2016年12月1日
【冒頭発言】
税制改正と予算編成のスケジュールですが、税制改正については、連日のように税調の正副、小委員会等で会議が行われています。今日、明日の2日間で、政治判断を要する事項、いわゆるマル政について、集中的な議論が行われております。12月8日、来週の木曜日に「税制改正大綱」の党内手続き、与党手続きを行いたいと考えています。
予算編成につきましては、今週、各部会で「予算編成大綱」策定に向けた議論を行っています。こうした議論を集約し、12月7日、来週の水曜日には政調全体会議で取りまとめを行う予定です。最終的には、12月8日木曜日に「税制改正大綱」とあわせ、「予算編成大綱」の党内手続き、与党手続きを終了したいと考えています。
一方、特命委員会の関係ですが、「経済構造改革に関する特命委員会」は9月以降議論を進め、今週中にも中間報告を取りまとめたいと思っています。昨日、平場の会議で原案を示して議論を行い、取扱を一任いただきました。明日、あらためて特命委員会の役員会を開催し、中間報告の成案を取りまとめたいと考えています。また、この中間報告に盛り込んだ事項のうち、必要なものについては、来年度の予算編成大綱に反映させていきたい。
一方、「働き方改革に関する特命委員会」につきましても、鋭意、中間報告の策定作業を急いでおり、再来週には取りまとめを行いたいと考えています。この中で税制改正や来年度予算に関係するものについては、中間取りまとめが再来週なので、先行して来週の税制改正大綱、予算編成大綱に盛り込むことになると思います。
【質問】
経済構造の特命委員会について、中間報告の取りまとめということですが、昨日も会議の冒頭で会長は重点政策となっている地域の中核企業や第4次産業革命を予算に取り込むということでしたが、具体的に現在の段階でどの辺りを考えているのか。自動走行の話などあったと思うが、具体的にどの辺りを予算に取り込めそうでしょうか。
【回答】
地域の中核企業支援に関しては、地域でいろいろな取引を持っているハブとなるような企業、しかも域外の企業とのチャネル、アームになるような企業を中心としながら、予算・税制・金融等で集中的な支援をしていきたい。3年くらいのスパンで考えています。例えば、税制では設備投資減税を活用することになりますし、現在、地方創生推進交付金の活用ができないか最終的な詰めを行っています。
【質問】
昨日、連合の逢見事務局長と会談されて要望を受けられましたが、具体的に連合側と予算に関して一致できた政策、あるいは違いが際立った政策があれば教えていただけないでしょうか。
【回答】
全体として、経済、産業、働き方改革、エネルギー政策等々について意見交換をさせていただいた。これは連合からの申し入れで開いたもので、政調会長との懇談は5年ぶり。政調の幹部を含めた懇談としては初めてになるのではないかと思います。
個別の税制改正や予算について、細かい言及が相手側からあったわけではありませんが、基本的に、これから長時間労働を是正していく、非正規の処遇を改善していく、さらには政策全体についても多くの分野で自民党と共通認識を築くことができると感じました。
【質問】
働き方特命委員会について、再来週には取りまとめとのことですが、ここまでの議論の状況は会長はどのように見ているのでしょうか。中間取りまとめでどういった方向性のものが出てくるのかということに関して、お願いします。
【回答】
これまで政府の働き方改革実現会議とも連動しながら、さまざまな分野における改革の検討を進めています。同一労働同一賃金は、ガイドラインを示した上で、来年には法改正ということになると思います。長時間労働の是正については、「36協定」に法的な上限を設けるという方向で調整が進んでいます。より柔軟な働き方に関しては、まさにいま配偶者控除について税調で前向きな議論が行われている。「もっと働きたい」と思うような人が働けるような環境が作れるのではないかと考えています。さらに、労働移動の支援の問題、女性の再就職・再雇用、非正規の若者が正規で処遇されるようにする、こういったことは雇用保険特会の予算等を活用した具体的な政策を打ち出せるのではないか。大きな成果が上がっていますが、最終的には法改正や制度改正、予算措置をしっかりと詰めていきたいと思っています。
