茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2013年6月7日

平成25年6月7日(金)
10:30~10:43

於:記者会見室

(冒頭発言)

 

【2013年版ものづくり白書閣議決定】

 今日は閣議後に国賓として来日しておられますオランド大統領の歓迎式典が宮中でございましたので、会見がこの時間になりました。
 私から御報告が1点あります。
本日の閣議で平成24年度ものづくり基盤技術の振興施策、いわゆるものづくり白書を閣議決定しました 。
 今回の白書では、平成24年度に講じた施策や各種統計データのほか、設備投資や産業の新陳代謝の促進など、製造業が抱える課題と方向性を示しております。詳細については、事務方から報告をさせていただきたいと思います。
 私から以上です。

 

 

 

(質疑応答)

 

【為替・株価】

Q: 昨晩の外国為替市場で円が対ドルで95円台に突入するなど、激しい動きがありました。また、株の方についても、今日も下落するなど、連日下げる局面が続いていますが、こういった市場の動きの受け止めと産業界などへの影響について、どう考えていらっしゃいますでしょうか。

 

A: 為替、そして株価の動きについては、基本的にコメントをすることは差し控えたいと思っております。ただし、各種の経済指標を見ても、我が国の景気は着実に持ち直してきていると考えております。引き続き市場の動向や、日本経済の影響等、注視しつつ、三本の矢を一体的に取り組むことによって、早期のデフレ脱却と民需主導の持続的な経済成長を目指していきたいと考えております。

 

 

【成長戦略】

Q: せんだって成長戦略の素案が示されました。市場関係者からは、規制改革などでもう一段の踏み込みが必要なのではないかというような声が聞かれました。近く最終決定があると思いますが、そこに向けての更なる措置など、どう考えていらっしゃいますでしょうか。

 

A: 安倍政権が発足して半年がたちまして、円高の是正による輸出の改善、また堅調な消費など、日本経済全体で見ますと、明るい兆しが見え始めていると考えております。
 他方で、日本経済を本格的な成長軌道に乗せるためには、民間主導による設備投資の拡大 が重要 と考えております。成長戦略の素案におきましては、あらゆる政策手段を総動員して、産業の新陳代謝の活性化を進めて、今後3年間で設備投資を10%増大させ、リーマンショック前の水準、70兆円以上に戻すこと等、目標としております。
 恐らくこの後、より具体的な成長戦略を今月中にも打ち出すことになると思っております。成長戦略をスピード感を持って実行する ことが極めて重要と考えております。施策を速やかに実行に移していくことで、持続的な個人消費の拡大、そして民需主導の投資拡大につなげていきたいと考えております。

 

 

【為替の動向、成長戦略】

Q: 今の質問に関連なのですが、成長戦略を今後実行するに当たって、為替の動向も踏まえる必要があると思いますけれども、いわゆる輸入産業、エネルギーや食料などは非常に経済的にも疲弊している局面もあるのですけれども、そこら辺も含めまして、今後の取組、検討についてお聞かせ願いたいと思います。

 

A: 当然、成長戦略を作るに当たっては、日本経済の置かれている現状、その中で例えば為替の水準、個人消費の動向、設備投資の動向、さまざまなものを踏まえて取組をしていきたいと考えております。基本的なラインは、成長戦略につきましては先ほどお答えしたとおりであります。

 

 

【電気事業法の改正】

Q: 電気事業法の改正ですけれども、民主党側は修正案を与野党合意したものとして記者団に発表していますけれども、この後参院通過まで、今ネックになっているのは何があるとお考えでしょうか。

 

A: 私がお聞きしておりますのは、修正案と日程も含めて、パッケージで合意できるかどうかということについて、与野党で協議をされたとお聞きをしております。修正案は修正案で、スケジュールはスケジュールで、こういうことではなくて、パッケージでの合意 、これができるかというのが焦点になっていると、このような報告を受けております。
 既に衆議院でも、審議もかなり進んでおりますので、一日も早い成立、これをお願いしたいと思っております。

 

Q: 確認ですけれども、スケジュールでは合意できてないという御報告を受けていらっしゃると。

 

A: 今の時点で合意できているという報告は受けておりません。

 

 

