茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2014年4月11日

平成26年4月11日(金)
9:05~9:18

於:記者会見室

(冒頭発言)

 

 おはようございます。
 私から最初に二点、簡単に御報告を申し上げます。

 

【エネルギー基本計画】
 一点目は、エネルギー基本計画についてでありますが、本日閣議決定をいたしました。エネルギー基本計画、2003年の10月に最初の計画が策定されまして、今回が第4次の計画ということになるわけでありまして、東日本大震災以降最初の計画であります。今回の計画においては、東京電力福島第一原子力発電所事故で被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、福島の復興・再生を全力で成し遂げる。そして、震災前に描いてきたエネルギー政策は白紙から見直すことを出発点とし、国民生活や経済活動を支える責任あるエネルギー政策を再構築するための中長期的かつ総合的な政策の基本方針を認めたものであります。
 具体的には、各エネルギー源には、それぞれの特徴があり、安定供給、コスト、環境負荷、安全性のあらゆる面ですぐれたエネルギー源はないことを踏まえて、現実可能かつバランスのとれたエネルギー需給構造の実現を目指しております。
 これを踏まえ、安定的な資源確保、徹底した省エネルギー社会の実現、更に各エネルギー源ごとに、例えば再生可能エネルギーの導入の加速、原子力政策の再構築等について記載をいたしております。

 全体の分量としては、本文で77ページのものとなっております。
 今後、エネルギー基本計画に記載をされている方針に基づきまして、総合資源エネルギー調査会のもとで、省エネ・再エネ、原子力などの詳細な事項について、それぞれ議論を進めてまいりたいと考えております。

 

 

【再生可能エネルギー等関係閣僚会議】
 また、この関係で再生可能エネルギー等関係閣僚会議、創設をすることにいたしました。本計画では、再生可能エネルギーにつきまして、政府の司令塔機能の強化、関係省庁間の連携促進という観点から、再生可能エネルギー等関係閣僚会議を創設することを盛り込んでおります。同会議を内閣官房に設置をいたしまして、本日早速閣議後に第1回の会合を開催いたしました。
 本日の会議では、まず私から、再生可能エネルギーのこれまでの導入状況や今後の課題及び関係省庁が連携して取り組むべき施策について説明し、関係閣僚間で議論を行いました。
 最後に、内閣官房長官から本日の議論を踏まえて省庁間の連携を強化しつつ、再生可能エネルギー導入の最大限加速を実現していくこと、また、この観点から局長級の関係省庁連絡会議を創設して、取組の進捗状況等について随時確認を行うよう指示があったところであります。
 本日の議論も踏まえながら、再生可能エネルギーの最大限の導入に向けて政府が一丸となって取り組んでいきたいと考えております。

 

 

【中部電力値上げ申請】
 もう一点、中電の値上げ申請の関係でありますが、昨日、消費者庁との間で中部電力の料金値上げ申請に係る対応方針について合意をいたしました。消費者庁からは査定方針案の内容や審査プロセスの透明性について適正であるという評価をいただきました。
 以上によりまして、査定方針案が固まったことを踏まえまして、中部電力から申請のありました規制部門の値上げ幅4.95%は約282億円の原価削減によりまして、3.77%になります。
 詳細については、後ほど事務方から説明させていただきたいと思います。
 値上げの実施時期については、5月1日ということであります。
 消費者庁との協議が整ったことを受けまして、物価問題に関する関係閣僚会議を近々開催し、了承が得られれば中部電力に対して申請内容を変更するよう指示を行い、指示どおり修正が行われたことが確認できた段階で認可を行いたいと考えております。
 私からは、以上です。

 

 

(質疑応答)

【エネルギー基本計画】
 Q: 二点質問させていただきます。エネルギー基本計画ですけれども、国民の間で脱原発に関する意見が根強い中、今回原発を活用していく路線を明確にしております。今後の地元自治体の説明を含めて、国民にどう理解をしていくか、理解を求めていくか、その辺の考えをお聞かせいただけますでしょうか。
 今回のエネルギー基本計画ですけれども、「原発の活用路線を明確にしていく」というふうに読めますけれども。

 

A: 「活用路線を明確にしていく」、どういうことですか。

 

Q: 原発を今後も活用していく、維持していく。

 

A: 「依存度を低下していく」ということを明確に示していると思います。

 

Q: 一方で、「再稼働も認められたものは進めていく」という路線も書かれていると思うんですけれども、その辺の今後原発も「依存度を減らしていく」ということを書いておりますが、一方で原発も今後進めていく、原発も活用していくというふうな形に読めると思うんですが。

