2002年8月30日
ニューヨーク 国連本部前にて
1. 米国の内政全般
米国の景気拡大は、今年7月で過去最長の112ヶ月に入った。景気拡大の要因はIT革命の成果に加え、規制緩和の推進、適切な金融政策が実施されたことにあると言われる。好調な経済を背景に、米国は3年連続で財政黒字達成の見通し。年央経済見通しによれば、今後10年間の財政黒字額は約4.2兆ドルに達する見込み。このような好調な経済を背景にクリントン政権に対する支持率は、引き続き50%台後半から60%前半の高い水準で、決してレイムダックにはなっていない。クリントン大統領は、残された任期の中でこれまで優先的に取り組んできた政策課題(「患者の権利法」の制定、最低賃金引き上げ、銃規制法制定、対中PNTR法の成立等)の実現に向け、連邦議会に対して協力を呼びかけている。同時に現在行われている大統領選挙で、ゴア副大統領への政権継承に強い意欲を示している。
2. 米国の大統領選挙
9月4日のレーバーデーを過ぎて、大統領選挙も最終盤に入ってきた。選挙結果予測については、民主党大会(8月11日)前はブッシュ有利で推移してきたが、民主党大会を経て、ゴアの支持率が急上昇し、9月に入り、この傾向は定着しつつあるかに見える。ただし、現時点で世論調査の結果に過度の信頼を置くことには注意をする必要があるとの指摘もあり、最終的には10月に実施される大統領候補者のテレビ討論(3回:10月3日、11日、17日)の結果により、流れが決まると思われる。ここに来て両候補のネガティブキャンペーンが激化し、個別の政策での揚足取りも垣間見える。大雑把に言えば有権者が現状に満足するのか、変革を求めるのか、ということが大きなイシューとなるが、現在、アメリカでは以下のような問題が有権者にとって主な関心事項として上がってきている。
3. 欧州(ブルガリア)
今回はヨーロッパで英国、ギリシャ、ブルガリアの3カ国を訪問したが、特に印象深かったのは初訪問のブルガリア。ブルガリアではコストフ首相、ミハイロヴァ外務大臣、ソコロフ国民議会議長などとの会見を行った。
ブルガリア ミハイロヴァ外務大臣(38歳)と会談
97年5月に発足した現コストフ政権(民主勢力同盟を中心とした非共産勢力)は、89年11月の改革開始以来誕生した初めての本格政権であり、改革路線は着実に進みつつあるとの印象。現政権の最大の課題は、痛みを伴う経済改革を徹底的に実施し、市場経済化を促進すること(確かに、国民の間には共産主義時代の方がまだましだったとの声も残る)。この推進役となっているのが新世代の閣僚で、日本の内閣と比べ閣僚の年齢が以下のように圧倒的に若い。
大統領(国家元首)
ペータル・ストヤノフ 48歳
首相兼国家行政大臣
イヴァン・コストフ 50歳
副首相件経済大臣
ペータル・ジョテフ 49歳
外務大臣
ナデジュダ・ミハイロヴァ 38歳
内務大臣
エマヌイル・ヨルダノフ 40歳
法務大臣
テオドシイ・シメオノフ 54歳
大蔵大臣
ムラヴェイ・ラデフ 53歳
国防大臣
ボイコ・ノエフ 45歳
運輸・
通信大臣
アントニイ・スラヴィンスキ54歳
厚生大臣
イルコ・セメルジエフ 41歳
環境大臣
エヴドキア・マネヴァ 55歳
地域開発・建設大臣
エヴゲニイ・チャチェフ 56歳
労働・社会政策大臣
イヴァン・ネイコフ 45歳
農林大臣
ヴェンツィスラフ・ヴァルバノフ 38歳
教育・科学大臣
ディミタル・ディミトロフ 68歳
文化大臣
エンマ・モスコヴァ 66歳
無任所大臣
アレクサンダル・プラマタルスキ 37歳
そう言えば、今回訪問したアメリカでもクリントン大統領は、8年の任期が終わる今でもまだ54歳、英国のトニー・ブレア首相は1953年生まれの47歳。日本も政治の世代交代を進めなければ…。