【民間企業の設備投資促進】

Q: 冒頭御案内いただいたものづくり白書の関連なのですが、中身を見ますと、先ほどおっしゃられたように、日本の製造業というのは設備投資、設備がかなり老朽化していて、設備投資も減っているということで、おっしゃられるように、事業再編ですとか、あるいは設備投資の促進が必要だということで、成長戦略にまさに書かれているわけですけれども、先ほど今月中にも具体策をというふうにおっしゃられましたけれども、もう少し今のお考えで、例えばどういうことが念頭にあるのか、大臣として設備投資を伸ばしたり、事業再編を促す環境整備というのはどういうことなのか、お考えをお聞かせください。

 

A: 恐らく今の日本経済を見てみますと、設備投資にも絡んで、3つのゆがみがあると考えております。
 その一つは過小投資の問題です。そして、2つ目には過剰規制の問題です。そして、3つ目には過当競争の問題。それぞれに問題の種類が違っていたり、業種によってはそれが重なっている業種もあると考えております。 過小投資、これをどうするかについては、すぐれて経営者の判断ではある、このように思っておりますが、事業環境、今大きく改善をする中で、どういった国としての後押しができるか、税の問題も含めて、企業が設備投資に対して決断をするような環境、これを作っていくことが必要 と思っております。
 そして、2つ目は過剰規制の問題、これにつきましては、これまでの地域特区とは違う、例えば企業版の特区、自動走行の車に対する公道での試験など 、そういった問題も既に打ち出しております。医療関係では保険隣接分野にどうしてもグレーゾーンが多いということで、企業が投資に対して躊躇する部分があるため、きちんとホワイトゾーンを明確化する、こういった制度も設けていきたいと考えております。
 さらには、3番目の過当競争の問題、これにつきましては、業界全体としてどういった形で過剰な設備に対して適正化していく措置が取れるか、そのためにどのような 支援ができるかということを考えていかなければいけません。また設備だけの問題ではなくて、人員にも関わってくる、労働力にも関わってくる問題でありまして、設備だけ適正化しても、人員が多過ぎたら意味が無いわけでありますから、まさにこれまでの過剰な労働維持型から労働の円滑な移動型への政策に転換していくことが極めて重要 と考えております。

 

 

【原発再稼働】

Q: 原発の再稼動のことなのですが、予想される事態として、今原発算定期間中に原発の再稼動を敢行しているのは、大手6社があると思うのですが、それに対して規制委のほうは3チームしかチームが無いということになりますと、算定期間中の審査が間に合うのか、つまり再稼動がその分遅れるということになってきますと、どんどん電力会社の収支が圧迫されてくることになると思いますが、これも含めて規制委次第で、政権として何か手立てというものが立てられるということはないのでしょうか。

 

A: 原発については、あらゆる事情に安全性が優先する。そして、その安全性については、独立した規制委員会において判断をする。このように法律で決まっているわけであります。
 当然、規制委員会におきましても、これからどういった形で炉の設置者から申請が上がってくるかわかりませんが、申請が上がってきた段階で一定のスケジュール感を持ちながら、また優先順位を持ちながら、しっかりと審査をしていただきたいと考えております。

 

Q: 優先順位というのは、効率性とか採算性も含むということでしょうか。

 

A: それは規制委員会で判断されることだと思っております。

 

 

【電気事業法の改正】

Q: 電事法の絡みでの話なのですけれども、先ほど大臣はスケジュールを含めたパッケージというふうにおっしゃっていましたけれども、これから仮に突き進んでいくというか、衆院を通過して参院に持っていくにしても、来週以降の審議になってしまうということで、仮に今の段階で合意ができるかもしれませんけれども、いわゆる廃案のリスクというのはどうしても伴ってしまうように思えるのですけれども、これから日程が少ない中で、仮に審議を進めていった場合のリスクについて、もしお考えがあれば教えていただきたいのですが。

 

A: 我々としては、法案をベストなものだと思って今提出をさせていただいております。そして、今のエネルギー需給の状況、新たなエネルギーの制約を考えたときに、この電力システム改革、電事法の改正というのは待ったなしの改革である、このように思っております。ぜひこの国会での成立をお願いしたい、こういう思いで法案を提出し、そして審議も進めてまいりました。あとは委員会において、現場において、また国会において、適切に御判断いただけるのではないかと思っております。

 

 

 

(以 上)

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