 

A: 「原発を活用していく」と書いてありますか。

 

Q: つまり、認められた再稼働については、これも進めていくという方針。再稼働も規制委員会が認めたものは、今後行っていくと。認められたものについては再稼働を行っていく。つまり、原発の再稼働についても、今後は否定していませんよね。

 

A: はい。

 

Q: このことについて、脱原発を求める意見が国民の中にまだある中、そういった国民及び関係自治体について、どのような説明を今後していくかという、その辺についてお答えいただけますか。

 

A: 今申し上げましたように、原発につきましては、さまざまな施策をとることによりまして、原発の依存度を低下していくということを今回の基本計画の中に明確に書かせていただきました。
 一方、原子力の位置づけについてでありますが、原子力は低炭素純国産エネルギー源として、すぐれた安定供給性と効率性を有しておりまして、運転コストが低廉で変動も少なく、そして運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提にエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源という位置づけをしております。
 重要なベースロード電源、石炭につきましても、一般水力につきましても、同じような表現を使わせていただいておるところであります。
 原発につきましては、いかなる事情よりも安全性を最優先して、その安全性については、独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しい新規制基準のもとで判断していくこととしております。原子力規制委員会によりまして、新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原子力発電所の再稼働を進めます。
 現在、10原発17基の適合申請が行われております。今後、原子力規制委員会によって安全性が確認された段階で、立地自治体と関係者の理解を得るために、事業者だけではなく、国としてもしっかりと説明を行っていくことが重要であると考えております。

 

 

【TPP】
Q: もう一点お願いします。
 TPPの日米間協議が進んでいますけれども、オバマ大統領の来日までにどういった調整を行うのか、また妥協への見通しをお聞かせください。

 

A: 昨日まで2日間、甘利大臣とフロマン代表の間で、延べ18時間にわたりまして集中的な議論が行われたわけであります。
 会議を通じまして、焦点が絞られ、議論がかなり深まるなど一定の進展はあったものの、まだ相当の距離感があると報告を受けております。今月下旬の日米首脳会談、一つの大きな節目ではありますが、期限ありきで交渉を行っているわけではありません。本日も実務レベルの協議が行われております。引き続き各レベルで間合いを詰める作業を粘り強く続けていくことが重要だと考えております。

 

 

【エネルギー基本計画】
Q: エネルギー基本計画の関係でお尋ねします。今までも何度か聞かれているとは思うんですが、閣議決定したということを改めてお伺いしたいんですが、計画は先ほどもおっしゃっていた「原発依存度は可能な限り低減させる」というふうにありますが、これは具体的にどういう方策が有効というふうに大臣が考えているのか、またはその原発比率については、将来的には何割ぐらいが望ましいというふうにお考えになっているかということがまず一点。

 

A: ごめんなさい、既に読んでいただいていると思います。読めばわかることはわざわざ私が繰り返す必要はないと思います。

 

Q: あとは原発の新増設についてのお考えについてお伺いしたいんですけれども。

 

A: 原発新増設についてでありますが、まずは既存の原発の安全確認から進めておりまして、原発の新増設につきましては、その次のステップの話と認識いたしております。その意味でエネルギー基本計画にも新増設のことは盛り込んでおりませんし、現段階において具体的な新増設は想定をいたしておりません。

 

 

【エネルギー基本計画】
Q: エネルギー基本計画が閣議決定されましたが、いわゆるベストミックス、それの検討の方向性、今後どうされるのか、それについて教えていただきたいんですが。

 

A: 御案内のとおり、今回のエネルギー基本計画で初めてエネルギー源の特徴、これをベースロード電源、そしてミドル電源、そしてピーク電源という形で分けさせていただいたところであります。将来のエネルギーミックスに関しましては、この考え方、そして新しいエネルギー基本計画に盛り込んださまざまな項目を踏まえて、省エネルギーの取組の進展、そして再生可能エネルギーの導入の状況、原発再稼働の状況、海外からの資源調達コストの状況、高効率の火力発電と技術開発の見通しなどを見きわめ、できるだけ早くベストミックスの目標を設定していきたいと考えております。
 「できるだけ早く」という表現でありますけれども、恐らく一般的に言って、それが2年とか3年かかるものではないと思っております。

 

Q: 委員会を開いて、審議会を開いて。

 

A: さまざまなやり方あると思いますが、まさに今日エネルギー基本計画、閣議決定したところでありまして、どういった形でベストミックスの議論を行うかについては、今後検討してまいりたいと考えております。

 

 

(以 上)

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