茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2013年10月25日

平成25年10月25日(金)
10:23~10:36

於:記者会見室

(冒頭発言)

 

 

【中小企業関係団体との懇談会】
 私から、1点だけ御報告を申し上げます。
 本日の夕方、日本商工会議所を初めとする中小企業関係団体のトップの方々と懇談会を開催する予定であります。アベノミクスの成果を全国津々浦々の事業者まで行き届けさせるため、経済産業省としてこれからも中小企業、小規模事業者対策に全力で取り組んでいきたいと考えております。
 企業がアベノミクスにより実現した収益の改善を賃金の引き上げなど、労働環境の改善という形で還元をし、それが消費の拡大、生産の拡大につながるという経済の好循環をつくっていくと、まさに今それが求められているわけであります。
 本日の懇談会では、政府の新たな経済政策や中小企業政策について説明すると同時に、こうした好循環実現に向けた道筋を中小企業関係団体の方々としっかりと共有をしたいと考えております。
 私から以上です。

 

 

(質疑応答)

 

 

【エネルギー基本計画】
Q: まず、2点お聞きしたいのですけれども、1点目はエネルギー基本計画についてですが、12月中の確定に向けて、総合資源エネルギー調査会の分科会の方で議論が進められていると思いますが、そんな中で、原子力政策に関して、原発の敷地内のリプレイスということを明記する方向で検討しているという一部報道がありましたけれども、このことについて大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。

 

A: 基本政策分科会におきまして、月3回のペースで検討を進めているところでありまして、年内をめどに議論を取りまとめる予定です。
 まとまり次第発表したいと思っておりますが、以前から申し上げておりますように、今回の取りまとめ、これはエネルギー源ごとの特徴であったり、位置づけ、こういったものを中心に検討をいただいているところでして、原発も含めたベストミックスのあり方については、再生可能エネルギーの導入の状況であったり、原発の再稼動の状況などを踏まえて、3年以内にエネルギーのベストミックスの目標を設定して、10年以内に構築をしていくと、こういうことにしております。実現可能な目標というものが見えてくれば、その前倒しも検討したいと思っております。
 それと、今もお話になりましたリプレイス等の話は全く別です。

 

Q: リプレイスをするというようなことを明記するというようなことの検討というのは。

 

A: 今申し上げたように、全く別です。

 

 

【TPP交渉】
Q: もう1点なのですけれども、TPPについて、昨日知的財産権分野の会合が東京で始まりましたけれども、特に交渉が難航している分野の一つと言われていますけれども、交渉全体の年内妥結に向けた進展への期待だとか、あるいは懸念みたいなものをお聞かせいただけますか。

 

A: 知財の分野は、TPP交渉の中でも最も難しいと言われている分野の一つでありまして、この分野の中間会合を我が国が主催したことについて、米国を初め各国から高い評価を受けているところです。
 今回の中間会合は、各国がどうしても譲れないラインであったり、柔軟にできるポイントなどを最大限整理して、議論を加速することが狙いでありました。この中間会合を機にして、知的財産の分野で大きな進展が見られることを期待したいと思っております。
 年内妥結ということについては、先日のバリ会合で大きな流れはできていると思っております。もちろんこの知的財産の問題を初め、国有企業、環境、そして市場アクセスなど、難しい交渉分野も残されていることは事実でありますけれども、TPP交渉において、日本は今や中核的な役割を担っているわけでありまして、年内妥結に向けて、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、国益にかなう最善の道を追求するとともに、アジア・太平洋の新たな経済秩序づくりに、日本としてしっかりと貢献をしていきたいと考えております。

 

 

【エネルギー政策】
Q: リプレイスの方は、どういう場合で、どういう時期にこれから検討していくということになるのでしょうか。

 

A: 今の段階で何も決まっておりません。ただ、先ほど3年以内に目標を設定するということを言っているわけですね。実現可能な目標が見てくれば、その前倒しも検討したいということです。

 

Q: それは今回の年末までに取りまとめるものの中でやる可能性もあるということですか。

 

