茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2013年11月1日

平成25年11月1日(金)
11:14~11:36

於:記者会見室

(冒頭発言)

 おはようございます。私から、まず二点。

 

 

【電気事業法案】
一点目は、先ほど衆議院の経済産業委員会で電力システム改革の第1弾となります電気事業法の一部改正案、可決をされました。この後、午後の本会議に緊急上程をされる予定でありまして、法案の一日も早い成立を期してまいりたいと考えております。

 

 

【2013年度冬季の電力需給対策】
もう一点、2013年度の冬季電力需給対策について、今朝の電力需給に関する検討会合におきまして、2013年度冬季の電力需給対策を決定いたしました。沖縄を除く全国で数値目標を伴わない一般的な節電を要請いたします。また、北海道につきましては北本連系線60万キロワットと本州からの電力融通に制約があり、寒冷地であり、万一の場合、生命にかかわるおそれがあることなどから、2010年度比でマイナス6%以上の数値目標つきの節電を要請いたします。これにより、年間最大級の電源脱落が仮に北海道電力管内で発生したとしましても、電力の安定供給に最低限必要な予備率3%は確保できる予定であります。
 さらに、過去最大級、またはそれを上回る電源脱落にも備え、計画停電回避緊急調整プログラム、自家発電設備の導入支援及び緊急時ネガワット入札等の多重の対策等を講じて万全を期してまいります。
 なお、マイナス6%の節電、どんなことをすれば可能になってくるか。今さまざまなメニューをつくって、国民の皆さん、また北海道の皆さんにお知らせをする予定でありますが、具体的なイメージ、幾つか御説明申し上げますと、例えば御家庭の場合、消費電力の2割が照明需要ですので、不要な照明を消す、もしくはそれをLEDにかえるということで、照明の使用を3割程度控えていただく。そこの中の3割を控えていただきましたら6%ということになるわけであります。
 オフィスビルの場合、消費電力の3割が事務室の照明需要によるため、蛍光灯の五本に一本を取り外していただく、もしくは5分の1をLEDに交換していただくなどによって事務室の照明の使用を2割程度控えていただくことができると思っております。
 工場などの製造現場、それぞれのラインであったりとか設備によって変わりますが、電力使用の状況は、それぞれの事業所ごとによく把握されていると思います。どうすれば、6%の節電が可能か、事業所ごとに検討進んでいると思いますが、一般的に申し上げると、不要、待機状態にある設備の電源をオフにしていただくことを中心に考えられる企業、事業所が多いのではないかなと思っております。
 経済産業省、そして北海道庁、北海道電力と連携をして、こういった具体的なアクションをわかりやすく示した節電メニューの作成。家庭向けでも、単に照明だけではなくて、こんなことをすると2%下がりますよ、こんなことをすると1%ですと、組み合わせでもできるようなメニューも用意させていただきたいと思っております。そういった節電メニューの作成、そして、その公表とさまざまなチャネル、ネット等の媒体での周知や街頭での節電キャンペーンの実施を行っていく予定であります。国民の皆様、そして特に北海道の皆さんには、現下の電力事情に鑑み、節電への協力をお願い申し上げる次第であります。
 私からは以上です。

 

 

(質疑応答)

 

 

【汚染水対策や除染等に関する自民党の提案】
Q: 二問質問します。最初の一問目ですけれども、昨日自民党の東日本大震災復興加速本部で除染や中間貯蔵についての建設についての国の費用負担を求めるような提言が出ていますが、改めて大臣、この提言を受けて、国としてどういう負担ができるのかというのを考えお聞かせいただけますか。

 

A: 昨日、自民党の復興加速化本部で提言がまとめられ、この後、来週にかけて、与党提言として決定をされるとお聞きをしております。大島本部長、そして額賀委員長のもとで福島の復興、再生の加速に向け、大変幅広く、そして真摯に議論いただいてきたと考えておりまして、関係者の御尽力に心より敬意を表したいと思っております。
 提言の中では、帰還、そして新しい生活の支援、また除染、中間貯蔵の進め方、さらに廃炉の実施体制など重要な指摘をいただいております。福島の復興再生を加速する、国もその中でしっかりと役割を果たしていくという考えは共有していると思っておりまして、政府全体で御提案いただきましたら、しっかりと受け止めていきたいと考えております。

 

 

