を倍増させる案だったと思います。それに比べて引き上げ幅が圧縮されましたが、足りなくなった部分はどのような形で手当てをするのでしょうか。

 

【回答】

 基本的には協会健保の超過準備金を臨時財源として使っていく。30年度から効果が生じる改革の実施を本年末までに決めた場合、その財源を臨時財源として使えるということになっています。その部分を活用することになると思っています。

 

 

 

【質問】

 日・EUのEPAの関係でお伺いさせてください。年内にも大枠合意ということで出してきたと思うのですが、党内の中では「情報が来ていない」、「もう少し慎重な議論を」といった反発の声も上がっています。党内で今後の対応・対策をどのように取りまとめますか。あまり時間もないと思いますが。

 

【回答】

 まだ交渉の途中です。日・EUの場合はいわゆる大筋合意ではなく、大枠合意ということになると思いますが、ある程度一定の交渉ができた段階で説明があると思っています。
 いくつかの問題について、ぎりぎりの交渉をしていると聞いています。大枠の合意がされれば、党に対する説明があると考えています。

 

 

 

【質問】

 原発事故の帰還困難区域の除染について、国費を直接投入する方針が報道されていますが、一部では加害者責任という原則から逸脱するのではないかという声も上がっています。その点の妥当性をどのようにお考えになりますか。

 

【回答】

 まだ詳しい話を聞いていませんので、聞いた上でお答えさせていただきます。

 

 

 

【質問】

 統一会派を組む無所属議員の部会などへのオブザーバー参加についてお尋ねします。先週、会長が説明をされて、すでに了承されたかと思いますが、一部議員から反発がありました。本件は総務会案件ではないと思いますが、オブザーバー参加が決定しているのかどうか。事実関係を含めて現在の状況をお聞かせください。

 

【回答】

 了解いただいていると考えています。ただ、総務会などで追加の説明が必要ということでしたら、執行部として説明をさせていただくことになります。

 

 

 

【質問】

 IRに関連して、依存症対策を求める声が国会審議でも繰り返し強調され、付帯決議の中にも盛り込まれています。できるだけ早期の対策をということですが、依存症対策について法律を制定することを民進党も求めていました。その必要性について会長のお考えをお願いします。

 

【回答】

 いわゆるギャンブル依存症対策は重要だと考えております。それが即座にIRと結びつくものなのかどうかも含めて、どういった対応が必要なのかということが今後の課題だと思っています。

 

 

 

【質問】

 総括的な話ですが、今国会、IR法案を含めて年金法案、TPPなどの重要案件が審議されました。まだ終わっていませんが、今国会を振り返ってどのような評価でしょうか。

 

【回答】

 臨時国会の会期が再延長されたのは、9年ぶりのことだと思います。事業規模で28兆円の2次補正、TPP協定・関連法案、年金改革法案、IR法案といった重要案件を成立させることができた。政府提出法案の成立率は94.7%で、非常に成果の大きい国会であったと考えています。我々として、できる限り丁寧に国民に対する説明をすることで、この国会に臨んできました。
 一方、野党は、重要法案の審議で、「提案型」と言いながら何ら対案も出さず、ただ「反対、反対」と繰り返すことに終始しました。委員会の採決時にプラカードを掲げる姿、さらにはいたずらに審議日程を引き伸ばす姿勢は、従来の野党とまったく変わらないという印象を持ちました。さらに、途中で採決を放棄して議場を何度も退席する、そして、衆参での対応がチグハグであったり、多くの国民は野党の姿勢に失望したのではないかと率直に思っています。
 我々はこれからも具体的な政策を掲げ、1つ1つ成果を挙げることで国民の期待に応えていきたいと思っています。

 

 

 

【質問】

 来週の沖縄訪問は北部訓練場の返還式の他に、今回のオスプレイの事故を受けた党としての対応としても行くということでしょうか。

 

【回答】

 基本的には前者です。その中で必要があれば、そういった動きもあると思います。

 

 

 

【質問】

 関連で、今回の事故を受けた党の対応として、いつ頃までに「こういった対応をします」という結論を出すのでしょうか。

 

【回答】

 事柄の性格上、党として何かを決定して物事を進めるより、やはり日米両政府においてすぐれて対応すべき問題だと思います。とくに米側の対応が重要となってくるわけです。事故原因の究明、さらには正確な情報の提供、再発防止策。米側から「こういった形で」というものを提示してもらって、政府において判断する。また、政府において要請をする。そういった動きを見ながら、党も必要なことについて意見を申し上げる。こういうプロセスになると思います。

 

 

 

【質問】

 アメリカのFRBが1年ぶりに利上げを決めましたが、率直に日本経済への影響をどのようにお考えでしょうか。

 

【回答】

 ある程度マーケットは織り込んでいると考えています。為替の動きなどについて、わが国として大きな懸念材料が出ることはないと思っています。

 

 

 

 

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