茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2013年12月20日

平成25年12月20日(金)
11:25~11:38
於:記者会見室

(冒頭発言)

 

【原子力災害対策本部】
 私から1点まず御報告をさせていただきます。
 本日、閣議前に原子力災害対策本部を開催いたしまして、一つには廃炉、汚染水問題に関する予防的、重層的な追加対策、そしてもう1点、原子力災害からの福島復興の加速に向けて、この二つについて、指針を決定し、原子力災害からの福島復興の加速に向けては、その後の閣議においても、同様の決定をしたところであります。
 これらの指針は、先月与党の方からいただきました提言も踏まえて、福島の再生加速のために政府内で検討を進めてきた結果を盛り込んだものでありまして、三つの大きな方向性を示しております。
 具体的に申し上げますと、一つは帰還に向けた取り組みの充実と新たな生活の開始に向けた支援の拡充の両面から福島を支援していく。
 二つ目には、予防的、重層的な汚染水対策の実施と廃炉推進に取り組む体制の強化など、東京電力福島第一原発の事故収束に向けた取り組みの加速化、強化であります。
 そして、三つ目には国と東京電力の役割分担の明確化による国が前面に立った原子力災害からの福島の再生の加速、この3点であります。
 今後、地元とも十分に協議しながら、福島再興の道筋を具体化していきたいと考えております。
 詳細につきましては、後ほど事務方から説明させていただきます。
 私から以上です。

 

 

(質疑応答)

 

【原子力災害対策本部】
Q: 今の原災本部の閣議決定に関してお聞きします。まず、一つ目は帰還に向けた取り組みを充実ということで、新たな生活を始める人に支援をということなのですけれども、この狙いというか、これは今までなかった新しい方針だと思いますけれども、どういうことを考えて盛り込むことになったのかという、そこについて聞かせてください。

 

A: まず、ふるさとに帰還をしたいと考えている住民の方々の帰還を後押しする。これが基本だと考えておりまして、健康相談の充実などの放射線の健康不安に応える対策や住宅の修繕、建て替えの賠償の追加、新しい交付金の創設など、帰還に向けた支援策の充実について、今回盛り込んだところであります。
 その一方で、地域によっては、帰還できない状態というものが長期化をし、ふるさととは別の地域で新しい生活を始めたいといった住民の声もあるわけでありまして、これに応えるために、移住先、そして移転先での新しい生活の選択も可能となるように、賠償を追加するなどの支援策の拡充を打ち出したところであります。
 このように、今回の指針では多様な住民の声に応える。こういう考え方に基づきまして、帰還の支援と新生活支援の両面の支援策を示したものでありまして、帰還を望まれる住民の方々につきましては、今後とも引き続き帰還の実現向け、最大限努力をしていきたいと考えております。

 

Q: もう1点、三つの方向性の三つ目の国と東電の役割というところで、原子力損害賠償支援機構保有している東京電力の株を将来の売却益を除染の費用に充てるということが盛り込まれているようですけれども、これについて、より東電の救済を強めるのではないかというような声というのも出るかと思いますが、そのあたりはどうしてこれに踏み切ったということなのでしょうか。

 

A: 福島再生に当たっては、賠償の問題もあります。そして、除染、中間貯蔵、更には廃炉、汚染水対策、十分な資金的手当が必要な事業がたくさんあります。
 前政権の当時を思い起こしていただきますと、全て東電に押しつけるといった形で、対策そのものも後手、後手に回る。そして、結果として福島の復興そのものが進まなかった。こういう現実があります。これを見直す。まさに国と東電の役割分担、これを事業面においても、また資金負担面においても明らかにする。こういったことによって、福島の復興を加速していきたいと考えているところであります。
 除染に相当する部分については、将来的に原賠機構が保有する東電株式の売却を行うことで、得られる利益により回収を図っていくということになるわけです。その前提となりますのは、当然東電の改革ということになってくるわけでありまして、東電としてしっかりした改革を進め、分社化をする。そして、電力システムの改革を先取りする。こういったことによって、企業価値を高めることで、国民負担を最大限抑制していく努力をしてほしいと思っております。
 東電として企業価値が高まらなければ、当然株価も上がらないということになってくるわけでありますから、東電を救済するということではなくて、東電も再生する中で、福島の再生も更に進めていく、こういう考え方に基づいて、今回の決定をさせていただきました。

