2012年10月13日
2.民主党政権のこの3年をどう見るか?
この3年の民主党の政権運営には大きく3つの問題点があり、明らかに政権担当能力を失っている。
(1)党内があらゆる政策でバラバラなこと
一体改革法案の採決でも民主党から大量の造反が出た。また、原子力政策でも政府が大飯原発の再稼働を決める一方で、鳩山元総理が反原発のデモに参加するといった有様。TPPでも政府は推進、ところが民主党議員が地元に戻ると平気で反対と言う。
自民党は、民主党のように何の根拠もなしに国民ウケだけを狙った政策を打ち出したりしない。この典型例が普天間の「国外、最低でも県外」の失敗。また、最近も政府として「2030年代原発ゼロ」を決めたはずが、閣議決定出来ずなし崩し、みな同じだ。
自民党はエネルギー政策でも安全第一の原則の下、新たなエネルギー安定供給構造を確実に作っていく。当面の最優先課題として、3年間、再生可能エネルギーの最大限の導入、省エネの最大限の推進を図る。また、原発の再稼働の可否については、安全第一の原則の下、順次判断し、全ての原発について3年以内の結論を目指す。その安全性については、原子力規制委員会の専門的判断に委ねる。これらの状況を踏まえ、また原子力の技術動向を見極めつつ、10年以内に新たなエネルギーの安定供給構造を構築する。
(2)政権運営の経験も実行力もない全くの素人集団
これが外交・内政両面で大きく国益を損なう事態になっている。メドヴェージェフ首相の北方領土訪問、李明博大統領の竹島訪問、さらに尖閣諸島への度重なる不法入国など、まさに招かざるVISIT JAPANが続き、わが国の外交及び危機管理において歴史上の汚点を残している。
一方、内政面でも円高デフレが急速に進み、企業は海外に出て行き、雇用が失われる。この4年間で国民総所得は45兆円落ち込み、空洞化の影響で日本からの輸出も21.5兆円低下している。「国民の生活が第一」のはずが、「国民の生活が台無し」といった状況だ。
(3)政権交代前に言ってきたことと政権交代してからやっていることが全く違う
普天間移設も「国外、最低でも県外」のはずが、結局辺野古に戻り、混乱をもたらしただけだった。子ども手当2万6千円、最低保障年金7万円、高速料金無料化、ガソリン暫定税率の廃止など、マニフェストの主要政策はどれも実現できず、公約違反は誰の目からも明らかだ。カタログ販売に例えるなら、写真では格安でいいものばかり並べておいて、注文すると民主党ショップからはいつになっても商品届かない。届いても不良品。カタログ販売なら返品、代金返してもらわないといけない。しかし投票は返してもらえないから、早急に改めて信を問うべきだ。
3.社会保障と税の一体改革
(1)消費税引上げは本当に必要か
8月10日に「社会保障と税の一体改革」の法案が成立した。消費税が10%となることにもろ手を挙げて賛成という人誰もいないし、我々もお願いしなくて済むならと思う。しかし、今の日本の財政状況や高齢化社会の進み方を考えれば、消費税の引き上げは誰が政権を担っても避けて通れない。
例えば年金制度にしても、国民年金、共済年金、厚生年金と現在の年金制度が確立する昭和30年代頃の日本は、働き手が多くてお年寄り少なかった。昭和38年の老人福祉法の制定当時、100歳以上のお年寄りは全国でも153人。今は5.1万人もいる。そこで、もともと年金の保険料で財源を賄っていたのが、現役世代が減少し年金の受給者が急速に増える中で、昭和61年から基礎年金の国庫負担3分の1を導入し、3年前からは国庫負担の割合を2分の1に引き上げないと年金が支給できない状況となった。この年金の国庫負担も消費税をはじめとする税収では賄い切れず、今は借金で賄っている状況だ。これ以上、次世代につけ回しできないので、消費税引き上げ自体はどう考えても避けられない。
(2)反増税グループの問題点
では反消費税という人達はどうするつもりか。