A: 違います。先ほど言ったように、年内にやることはこういうことですというお話をしました。その上で、もともと3年で目標を設定しますと、そして10年以内に責任あるエネルギー政策を構築しますと、これが我が党の公約であり、政府としての方針であります。そこの中で、3年で設定する目標について、実現可能な目標が見えてくれば、その前倒しも検討したいということを申し上げているわけです。

 

 

【追加被ばく線量基準】
Q: 福島の原発の関係で、水曜日の田中委員長の記者会見その他で、1ミリシーベルトという基準、これがひとり歩きしているような感想を持っているということを言われていました。新聞の社説なんかでも、1ミリシーベルトのことを取り上げているのですが、担当の大臣として、この1ミリシーベルトを今後20ミリシーベルトにするのか、この辺の基準とか、一般の人に混乱を与えてしまっている面もあるので、いろいろな方が20ミリが安全、50ミリでいいとか、それでその辺をどう整理して、この問題をどういう方向に持っていかれようとしているのか、お答えできる範囲でコメントいただければと思うのですが。

 

A: 安全な形で、一日も早い帰還を進めるということは極めて重要な課題だと思っております。それに向けて、区域の見直し等も鋭意進めてきたところであります。ただ、原子力規制委員会の委員長の発言について、私としてコメントするのは差し控えたいと思います。当然のことだと思います。

 

 

【WTO中間報告書】
Q: 中国のレアアース輸出規制をめぐる論争で、WTOが日米欧の言い分を認めたと、勝訴したようなのですけれども、これに関する見解をお願いいたします。

 

A: 中間報告書がWTOのパネルから当事国、中国、それから日米欧に対して発出されたのは事実であります。中間報告書は、パネルの検討の中間段階のものであり、その内容はマル秘ということにされておりますので、内容に関するコメントは差し控えたいと思いますが、我が国としては、我が国の主張がパネルの最終報告に認められるように、引き続き努力をしていきたいと思っております。

 

 

【賃金改善の動き】
Q: 冒頭のお話にもありましたけれども、賃金改善の動きですが、最近、大企業を中心にベアに前向きに進められていると思いますが、その受け止めと、またこれが今後中小企業も含めた広がりになっていくのかどうか、その辺の見通しについて、大臣のお考えをお聞かせください。

 

A: 経団連もそうでありますが、また主要企業からベアも含む報酬、そして賃金の引き上げについて、前向きな発言が相次いでいる、政府としても経済の好循環をつくっていくということに対して、経済界が共鳴をしてもらっている、大変心強いと思っております。
 まだなかなか景気回復の実感が持てない中で、中小企業、そして小規模事業者がそういった賃上げを行えるような環境をつくると、こういったことも大きな仕事だと思いますし、同時に大きな企業との懇談の席等でも収益の改善、これを賃金の引き上げ、雇用の拡大並びに取引先企業との取引条件の改善につなげてほしいと、こういう要求もしているところであります。今日もまた中小関係4団体の代表の皆さんとお会いいたしますけれども、賃金の引き上げについてできるだけ前向きな対応をしてほしいと思いますし、それができるような環境を我々としても更につくっていかなければいけないと思っています。

 

Q: 同じ賃上げの関連なのですが、昨日連合がベア合意要求を固めたということで、労組の方でも動きが出てきているということで、これについてどのように見られているか、お聞かせください。

 

A: どちらが先にということでは決してないのですけれども昨日、連合側の来年の春闘の基本構想として、所得の向上を実現し、消費マインドを改善し、デフレからの着実な脱却を図り、経済の好循環を実現させることが必要との認識が示されているわけでありまして、これは政府の認識とも共通するものだと考えているところです。

 組合からもそういう意見が出ている。そして、経済界からもそういう意見が出ている。そういった意識について、政労使での共有が進んできていると考えております。今後、労使間においても建設的な議論が進み、それが経済の好循環につながっていくことを期待したいと思っております。

 

 

 

(以 上)

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