2012年1月25日
【冒頭発言】
今日のシャドウ・キャビネットの案件は2件。1つは平成23年度4次補正予算に対する問題点をわが党として整理したもの。もう1つは平成24年度の本予算について、わが党としての基本的な考え方の作成、そして政権公約作成のスケジュールを報告し、了承を得ました。
平成24年度4次補正の内容を見ると、例えば強い農業づくり交付金、それからエコカーの補助金、これら大半は来年度に使うものです。ところが、これを第4次補正に入れる形で、24年度の本予算を圧縮するために前倒しをしている。その一方で、中小企業の資金繰り対策、これについては、我々は夏の段階で、3次補正でも「足りなくなるからしっかりと予算を積むべき」と指摘していましたが、ようやく今になって積んできたということで、出し遅れといった問題点があります。
2点目の来年度予算に対するわが党としてのスタンスや考え方としては、昨年までは「正すべきポイント」といった形で整理をしていましたが、今年はまさに我々が政権を奪還する、そして政権を奪還したら予算を組み替えるといった観点からこれまでの「正すべきポイント」ではなく、「わが党の政策ビジョンと平成24年度予算」(仮称)といった形で、我々だったらこうするという政策を打ち出す。そして、今の予算にはこういった問題点があるということも含めて各部会・調査会で精査をしており、2月下旬には取りまとめたいと考えています。
今、野田総理の2年半前の総選挙での演説が非常に話題になっております。
要約すると「マニフェストにはルールがある。書いてあることは命がけで実行するが、書いていないことはやらない。それがルールだ。書いてあったことは4年間何もやらないで、書いていないことは平気でやる。それではマニフェストを語る資格はない。その1丁目1番地が税金の無駄遣いを許さないということだ。消費税5%分の税金に天下り法人がぶら下がっている。シロアリがたかっている。シロアリの退治から始めなければ消費税を引き上げる話しはおかしい。徹底して無駄使いをなくしていくというのが民主党の考え方であります」との演説です。
そして今、2年半経ってどうなっているかと言うと、野田総理は税と社会保障の一体改革、そして消費税の増税に方向転換。さらに政府内から消費税10%ではなくて、更なる引き上げがないと最低保障年金7万円などの年金改革ができないという声もあがり始めています。こうした一連の発言が出ている現状をみると、野田総理、民主党政権は税と社会保障の一体改革に入るにあたって、国民に3つのことを正直に言ったほうがいいと思います。
その1つは無駄の削減で16.8兆円の財源を捻出して、子ども手当2万6千円、高速料金無料化、ガソリンの暫定税率廃止、最低保障年金7万円と国民へのバラ色のサービスをするとしたマニフェストの基本構造が間違っていた。無駄の削減にも限界がありました。事前の検証・見通しが甘かった。4年間やってもマニフェストの大半は実現できません。心からお詫び申し上げます。これが第1点です。
2つ目は民主党政権が編成した平成24年度の予算は、公債比率が49%、過去最悪の状況になっている。政権交代以降、財政状況は更に悪化をしてきている。社会保障の抜本改革どころか現行の社会保障制度をどうにか維持して、若干の拡充、そしてある程度の財政状況の改善をするだけでも消費税5%の引き上げが必要だ。
3つ目は最低保障年金7万円など民主党のマニフェストを実現するには10%からさらに消費税の増税が必要となるが、今そこまで言いだせないので、社会保障の改革をどうするかは先送りさせていただいている。本来なら3点目については更なる増税を行って実行する。もしくは更なる増税はできないから最低保障年金7万円はやらない。どちらかを明示すべきと思います。「ルールを守らなければマニフェストを語る資格はない」というお言葉のようですが、「国民との信頼を守らなければ、増税を語る資格はない」という言葉を総理にお返ししたいと思います。
【質問】
今ご説明いただいた4次補正に関する事なのですが、賛否については現在どの様に考えているか、それから今後どの様に決めていかれるのかお聞かせ下さい。
【答え】
今日の政策会議・予算検討委員会合同会議では私に一任をいただきました。そして、シャドウ・キャビネットでは谷垣総理・総裁にご一任をいただきまして、27日の総務会にこの内容を諮ると同時に賛否については執行部に一任をいただきたいと思います。その上で、内容的には問題が多いとは思っておりますが、全部やらなくてよいのかというと必ずしもそうとも言えない内容でして、これを補正の中でやることの問題点は厳しく追及していきますが、補正そのものを成立させるかさせないかという事については、さらに検討を深めたいと思います。
【質問】
公務員給与の削減問題で3点お聞きしたいのですが、今日、実務者のレベルでは引き下げの幅などについてある程度の一致があったようなのですが、政調会長にはどの様に報告されているのかということと、2つ目はそういった中でも民主党幹部のあたりでは、あくまでも協約締結権が認められない限り、人事院勧告の実施は認めないのだということが言われているようですが、その事について譲る余地はあるのかということと、3点目はもし譲れないのであれば、自民党がどうして協約締結権については反対なのかについてお考えをお聞かせ下さい。
【答え】
