2014年8月29日
平成26年8月29日(金)
11:02~11:19
於:記者会見室
(冒頭発言)
【平成27年度の概算要求】
おはようございます。私の方から、まず概算要求等につきまして簡単に御報告申し上げたいと思います。
平成27年度の概算要求、そして税制改正要望、今日提出をいたします。
まず、概算要求についてでありますが、大きく三つポイントがございます。
一点目は、福島被災地の復興加速の問題であります。立地補助金、そしてグループ補助金、これは事項要求でありますが、これを復興庁の予算に計上して雇用創出や生活の再建支援を加速したいと考えております。
そして二点目は、地域経済の活性化の問題でありまして、私もこの夏に北は北海道から南は九州まで全国の経済産業局の所在地を訪問して、地域経済の代表者、また中小企業、小規模事業者の方々とも意見交換をいたしました。そういった成果も踏まえまして、アベノミクスをより幅広く全国津々浦々に届けるための政策パッケージとして、総額で557億円を要求いたします。これは本年度の3.6倍の要求ということになります。経済産業省として、総理を本部長とします「まち・ひと・しごと創生本部」に積極的に貢献していきたいと考えているところであります。
三点目はエネルギーの関係でありますが、省エネ補助金を8割増の750億円で要求するなど、省エネ対策に2,064億円を要求いたします。また、水素社会の実現に向けて燃料電池自動車の導入であったり、水素ステーションの整備などに401億円、そして再生可能エネルギーの最大限の導入に向けて、大型洋上風力の開発などに1,586億円を要求いたします。
これらによりまして経済産業省全体での予算要求、これは一般会計、そしてエネルギー特会を含めまして、総額で1兆7,278億円、対前年当初予算比で12.2%の増額の要求ということになります。
次に、税制改正についてありますが、もう一段の企業収益の拡大、賃金の上昇等を通じた真の経済の好循環の実現を図るとともに、アベノミクスの効果を全国に波及させ、地域経済の再生につなげることを目指したものにしていきたいと考えておりまして、ポイント四つございます。
まず一つは、法人実効税率を国際的に遜色のない水準に引き下げることを目指し、来年度から法人実効税率の引き下げを開始し、数年で20%台まで引き下げることを要望いたします。
一方で、租特について必要性を精査しまして、課税ベースの拡大にもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
二点目でありますが、中小企業者等に係ります法人税の軽減税率の引き下げを目指すことに加え、事業承継等についても制度の充実を要望いたします。さらに、ローカル・アベノミクスに関連をいたしました取組としまして、「まち・ひと・しごと創生本部」と連携をしつつ、税も含めた政策パッケージで支援措置を検討してまいりたいと考えております。
三点目は、効率的・効果的な民間研究開発投資を促す仕組みを構築するために、オープンイノベーションの重点的推進を含め、研究開発税制の強化、重点化を要望いたします。
そして最後四点目でありますが、消費税を10%に引き上げる場合の需要減に対応するとともに、車体課税見直しの3年間の仕上げとして、自動車取得税を確実に廃止するとともに、一層のグリーン化に向けた措置を要望いたします。
本日提出をいたします、これらの予算・税制改正の要望については、日本経済の本格的・持続的な成長、そしてローカル・アベノミクスの実現を第一に掲げる安倍内閣にふさわしいものとなるように財務当局とも今後しっかりと調整を図ってまいりたいと考えております。
詳細につきましては、この後、事務方から説明をさせていただきたいと考えております。
私の方から、以上です。
(質疑応答)
【川内原発再稼働】
Q: 一点、原発の再稼働の地元理解に関してお伺いしたいと思います。
九州電力川内原発は審査書が間もなく決定する見通しで、地元の鹿児島県知事からは再稼働の必要性について文書で明示してほしいという御要望が出ると思いますけれども、地元理解に向けて経済産業省としてどのタイミングで具体的にどのような対応をとられるのか、現時点でのお考え、検討状況をお聞かせいただけますでしょうか。
A: 若干丁寧に説明していいですか。
Q: はい。
A: 7月16日に原子力規制委員会の方で川内原発について許可基準に適合していると認めた審査書案、これが取りまとめられたことは、まず大きな前進であったと考えております。
現在、30日間の意見公募、締め切りが8月15日ということでありましたが、これが終了した段階でありまして、もし問題がなければ原子力規制委員会が川内原発に係ります原子炉の設置変更許可を行うものと認識をいたしております。
今後、規制委員会によりまして安全性が確認された段階で再稼働に向けて立地自治体等関係者の理解を得るために、九州電力が丁寧な説明を行うのはもちろんのことでありますが、エネルギー政策、原子力政策の方針も含めて、国としてもしっかりと説明を関係者の皆さんにしていきたいと思っております。
国から立地自治体等への説明に当たっては、関係省庁がそれぞれの役割に従って連携していくことが必要だと考えておりまして、原発の新規制基準への適合審査の結果については、当然原子力規制委員会が中心になります。また、原子力を含みます我が国のエネルギー政策に関しては経済産業省、さらには原子力防災に関しては内閣府の原子力災害対策担当室が行うことになると考えております。
鹿児島県知事を初め、関係者の方々から「文書を含めた何らかの方向で政府の方針を明確に示してほしい」という要望を受けているところであります。これまで政府としては「安全性が確認された段階で原発の再稼働を進める」という方針は明示をいたしておりますが、個別の原発についてこういった要望もいただいているところでありまして、関係者の理解に向けて適切に対応してまいりたいと考えております。