 

 

【ものづくり補助金】
Q: せんだって、18日に総理が墨田区の中小企業、小規模事業者を訪問された際に、ものづくり補助金に関して、賃上げ企業に対して優先的に展開していくという方針を示されたと伺っているのですけれども、中小企業の支援策というのと経済の好循環をつくっていくためには、両立させるという意味で、今後どういった政策が必要だとお考えでしょうか。

 

A: 今御質問の点につきましては、当日午後官邸に行った際、直接総理から御指示をいただいたところでありますが、ものづくり補助金、これは平成24年度の補正予算で導入いたしました。
 地域の町工場には優れた技術というのが眠っており、これに光を当てるために、試作品づくり等に国としても支援策を講じる。1,007億円、この予算を投じまして、御案内のとおり、既に1万500社を超える企業の採択を行ったところでありますが、今回新しい経済対策におきましては、前回を大きく上回ります1,400億円の措置をいたしまして、対象もものづくりの製造業だけではなくて、商業、サービス業にも拡大をして、1万1,000社を超える中小企業、小規模事業者の試作品の開発、更には今回新たに生産プロセスの改善など、支援することとしております。
 予算成立後に速やかに公募を開始する予定でありまして、前回目標として1万社、実際には1万500社以上が採択をされました。今回、1万1,000社を目標として、それを上回るような支援ができればと考えているところであります。総理から御指示のありました賃上げした企業を優先的に採択することにつきましては、基本的な考え方、ものづくりの原点は、現場の人材であり、その観点から審査時の評価点を加点する等によりまして、人材育成や、賃上げ等の処遇改善に取り組む企業が優先的に採択をされる、国としてそういった企業を応援できるように工夫をしていきたいと考えております。

 

 

【原子力災害対策本部】
Q: 最初の幹事社の質問に重ねてお伺いいたします。
 二つあります。
 ほとんど説明していただいているのですが、今回出されたいろいろな三つのポイントも含めて、大臣としては何が一番今までと違うと思っているか、もしありましたらそれが1点。
 もう1点は、帰還のために必要な放射能のレベル、これは20ミリシーベルトに関するようなことを出されていまして、規制委員長なども、それでいいのではないかと言っていますが、これにはいろいろ議論があります。それについて、もし大臣御自身の今のお考えがあったら教えてください。

 

A: まず、2点目からお答えをしようと思いますけれども、帰還に向けての基準につきましては、御案内のとおり原子力規制委員会が個人線量を重視する、そして健康不安、健康管理対策を充実させて、生活をする中で、長期的に年間1ミリシーベルトを目指す、こういう方向性を打ち出したわけでありまして、それを踏まえた今回の決定になっております。
 そして、1点目、今回まとめました指針、方向ですが、一つは国が前面に出て、この福島の再生の問題に取り組む、改めてその強い意志を示させていただいたと思っております。
 同時に、例えば汚染水問題について申し上げますと、既に9月3日に基本方針を打ち出し、三つの基本方針のもとで9月10日にアクションプランをつくってきました。更にそれに加えて、そういったアクションプランが十分に効果を発揮しない場合の重層的対策を立てる。更には、潜在的リスクに備えた予防的な対策を立てる。こういったことで、今回予防的、重層的対策、追加対策として加えさせていただきました。
 同時に、帰還の問題につきましても、帰還に対する支援、更には新しい生活、そういったオプションに対する支援ということで、これまで以上に多様な、そして多層的な対策、こういったことを打ち出し、実行することによって、この事故の収束、そして福島の復興再生をしっかりと進めていきたいと考えております。

 

 

(以 上)

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