【自動車関連税制】
Q: 次の二問目ですが、総務省が昨日有識者委員会で自動車関連税制の報告書をまとめました。この中で軽自動車の税率引き上げを検討すべきというような内容が盛り込まれていますが、この自動車、軽自動車の税の引き上げという内容について、大臣のお考え、どのようなお考えでいらっしゃるかお願いします。

 

A: 現下の最優先課題、これはアベノミクスの成果を全国津々浦々に行き渡らせていく、景気回復の実感を地方の皆さんに持ってもらう、こういうことであると考えております。車が日常の交通手段となっている地方の実情を踏まえ、ユーザーの軽減負担、そして地域活性化の観点から税制改正要望を行っていきたいと考えております。
 軽自動車税につきましては、ユーザーに追加的な負担が課されないように、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 

 

【ガスシステム改革】
Q: 昨日、大臣がガスシステム改革の開始を提言されました。それに関連して、最終的にガス事業法の改正まで行くと思うんですけれども、今後のスケジュール感についてお考えを教えてください。

 

A: 昨日が第42回目のガスの日ということで、日本で初めてガス灯がともった日を記念して式典が開かれたわけでありますが、そこで私から資源エネルギー調査会にガスシステム改革小委員会を設置して、今月の12日に第1回の会合を開催すると発表させていただきました。
 電力システム改革に続いて、都市ガスについても低廉で安定的な供給を可能とし、また新しいサービスの創出を促すようガス事業制度全体の見直しをしっかりと進めていきたいと考えております。
 論点でありますが、小売の全面自由化、そしてネットワークへのオープンアクセス、エネルギーサービスの相互参入など、さまざまな観点からの議論を進めていく必要があると思っております。
 今月の12日から審議から始まるということでありまして、現時点で具体的な期限というのは決めておりません。

 

 

【原子力安全性評価統一基準】
Q: 昨日の菅官房長官の記者会見の中で、米国との原子力発電に関する安全性評価の統一基準について御発言がありまして、時期であったり議題等、今現在進行中であるというような御発言があったんですけれども、現在の検討状況を具体的なところでもう少し踏み込んでいただける部分があれば、時期等も含めてお考えをお聞かせいただければと思います。

 

A: この問題、今年の5月に私がアメリカで表明したイニシアティブに基づいて日米間でさまざまな準備をしてきたものでありますが、原発の安全性をさらに高めていくためには、個々の原発の安全性を客観的に評価していくことが極めて重要です。確率論的リスク、PRA、プロバブリスティック・リスク・アセスメントによります定量的リスク評価の導入は、基準、もしくは規制の水準さえ満たせばリスクがないいった安全神話と決別し、事業者のさらに自主的な安全性の向上につながっていくものと考えております。
 民生用の原子力協力に関する日米二国間委員会と、これが近くアメリカで開催される予定でありまして、その中で日米間で基準を統一するというよりも、原発のリスク評価の方法等について、できるだけ共有できないかということを含めて、日米で意見交換する場を設置することで合意していきたいと考えております。

 

 

【特定秘密保護法案】
Q: 今論議されている秘密保護法とこちらの関連の原発のことでちょっとお聞きしたいと思います。
 直近、今週行われた原子力規制庁の幹部からの会見で秘密保護法の関連で、原発で対象になるのを確に言っておられたんですけれども、あくまでも核物質、それから核不拡散である核セキュリティーに関することだけが対象になって、一般に言われているようなスピーディーだとかは、汚染がどうのというような住民への影響とか、そういうことも含めたものは事後であれ、事前であれ、そういうものは対象になりませんと明言されていたんです。ただ、報道では、それ以外も場合によっては対象になるという報道もございまして、その辺を大臣としては、今の段階でよろしいんですが、どのようにこういう経済産業省関連の分野を整理されているか。もし、TPPも含めた今後のいろいろな貿易交渉なんかについても、はっきりしたものを示せるようでしたら、御所見をお願いいたします。

 

A: 現段階で同法に上げられております防衛に関する事項、外交に関する事項、特定有害活動の防止に関する事項、テロリズムの防止に関する事項の4類型、これに照らして考えますと、原発施設及び原発事故に関して経済産業省において特定秘密に該当する情報は保有していないと考えております。TPPに関する情報につきましても、同法案の別表のいずれにも該当せず、特定秘密には該当しないと考えております。

 

 

【汚染水対策や除染等に関する自民党の提案】
Q: 昨日も東日本復興加速化本部で出された提言で東電の分社化についても盛り込まれていたと思いますが、大臣として、今後どのような検討が必要だと思いますでしょうか。

 