我々の基本的な考え方は、昨年自民・公明の共同で提出しました議員立法に書いております。それは、人事院勧告は実施する、その上で深堀をするという内容です。この基本は守られなければなりません。人事院勧告の骨格部分、公務員の俸給表の改定をやって、23年度分から実施する。このことが必要だと考えています。一定の歩み寄りがあると思っていますが、さらに実務者で細かい点についてはこちらから投げかけている部分があるということですので、再度協議をすると聞いております。協約締結権等々については、1回目の三党政調会長協議の時に、我々から3点申し上げました。その一つが今の人勧、二つ目が深堀、そして三つ目が地方への波及、それとは別に公務員制度については別途協議することとして、実務者協議に入りました。公務員給与関係は総務委員会で扱います。ですから実務者協議にはわが党から総務委員会筆頭理事の石田理事、公明党の総務委員会の西理事がでています。公務員制度は内閣委員会での扱いとなっています。実務者の間で協議していただくのは公務員給与の問題だと理解しています。
協約締結権についてどう考えるか、という話ですが、税と社会保障の一体改革を進めるのであれば、政治・行政がまず身を削る覚悟が必要だといった観点もあって、議員定数の削減問題や公務員給与の削減問題に取り組んでいるわけであります。それと公務員制度の改革は違っていて、一つの家庭の中で例えばお父さんを公務員に例えると、「家計が苦しいからお父さんは二日間ダイエットします。家族のみんなにもずっと節約してほしい。しかし、三日目からはお父さんは食べたいものを好きに食べる」こんなことで家族を説得できるかというと、できないと思います。つまり3年目になったら、協約締結権が手に入って自分は好き勝手放題できるというようなことで、家族は節約しましょうということにはなりませんから、お父さんも自ら節約することが必要なので、これはセットにできないと考えています。
【質問】
東日本大震災関係の公文書がほとんど残っていないと藤村官房長官の会見から明らかになっておりますが、これから事故調査委員会などで新たに検証していく中で、こうした政府のずさんな対応についてどう思いますか。
【答え】
極めて遺憾だと思っております。原子力災害対策本部、3月12日以降の議事録も全く残っていないということは、今回の地震、津波、原子力事故の教訓をどうやって次に活かしていくかという観点から大きな問題です。また、今の政府の隠ぺい体質、都合の悪いところは全部隠すということが典型的に表れています。このことについては、公開の場で、国会の場で質していきたいと考えています。
【質問】
今日から選挙制度の協議会が再開しました。民主党から0増5減比例80削減の案が提示されておりますが、0増5減については自民党内からも反発の声がありますが、どのように考えますか。どのような議論が必要だと思いますか。
【答え】
これについては幹事長代理レベルで協議を進めているところです。司、司でしっかりとした協議を行い、合意を得ることが必要だと考えます。定数削減、もちろん自民党としてしっかり進めていかねばならないと考えています。
【質問】
先般の内閣改造で入閣した田中防衛大臣が方々で問題発言ととれるような発言をしていますが、これについて自民党、政調会長はどの様にお考えですか、この問題についてどのように対応されますか。
【答え】
一川大臣もそうでしたが、この間の田中大臣の言動をみておりまして、とても最善・最強内閣だとは思いません。PKO5原則と輸出三原則の違いも分からない。沖縄の伊江島と硫黄島を間違える。本当にこれで沖縄の理解を得ることができるのかと思います。わが党としては、新任の5大臣についてまず所信を行う。予算をつくった人とそれを説明する人が違うのですから、所信をしっかり聞き、質疑する機会を設けるべきと提案しています。そして問題がある大臣であったら、その時点で対処方法を考えていきたいと思っています。
【質問】
郵政の関係ですが、今後法案の取り下げが想定されますが、今後与野党協議について今後どういう運び方をしていくのか。この協議が進んでいけば、党内的な意見のとりまとめ、現段階ではどうお考えでしょうか。
【答え】
この問題については実務者協議が鋭意行われており、わが党としては、現行の民営化法にも見直し規定が入っておりますので、これに沿って必要な見直しをしていくということです。ただ、その前提として今のガバナンスがいいのか、経営のあり方として的確なのか等も考えていかねばなりません。組織形態、資本形態をどうするかという問題がでてくるわけですが、特に資本形態について数字で縛るというのは慎重であるべきだと考えます。
【質問】
公務員給与について、前回3政調会長で会談した際に、人勧と深堀と地方波及を言及されたかと思いますが、今回の実務者協議では地方波及の問題についてはあまり積極的ではなかったようですが、自民党は今後もこだわっていくのでしょうか。
【答え】
3点セットでやります。そこの中で人勧は23年度分から実施せねばならないと考えております。その上で深堀をする。地方波及についてはどういった形で波及させるか考えなければならない。なかなか強制的にできるものではありませんので、考えなければなりません。地方自治体でも財政状況を見ながら努力しているところもあります。その一方で、震災財源、こういうことになった時に、国の努力と比べ、地方の努力はどうなのか、こういうことも含めて検討をする必要があると考えてます。