共産党は自衛隊を無くせば財源出ると言っている。自衛隊の予算は消費税2%分だが、本当に今の東アジア情勢や大規模災害考えて、自衛隊無くしていいのか。
次に小沢新党。「小沢新党」というより今では「小沢残党」。「増税の前にやるべきことある」と言うが、だったらこの3年でやっておけばよかった。夏休みの終わりに「宿題やったか」と聞かれると「やろうと思っていたのに」と言う子供のようなもの。多分、これからもずっと同じこと言い続けて、借金を次世代にツケ回しする。これではあまりに無責任。
維新の会は「地方消費税」というが、地方税にしたから5%で済むという話ではない。目くらましだ。そもそも多段階に課税する付加価値税(Sales Taxではない消費税)を地方税にしている国など世界にない。さらに消費税収の多い大都市と少ない地方で財政の格差がさらに拡がる。最初、維新の会への期待は非常に高かったが、政策やメンバーが明らかになればなるほど、期待値は下がっている。
また、みんなの党は、橋下市長率いる「維新の会」との合流を図るものの袖にされ、党内でも対立が生まれ、しばらくすると「みんなの党」ではなく、渡辺さんの「ひとりの党」になる。このみんなの党の主張は、消費税のかわりに保険料の引上げと徴収強化。これでは年金の加入率さらに下がるし、保険料収入以上に年金の支出増える。まさに獲らぬ狸の皮算用だ。
自民党はこんなごまかしはやらない。“反消費税”というキャッチフレーズでゴマかさない。次世代にツケ回さない。また、民主党の子ども手当2.6万円、最低保障年金7万円のように、財源もないのにバラまかない。社会保障制度の改革を進め、同時に日本経済を建て直し、社会保障制度を持続可能なものにしていく。
4.解散・総選挙について
(1)自民党の政権公約・選挙公約
また、政権公約、選挙公約の準備も一番進んでいて、いつ選挙があっても配れるようにしてある。もちろん、前回総選挙での民主党マニフェストのように、出来もしない無責任なバラマキのオンパレードではない。日本を再生するシナリオとそれに必要な法案、政策も含め具体的に書き込んでいる。配布した政策ビラをご覧頂きたい。
まず経済成長。今後5年間の集中改革で、世界でいちばん、企業が活動しやすい国へ。新しい経済成長モデルを作り、再生医療、ロボット、基幹部品・素材など分野を特定したターゲティング・ポリシーで成長産業育てる。このため「日本経済再生・競争力強化基本法」を策定していく。
次に社会保障。自民党は「自助」を基本に、これに「共助」「公助」を組み合わせていく。また、肥大化する生活保護の見直し行う。消費税は、全額、社会保障に使う。
3つ目、復興と防災。東日本大震災からの早期復興の加速と「命を守る」事前の防災対策を徹底する。このための「国土強靭化基本法」もすでに国会に提出している。
4つ目はエネルギー。安全第一の原則に立ち、省エネ・新エネを現実的にどこまで拡大出来るか、また国内50基の原発をより厳しい安全基準でどこまで動かせるか、3年以内に見極めて、その上で新たなエネルギー安定供給構造を確立していく。
5つ目の外交・安全保障では、日本の立場をハッキリ主張する外交と、東アジア情勢の現実に向き合うしっかりした安全保障体制の確立が必要。集団的自衛権の行使を可能とする「国家安全保障基本法」も既に党として決定している。
最期に、国のあり方・教育・行革について。「日本の誇り、日本人らしさ」を示す新しい憲法をつくる。サンフランシスコ講和条約から60周年を迎えた本年4月28日には、自民党の憲法改正草案も発表した。
(2)新しい政権の在り方
これらの政策を堂々と掲げて、「決められる政治を作る」「日本を前に進めていく」ために政権奪還を必ず成し遂げたい。
自民党が総選挙で比較第1党になるのは間違いがない。わが党を中心にした政権が出来る。但し、今のままでは参議院で再びねじれることは避けられない。来年夏の参院選まで、連立を組むか政策ごとに与野党協議をするのか、どうしのぐかが問われる。
皆さんも年末から来年夏までの大きな政治の動きに注目して頂きたい。