A: 御案内のとおり、東電におきましては、既に電力システム改革を先取りする形で社内カンパニー制がとられているわけであります。コーポレート部門、そして発電、送配電、小売と、こういったカンパニー制をとっています。そして、将来的には、この電力システム改革によりまして2018年から20年で発送電の分離といったものも行われていきます。大きな流れとしては、そういった方向で進んでいきますが、その中で廃炉の実施をどういう体制で行っていくか、汚染水含めて、こういった問題については、国としても課題となっています。東電においても、そういう体制をどう築いていくかと。早急に詰めなければならないと思っております。

 

 

【東電の持ち株会社化】
Q: 今の質問に関連してなんですけれども、今朝の一部報道で東電を持株会社化にする方向で経済産業省が調整に入ったという報道があったんですけれども、この点についての審議について教えてください。
東電を持株会社にして、そこに例えば汚染水事業会社だとかというのをぶら下げていくという、そういうイメージだったんですけれども。

 

A: 汚染水事業会社をそれにぶら下げるというのでは、事業会社として成り立たないと思います。

 

 

【エネルギー基本計画】
Q: 大臣、先ほどの衆院の経済産業委員会の件で、エネルギー基本計画をめぐるやりとりの中で、原発の新増設については規制委員会の安全審査が終わる、進んだ、その次のステップの話だと、こういう御趣旨の発言をされましたけれども、そうすると、年内にまとめる基本計画の中に原発の新増設に関する言及というのは、するのはちょっと時期尚早だと、そういうふうにお考えなのか。

 

A: まだそこまではわかりませんが、すなわち、エネルギーの基本計画、これは別に今の時点でどうするということより、当然将来を見通した上で電源等の特徴や位置づけを中心に今議論が行われているところであります。今朝の答弁で申し上げたのは、それは既存の原発の安全審査がまず優先で、新増設については、その次のステップになる、ということを自然に申し上げたわけでありまして、必ずしもそれが今後の基本計画に反映される、されないというものを断定したわけではございません。

 

 

【CSC条約】
Q: 大臣が昨日のモニーツ長官との会談の中でCSCの締結に向けた準備を表明されましたが、これ国内法、例えば原賠法の見直しなども含めて必要になってくるとは思うんですが、それの基準の時期の見通しと、また数ある条約の中で締結国、CSCを選んだ理由を教えてください。

 

A: 政府として、CSC条約を含め、国際的賠償スキームは重要です。そして、福島第一原発の廃炉、汚染水対策に向け、知見を有する海外企業が参入する環境を整えるために、今回の決断に至ったわけであります。
 今後、CSC条約の内容について加盟国と調整を行った上で条約及び関連法案の国会への提出に向けて政府部内で作業が進められると思いますし、モニーツ長官との間でも、CSC、これを日本で進める上で課題がある場合はまたアメリカともさまざまな議論をさせていただきたいということについては先方も了解しました。
 現在、加盟国は少ないということでありますけれども、当然発効しましたら、さまざまな国にまたこういった条約につきまして国際的な賠償スキーム、参加を働きかけていくということになると思います。

 

 

【汚染水対策や除染等に関する自民党の提案】
Q: 自民党の中でも今も廃炉を国の直轄事業として実施すべきだというような意見もまだあるんですけれども、改めまして、廃炉をどういう実施主体がやるべきかということに関して、大臣のお考えをお伺いします。

 

A: 自民党内におきまして、そういった議論も行われているということは承知をいたしております。
 こうした議論については、福島第一原発における汚染水問題は、東京電力のみに任せるのではなくて、国も前面に出る必要があるとの考えに基づくものだと思っております。
 廃炉や汚染水対策を円滑かつ適切に進める上で、どういう組織、そして運営方法が適切かにつきましては、与党全体での議論、まだ途中であると承知をいたしておりますが、それも踏まえながら、今後さらに詳細な検討が必要であると思っております。

 

Q: 自民党の復興加速化本部の提言に関連してなんですけれども、先ほど大臣、国もしっかり役割を果たしていくという考えを共有しているというお話でした。現時点において、財源について国が役割を果たしていくと。具体的にお考えがあれば、お聞かせください。

 

A: 先ほども申し上げましたが、まだ提言はいただいておりません、与党として御提言をいただいた段階で、それは政府全体としてしっかりと受け止めたいと思っています。その受け止めに当たっては、福島の復興・再生を加速する、国もその中でしっかりと役割を果たしていくという考えは共有しておりますので、その上でしっかりと受け止めたいということであります。

 

 

 

(以 上)

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