2010年6月16日
国会は会期途中で内閣が変わったにも関わらず、我々が強く求めた予算委員会も開かれないまま本日閉会となりました。
法案の成立率も56%と戦後最低でした。
民主党は全て選挙目当てで、菅総理も問題を先送り、政策論争から逃げたということです。
我々は過去の例からも、日数はともかく、予算委員会は当然開催されるものと準備を進めてきました。
以下、幻となってしまった私の衆議院予算委員会での質問要旨を掲載します。
要旨にもあるように、予算委員会が開かれていれば、国政上の重要な課題について、国会での議論が深まり、参議院選挙に向けての争点も国民に明確になっていたはずです。
今後も参院選に向け、新政権の問題点を厳しく追求していきます。
1.国会の会期延長について
Q1.菅総理の言う「第3の道」はもともと英国ブレア首相の言葉。そのブレア首相は2001年5月、英国で口蹄疫が感染拡大した際、総選挙を1ヶ月以上延期して対策にあたった。どうせ真似るなら、キャッチフレーズではなく、ブレア首相の政治姿勢を真似るべき。なぜ国会を延長して口蹄疫対策について、さらには普天間、外交問題や今後の経済財政運営について徹底した議論をしないのか。
2.マニフェストの欺瞞と破綻
【子ども手当の問題点】
Q2.菅総理は子ども手当の消費性向について、今年3月2日の財務金融委員会での私の質問に対し、「0.7というのが内閣府の色々なモデルの中で推測している数字だ」と答えている。ところが、その後明らかになったことだが、内閣府は昨年11月に子ども手当の使い道についてアンケート調査を行っている(図1参照)。
3.「最小不幸社会」と「第3の道」の行き着く先
【「第3の道」による立て直しとは】
Q5.「第3の道」について、ブレア首相は「ゆりかごから墓場まで」という英国の伝統的な福祉国家でも、競争重視のサッチャー流の新自由主義でもない、双方の利点を取り込んだ公正で効率的、活力のある社会作りという明確なビジョンを示している。これに対して菅総理の「第3の道」は90年代が公共事業偏重、2001年以降の小泉改革は市場原理主義と過去の政策を批判するだけで、明確な国家ビジョンや政策路線が全く示されていない。
菅総理の言う「第3の道」とは一体どんな経済社会を目指すのか。ケインジアンの需要拡大路線やフリードマンの新古典派とも一線を画しているようだが、どのような経済理論に立脚しているのか。
Q6.就任会見や所信表明を聞く限り、「強い経済」と「強い財政」は当たり前のこと。やはり菅総理の政策で特徴的なのは「最小不幸社会」と「強い社会保障」ということだと思う。所信表明の中で総理は「他国の経験は社会保障の充実が雇用創出を通じ、同時に成長をもたらすことが可能だ」と述べている。
確かに、社会保障分野は労働集約型で、雇用吸収力があり、今後需要が拡大する分野ではあるが、事業の性格上、決して生産性が高いわけではない。図4の「産業連関分析でみた各産業の生産波及力」でも、医療・介護・福祉など、公共サービス、対個人サービスの生産波及力は、他の産業と比べ低く、収益性も決して高いとは言えない。だから「社会保障」という観点で公的な支援が必要な分野なのだ。この社会保障分野を成長の源泉と位置付けること自体に大きな無理があるのではないか。
4.財政健全化のロードマップ
【「財政健全化検討会議」の前提条件】
Q8.菅総理の提案する「財政健全化検討会議」は、もともと我が党の谷垣総裁が2月1日の代表質問で与党に対し提案した「社会保障円卓会議」と似た性格のもの。その時、鳩山内閣は我々の提案を拒否したが、菅総理も当時副総理・財務大臣として当然その決定に関与していたはず。その時はなぜ拒否をし、また今「財政健全化検討会議」を提案することになったのか。
Q9.もし与野党協議を進めたいなら、まず新政権として2つやるべきことがある。
①予算の組み替えとムダの削減だけで増税しなくても財源が全て確保出来るとした昨年夏の主張、公約を撤回すること。
②巨額のバラマキ政策が並ぶ実現不可能なマニフェストを撤回し、実現出来る公約に変えること。
この2点につき応じるつもりがあるのか。