【原発の電気価格保証】
Q: 原発関連でお尋ねします。
21日の原子力小委員会で電力の完全自由化を見据えまして、いわゆる原発の電気に対する固定価格買い取り制度を検討していきますよということを示されたと思うんですけれども、これにつきまして、識者から、これまで政府は原発のコストは安いという説明に矛盾するのではないか、原発の延命策ではないのかという批判がありますけれども、これにつきまして大臣の御所見をお伺いしたいのですが。
A: 事実関係から申し上げます。
21日に開催された小委員会では、「競争環境下における事業環境のあり方」をテーマに議論が行われまして、こうした課題に先んじて対応している英国政府より、プレゼンテーターを招きまして、原発を含めた低炭素電源を対象とするCfD制度、これは差額決済契約制度でありますが、こういった英国の取組について紹介をしていただいたところであります。
恐らくこういった紹介があったということで、経済産業省が「原発の電気価格保証」の制度の導入について提案したという報道につながっているのかもしれませんが、経済産業省から一つの案に絞って具体的な制度の導入をその小委員会で提案したわけではありません。現時点で何らかの措置が決まったものではないと理解をいたしております。
【浮体式発電所】
Q: ブルームバーグニュースのワタナベと言います。
先ほど大臣、予算の中でもおっしゃったんですけれども、浮体式洋上風力についても予算をつけるというようなお話だったんですが、それに関連してなんですけれども、浮体式洋上風力のプロジェクト、日本で行われていて、また世界的に見てノルウェーの会社が浮体式の火力発電の構想を持っていたりですとか、ロシアでは浮体式で原発をやるとか、そういう計画もあるんですけれども、風力に限らず浮体式発電所というものについて日本の政府としてはどのようなポテンシャルがあるというふうに考えているのかというのが一点と、そういう浮体式の発電所について日本がそれを技術開発でどういった役割を果たせるかといったことについてお聞きをしたいんですが。
A: 浮体式のもの、今は洋上風力を中心に考えておりますけれども、エネルギー分野、これからさまざまな技術開発や研究開発を進めていきたいと思っております。現時点におきまして、浮体式の原発は考えておりませんが、洋上だけではなく、今後いろいろな可能性についても研究するということは必要だと思っております。
Q: 火力発電については、いかがでしょうか。
A: そこまで具体的に話を進めているということではありませんけれども、浮体式の原発をやるということはありません。
【景気見通し】
Q: 今日、先ほど鉱工業生産指数が発表されて、0.2%のわずかな増加にとどまった。あと家計支出についても4カ月連続の落ち込みという統計が発表されていますけれども、7-9のGDPがどれだけ回復するかも含めて景気の見通しについて、大臣どのようにお考えでしょうか。
A: 7月のIIPは、一般機械類の生産増によりまして、前月比、今ありましたようにプラスの0.2%ということで2カ月ぶりに上昇いたしました。また、小売販売額は前年同月比プラス0.5%と4カ月ぶりの増加ということになります。
消費税率引上げに伴います駆け込み需要の反動減の影響もありまして、生産は弱含みで推移をしておりますが、小売業の販売動向には持ち直しの動きが見られるなど、駆け込み需要の反動減、和らぎつつあると考えております。
景気は緩やかな回復基調が続いておりまして、先行きにつきましては雇用・所得環境が改善をする中で7-9月期には再び成長軌道に復帰することが期待をされております。期待をするだけではなくて、それをしっかり後押しをしていかなければいけないということで、6月に改訂版の成長戦略をつくったわけでありますが、これを着実に実行していくなどのことによりまして、しっかりとこの景気の回復を図り、そして経済の好循環を全国津々浦々に届けてまいりたいと考えております。
【RCEP】
Q: 大臣、ミャンマーへの出張お疲れさまでした。RCEPの閣僚会合なんですが、インドが保留ということで目標としていたモダリティに関する合意というのは今回の会合ではできなかったんですが、また7月末のWTOの貿易円滑化協定でも、聞くところによるとインドの反対ということで7月末の期限どおりに採択されなかったということでありました。
こうした状況を踏まえて、インドへの働きかけを含めて、今後RCEP、またWTOの貿易円滑化協定を含めたドーハ交渉の今後の議論の進め方について、今大臣どのようにこれから準備を進めていこうかというふうに考えていらっしゃいますか。
A: RCEP、ミャンマーでの一連の会合の2日目の午後に行われたんですけれども、なかなか大変でした、率直に言って。
閣僚会合で関税交渉のモダリティに関して具体的な数字であったりとか、そこまで行きませんでしたが、合意に向けた方向づけは行うことができたと考えております。
そして、スケジュール感でありますけれども、今年の秋には事務方でモダリティを決めた上で12月にインドで予定されております次回の交渉会合までにイニシャル・オファーを交換することで大方の合意ができたと思っております。
また、サービスであったりとか投資の自由化方式についても、かなりネガ、ポジ含め議論の進展が見られましたし、電子商取引、そして中小企業を交渉分野に加えることでも合意をしたところであります。
モダリティの議論などで一部の国がリザーベーションを示したのは事実でありますが、全体としては意識の共有がかなり進んだと考えております。2015年のRCEPの合意、これについて、それは撤回しようという国は一国もありませんでした。2015年末の妥結目標の実現に向けて、しっかりと交渉を続けていきたいと思っております。
(以 上)