【質問】
青森県と新潟県で発生した鳥インフルエンザについて伺います。安倍総理が参議院のTPP特別委員会で「やれることはすべてやりたい。やるという考え方で対応していきたい」と。例えば、「業者への対応に万全を期す」という発言をしています。現時点で党として何か対応のお考えがあればお聞かせください。
【回答】
本日、自民党の中に「鳥インフルエンザ対策本部」を設置しました。森山前農水大臣に本部長を務めていただくこととなっており、明日の朝にもこの本部会議を開きます。政府の対応等について状況報告を受けるとともに、防疫措置を含めて、どう封じ込めるか。さらには、被害に遭った農家への対応をどうするか。こういったことを党としても検討していきたいと思っています。
【質問】
来年度予算編成で焦点となっている社会保障費の抑制の件でお尋ねします。昨日、厚労部会が1,400億円の抑制について、「あくまでも目安であり、数字ありきの対応をすべきではない」という決議文をまとめました。この社会保障費の抑制目標について、党としての位置付けをあらためてお聞かせください。
【回答】
平成29年度の予算は、「経済・財政再生計画」の2年目に当たります。この計画に示された一般歳出の水準の「目安」を踏まえて、手を緩めることなく歳出改革に取り組むとともに、一億総活躍社会の実現をはじめ優先順位の高い政策課題に対応することで、引き続き経済の再生と財政の健全化を両立していきたいと考えています。
たしかに「経済・財政再生計画」に示されている社会保障関連費の水準、「目安」であるが、重要な「目安」だと考えています。急速に高齢化が進む中で、社会保障と財政を持続可能なものとしていくために、医療や介護について決められた改革工程表などに沿って、改革をしっかりと進めていかなければならないと考えております。
オプジーボの薬価の引き下げ、高額療養費制度の見直しなど、個別項目については、まさに現在議論の最中であり、その推移を見守りたいと考えています。
【質問】
政治分野における男女共同参画の推進法案ですが、いま自民党の部会で止まっています。働き方改革や女性活躍に関連して、この法案の必要性についてどのように考えられているか。また、今後の見通しは。
【回答】
この問題を担当している野田聖子先生には、部会での議論をしっかりと行って、この国会で法案が提出できるようにしてほしいとお話しています。
【質問】
IR法案について。昨日、審議入りしましたが、会長も先日、「早期に一定の結論、成果を得たい」とおっしゃっていました。2週間という延長幅の中で十分に審議できるのでしょうか。
【回答】
IRについては議連を超党派でつくり、相当な勉強会を重ね、議論をした上で、基本法を作ってこの国会審議に臨んでいます。これまでにかなりの議論の積み重ねがあると考えております。この法案、いよいよ国会で審議に入った。委員会の現場で今国会での成立に向けて努力いただいており、そうなるように期待したいと思います。
これに伴うさまざまな懸念事項が言われています。基本法の後に実施法がなければIRは実現できない。実施法については、おそらく閣法、内閣提出法案になると思います。この基本法を成立させた上で、実施法の提出までに、さまざまな懸念への対応措置はしっかりと検討していきたいと考えています。
【質問】
関連してIR法案について。今国会で成立させる必要性について教えてください。
【回答】
本来であれば、より早いタイミングでの成立が望ましかったと思っています。日本を訪れる外国人観光客は3年前に1,000万人を超えたが、今年は10月の段階で2,000万人を超えることとなりました。観光の振興ということからも極めて重要な意味を持っていると思います。さらに、2020年の東京オリンピック以降も、さまざまな国際会議が日本において開催されることが想定されます。いま国際会議の開催に当たっては、その採算性が問題となっており、IRの極めて限られたエリアでカジノが運営される。それによって、全体的にIRの収益が高まり、国際会議やさまざまな公の行事がIRの施設の中で運営をされる。こういったことは極めて望ましいことです。そういった意味からも日本として早急な実現を図っていくことが重要だと思っています。