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茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

平成26年4月22日(火)
9:07~9:17
於:記者会見室

(冒頭発言)

 

【各種施策の改善指示】
 私から1件簡単にまず報告をさせていただきます。
 先週、金曜日、総理が大阪の中小企業3社を視察された際に、現場の実態に合わせて平成25年度補正及び26年度予算に計上された各種施策を改善していくよう指示があったところでありまして、この指示を踏まえて、早急に方策を検討いたしました。
 その結果でありますが、3点あります。
 一つは、子育てで退職した女性が中小企業に再就職して活躍できるように、いわゆるインターン、職場実習支援事業について、職歴要件、これまで2年以上となっていたものを1年以上に緩和するとともに、パートやアルバイトの期間も職歴に算入することといたしました。
 2点目でありますが、エネルギーコストの上昇に直面する中小企業の省エネ投資を支援するため、省エネ補助金については、投資額は小さくても省エネ効果の高い案件については、支援対象に加えることといたしました。これによって、少額の省エネ投資についてもかなり拾えるようになるのではないかと思います。
 3点目、従業員の処遇改善に取り組む事業者に対する支援でありますが、既にものづくり補助金等で優先的に採択ということを行っておりますが、これに加えて、国内外への販路開拓を支援するため、小規模事業者の販路開拓を支援する事業と中小企業の海外販路開拓を支援する事業の補助上限額を倍増するということにいたしました。これら今申し上げた制度改善につきましては、今後公募などを開始する時点から直ちに適用していきたいと考えております。
 私から以上です。

 

 

(質疑応答)

 

【TPP交渉】
Q: まず、1点目ですが、TPPの日米協議の事務レベル協議が都内で再開されました。これまでの協議の難航で、24日の日米首脳会談の大筋合意は難しいという見方も一部で出ていますが、交渉の見通しについて大臣の所見をお願いします。

 

A: この2週間のうちに、東京とワシントンで延べ5日間、30時間近くの閣僚折衝が行われたことになります。これは国益と国益がぶつかり合う、まさにぎりぎりの交渉でありまして、双方の立場には依然として相当な距離があり、厳しい状況には変わりはないと考えておりますが、交渉の加速、これは先月のハーグにおけます日米両首脳の合意事項でもあります。事務レベルの折衝が続いているところでありますが、もちろん期限ありきの交渉ではありませんが、今週の日米首脳会談に向けて、日米双方が知恵を出し、互いのセンシティビティに配慮をしながら、道筋を追求していくことが重要であると考えております。国益と国益がぶつかり合う交渉という話をいたしました。一方だけの譲歩ということでまとまるということはないと思っております。米国にも歩み寄りを期待したいと考えております。

 

 

【中国の裁判所による船舶の差し押さえ】
Q: 商船三井の貨物船が中国で差し押さえを受けるという事案が発生しております。日本企業の間には懸念も広まっていますが、この件が日本経済や企業に与える影響をどう見ているか、大臣の所感をお伺いします。

 

A: 政府として非常に深く憂慮をいたしております。商船三井の船舶が中国の裁判所に差し押さえられたということで、これは中国でさまざまなビジネスを展開する日本企業全般に萎縮効果を生むことになりかねない。こういう懸念が強いと思っております。
 政府としては、外交ルートを通じて、商船三井の船舶が突然差し押さえられたことに対する遺憾の意を中国側に伝達するとともに、中国が適切な対応をとるよう強く求めているところでありまして、引き続き関係省庁と連絡をとりつつ、対応を検討していきたいと考えております。

 

 

【ニッケル禁輸WTO提訴】
Q: 他社報道で恐縮なのですが、今朝の一部報道で、インドネシアがニッケルなどの鉱物を不当に輸出制限しているということで、WTO提訴の意向を相手側に伝えたというふうに報じられていますけれども、事実関係をお願いします。

 

A: そのような事実は現時点においてはありません。ただ、今年の1月以降、インドネシアの新鉱業法によりますニッケル、銅などの鉱石の輸出停止によりまして、日本企業に悪影響が出ております。本措置の関連では、昨年の段階からインドネシア政府に対しまして、改善の働きかけを行ってきているところでありまして、現段階におきましては、日本、インドネシアの2国間での話し合いを行っている段階であります。

 

 

【貿易収支】
Q: 昨日、昨年度の貿易収支が発表されまして、過去最大の貿易赤字となりました。化石燃料の輸入が大きくなったということも大きな要因ではありますが、一方で円安でもなかなか輸出が思うように伸びていなくて、日本の稼ぐ力というのがかげりが見えるという、そういうような印象も受けるのですが、大臣の受け止めを聞かせてください。

 

A: 2013年度の我が国の貿易収支、13.7兆円と過去最大の赤字となりました。これについて、私は輸入、輸出、双方の原因、要因があると考えておりまして、輸入につきましては、円安によります輸入価格の上昇、特に化石燃料の輸入額の大幅な増加という問題があると思っております。これにつきましては、資源の調達コスト、これを下げていく努力をする。また、資源の調達先を多角化していく、さまざまな努力が必要だと考えております。
 一方、輸出につきましては、新興国の需要の減速といったことから、輸出数量の増加が弱めの動きとなったという要因もあります。同時に日本全体としての稼ぐ力、国際競争力を強めていくことが極めて重要と考えておりまして、その中で昨年の秋に成立をいたしました産業競争力強化法や、一連の予算措置、また税制措置等活用しながら、日本の輸出競争力をつけていくことが喫近の課題であるということが今回の貿易収支からも浮き彫りになったと考えております。

 

 

【東京電力福島第一原発】
Q: 東京電力福島原発の不可解な事故が続いている問題について質問します。
 報道でもされているのですけれども、4月14日に東京電力から発表がありました。本来、使う予定のない仮設ポンプが作動してしまった。そして、地下の建屋に大量の高濃度汚染水が流れてしまった。これについては原因がよくわからないということよりも、むしろ悪意のある行為ではないかということまで言われております。これは2月にもバルブが勝手に開いていたということもあり、これはいまだに原因はわかりません。
 両方とも原子力規制委員会の記者会見では取り上げられていて、記者の方からは、内部的脅威という言葉まで聞かれていて、田中委員長は犯人捜しになってはいけないということで一定の距離を置いている。むしろこの問題は東京電力だ。ということは、国の指導ということがどうなのかということが問題になっている。
 そこで、大臣はこの問題についてどういうふうに受け止めて、実際に東京電力にどのような指導をされているのか、これについてお聞かせいただけますでしょうか。

 

A: トラブルが発生していることについては、まことに遺憾であると考えております。これらのトラブルについて、原子炉等規制法に基づきまして、原子力規制委員会に対して東電から報告がなされておりまして、規制庁の指示に従って施錠等の管理の強化が行われていると理解をいたしております。経済産業省、そして資源エネルギー庁としては、原因分析と影響評価を早急に行い、再発防止策を立てるよう東電に対して指示を行っているところであります。

 

Q: 今のところは指示を実際にしておられるということですか。

 

A: しております。

 

(以 上)