2011年11月16日
【冒頭発言】
本日シャドウ・キャビネットを開催しました。議題となったのは2点です。
1点は、平成23年度第三次補正予算で、先週の木曜日(10日)に税、そして金曜日(11日)に3党の政調会長間で特別会計の問題、剰余金の問題、そして昨日三党の実務者の間で税外収入について5項目の合意ができましたので、その合意事項について報告しました。
それからもう一点、一部報道でも報じられていることですが、去るAPECでの枝野経済産業大臣と米国のカーク通商代表との協議における、枝野大臣の手持文書の件であります。政府は、TPPに関して、「交渉参加に向け関係国と協議に入る」という表現を使っておりますが、枝野大臣の手持ちのペーパーには、日本を「発つ直前に野田政権として、交渉参加を決断した」、また、「非関税品目を含めすべての品目・分野を交渉の対象とする用意がある」、といったことが書かれています。枝野大臣は委員会の質疑の中で、一日早く出たのでいろんなパターンのものを用意しており、その中の古いものがたまたま映ったと述べています。
しかし、私も大臣を何回か経験しましたが、ペーパーを何通りか持っている場合、物事が進展し、Aのものを使うとなれば、他の物を抜きます。どうも、説明がおかしいと思います。いずれにしても、本日の国会議論を通しても、総理の決断力のなさ、問題の先送り、そして曖昧な表現が閣内でも、「参加を前提とするか否か」という、非常に無意味な議論になっております。日本とアメリカの間でも発表が違うということにつながっています。その責任は総理の決断力のなさに尽きるということをシャドウ・キャビネットで議論しました。
【質問】
先週、前原政調会長とお会いになった時に、3つの実務者協議について提案があったと思いますが、これについての自民党の考え方、あるいは答えられたのであればその内容についてお願いします。
【答え】
前原政調会長からは、子ども手当の問題、農家戸別所得補償の問題、そして税と社会保障の一体改革について実務者協議に入れないかという話がありました。税と社会保障については、私も公明党の石井会長も、どうまとめるかについて民主党内もはっきりまとまっていない段階であり、こういう段階でいきなり実務者協議に入れる環境にあるとは認識していないというお答えをしました。子ども手当の問題及び戸別所得補償の問題については、持ち帰り検討させていただくという形にしています。
農家の戸別所得補償については、3党合意の中で政策についてのこれまでの成果を検証することになっており、まず与党でそういった宿題をやっていただくということが第一になるのではないでしょうか。
一方、子ども手当の問題については来年度の予算にも関わってくるものであり、また国と地方の負担割合も決めていかなければならないものです。スケジュールを見ながら適切なタイミングで協議は行っていきたいと考えています。
【質問】
シャドウ・キャビネットの冒頭に総裁からありましたように、明日APEC報告について総裁が質問に立たれるということですが、総裁が質問に立つということの意味・重要性と、またどういう追及をしていくのかという点についてお願いします。
【答え】
TPPの問題は国民的にも非常に関心が高く、また非常に大きな不安が広がっていると思っています。週末の世論調査を見ても8割から9割が政府の説明・情報提供が不十分と感じているわけです。この点については、APECに行ってこられたわけですからきちんと確認しなければならないと思います。非常に重要なテーマであるということから総裁に質問に立っていただくことになったということです。おそらく総裁の質疑の中では、今曖昧になっているいくつかの大きな問題点について総理にお答えいただくことになると思います。
【質問】
郵政改革法案についてですが、昨日民主党と自民党の国対委員長会談があり、平野委員長から来週の審議入りについて提案がありましたが、岸田委員長は党内で審議する環境が整っていないということで、断られました。政調の中では対案づくりや今後の対応についてどのように考えておられますか。
【答え】
郵政の法案とういうことだけではなくて全体のスケジュール、これを民主党が持っていないということだと思います。まずは予算があり、そしてそれを担保するための財源確保法案があるわけです。まずこれらのものをいつ上げていくか、与野党で合意をしていく。それが決まった上でその他の法案の優先順位付けを行い、どうしていくかという話に移っていくのだと思います。そういう観点から特定の法案について、いつどうするという環境にないと岸田国対委員長はおっしゃったのだと考えます。法案の審議が必要になれば、そのために必要なことは政調で進めます。まだ、その段階にない、そのように考えています。
【質問】
TPPについて確認です。今自民党で、正規に決めているのは、「APECにおいて交渉参加を表明するのは反対である」という11月8日の総務会了承のものであるかと思います。
その先のスケジュール感や、どのように煮詰めていくかなど、お考えはいかがですか。
【答え】
国会での審議なども見ながら、次のステップというのは考えていきたい。政府はAPECに参加して、関係国と協議をされたはずです。少なくともその協議の内容を聞いた上でないと、わが党として次のステップ、どういう判断をするかということは決めにくいと思います。それと総理として、明確な方針を出されるべきだと思います。それからいつ参加するのかというタイミング以前に、TPPが本当に環太平洋自由貿易圏をつくっていくという目標に向けての適切な枠組みなのか。こういうことについても、検討が必要だと思います。例えば米国から日本に対する要求として牛肉、自動車、そして郵政の問題が持ち出されたわけですが、牛肉は自由化されていて、今問題なのは安全基準です。そして自動車は関税ゼロです。アメリカの車はヨーロッパ車の20分の1しか売れていない。価格と品質の問題ではないかと思います。それを、TPPの場でやるというのは明らかに間違いです。日米のバイでやってきた昔ながらの対日要求、こういったものをTPPで議論するというのであれば本当にTPPというのは何なのだろうか、ということになります。
【質問】
今後はいろんな情報収集をしながら、高村議員の調査会をベースに議論していくということでよろしいでしょうか。
【答え】
そういう理解で結構です。
【質問】
本日、民主党の部門会議で労働者派遣法について改正し、できれば自民、公明とも協議をし、今国会で通したいということでしたが、これについての対応及びスケジュールについてお聞かせ下さい。
【答え】
まず、部門会議で何らかの決定をしたということは伺っていません。また、部門会議が意思決定の機関かどうか民主党のことですのでよく分かりません。派遣法も先ほどの郵政と同じで全体の審議スケジュールが見えていません。ただ、この問題について自民党は厚生労働部会で議論をしっかり進めており、環境が整えば協議することについてやぶさかではありません。