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茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

平成25年4月16日(火)
9:27~9:41
於:記者会見室

(冒頭発言)

 

【小規模企業活性化法案】

 本日の閣議で小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律案、いわゆる小規模企業活性化法案を閣議決定いたしました。
 我が国420万の中小企業のうち9割を占める小規模事業者は、地域の経済や雇用を支える重要な役割を果たしております。しかしながら、資金、人材等の経営資源に制約があることなどにより、近年、企業数、雇用者数がともに減少しており、小規模事業者に焦点を当てた施策を重点的に講じ、その事業活動の活性化を図ることが必要であります。本法案は、こうした観点から、小規模企業の意義や施策の方針を中小企業基本法に規定するとともに、ITを活用した経営支援の推進、下請中小企業の取引先開拓支援、資金調達の円滑化等の措置を講じるものであります。
 具体的な支援措置の内容などの詳細については、後ほど事務方より御説明をさせていただきます。
 私から以上です。

 

 

 

(質疑応答)

 

【TPP】

Q: TPPは、先週金曜日に日米間の合意文書が発表されましたけれども、それについてお尋ねしたいのですけれども、自動車分野なんかを見ますと、TPPで認められる最大限米国の関税を維持するとか、韓米のFTAと比較してどんなだというような、かなり全体的に見ると譲歩したという印象を受けますけれども、今回これでTPPに入ることで得られるメリットというのは、なお大きいというお考えでしょうか。

 

A: 基本的にはそのように考えています。TPP交渉への参加は、アジア太平洋の成長を主体的に取り込むということであります。また、日本が主導してアメリカなど、価値観を共有する国々と新たなルールをつくるということでもあり、世界有数の経済大国である日本の参加、これは日本自身のみならず、地域全体にも繁栄をもたらすものだと考えております。そして、3月15日の総理の参加表明の時もお話をされていましたが、このTPPというものは、今後、RCEPやFTAAPとより大きな経済連携のルールの土台になっていくといったことを考えても、日本が早期に参加して、しっかりとルールをつくっていくということが必要だと思っております。
 今回の合意はTPP以前からアメリカが協議の関心を示してきた自動車等について合意をしたというものです。これはTPP交渉参加の大きな意義を踏まえつつ、自動車、農業という日米双方のセンシティブ分野のバランスを取る中で、総合的に判断したものであります。
 米韓FTAというお話をいただきましたが、米韓FTAの内容をよくごらんいただきますと、今回の日米合意と比較して、韓国の場合は米国自動車メーカーについて、メーカー当たり2万5,000台の米国安全基準の受け入れに合意しておりますが、我が国はこうした合意は一切行っておりません。国民生活の安全に関わる事項は、原則曲げることはできないという立場を堅持しております。
 さらに、米側の自動車関税の扱いについては米韓FTAを実質的に上回るものとされておりますけれども、米韓FTAでは、韓国についても自動車関税を撤廃する一方で、日米の場合は、そもそも日本には自動車関税がない。ゼロ関税の状態で、米国の一方的、片務的な撤廃になるという構造の違いがありまして、今回の合意内容は、米韓FTAと比べて、不利な内容とは必ずしも言えないと考えております。
 いずれにしても、今回の日米交渉、そしてTPP参加という決断がなければ、米国の自動車関税は撤廃ということにはならなかったと考えております。

 

Q: 日米の合意の内容をよく読むと、日本には書いてあるのだけれども、アメリカに書いてない。アメリカに書いてあるけれども、日本の方には書いてないものがあるのですけれども、これはこういう表現になっているのは、どういう経緯でこういうふうな形になったのですか。

 

A: アメリカの場合、これまでのTPPの議論の前から関心を示してきた事項があります。そして、TPPの関連で言いますと、アメリカは既にTPP交渉に参加をしておりまして、そのテキストも当然持っているわけですから、TPPの中で単純に取り上げる問題と、ある程度TPPの外で2国間協議をした方がいいであろうという項目がある意味整理できる立場にあります。我が国の場合、これからTPP交渉に参加をする中で、TPP本体として扱う問題と例えばアメリカとの間で2国間で協議する問題はこれから整理をしていくことになると思います。

 

Q: 同じことに関連してなのですが、日本において自動車に関してはかなり具体的に書き込みがなされているのですが、一方で日本側が取りたい農業分野については、具体的に表記がされていないところにちょっと矛盾を感じる意見も多いのですが、その辺は交渉上、どういう扱いになっているのでしょうか。

 

A: 米国との間でセンシティビティがあるということについては、確認がとれているわけであります。ただ、この事項については、それ以外の参加国との協議も当然必要な項目になります。そういった意味で、我々としては、交渉の中で最大限の国益を追求していきたいというのが基本的な方針です。

 

Q: それはまだ手の内を明かしたくないということも含めてですか。

 

A: 様々な要素を検討した上でそうしております。

 

 

【原発の安全基準審査】

Q: 原発の絡みで、この前規制庁が先週安全基準の条文の方を出しまして、その際に一度に審査できるのが3チームしかないので、3原発だけだということを言っていますが、仮に事業者がいっぱい7月18とか19とか、新基準の施行の直後に持ってきた場合に、政府として見切れなくて、ずっと待たせてしまう可能性もあるわけですが、もちろん安全の中身は委員会に任せるとして、政府として体制が足らなくて作業ができないという状態で問題はないのでしょうか。

 

A: 審査のプロセスも含めて、規制委員会において適切に判断するものと考えております。そして、審査が上がってきたら、速やかに安全性をチェックするという形で対応していただけるものと思っております。

 

Q: ただ、規制委員会単体では、例えば人数が足らないとか、そういう体制の不備はどうにもならないわけで、これはもしそれが必要だとするならば、政府として何か講じていく必要があるのではと思うのですが。

 

A: 安全のチェックをするのに体制が足りているかどうかは、規制委員会が一義的に考える問題であり、足りていないという御要請等がありましたら、もちろん政府としても協力することについてやぶさかではありません。

 

 

【TPP】

Q: TPPの話になってしまいますが、米国の議会に通知するためには、まだ日本の交渉参加を承認してない国の了承が必要だという話になっておりますけれども、ニュージーランド、オーストラリアなど、現在の見通しがあれば教えてください。

 

A: オーストラリア、ニュージーランド、ペルー、カナダとは協議を行っております。その具体的な内容等は、相手国との関係もありますので、差し控えたいと思いますが、非常に突っ込んだやりとりを行っております。

 

Q: 時期的な見通しはございますか。

 

A: 早ければいいと思います。

 

Q: 今週末にはAPECの貿易相会合もありますが、そこでの何らかの進展ということは、大臣の頭の中にはありますでしょうか。

 

A: APECの貿易担当大臣会合は、国会の承認が得られれば出席したいと考えております。APECの貿易大臣会合の機会に、可能な限り多くのカウンターパートと個別に会って、意見交換したいと思っております。

 

 

【APEC貿易担当大臣会合】

Q: APECの関係でお尋ねしたいのですけれども、保護主義の抑制というのが一つのテーマになるかと思うのですが、先日例えば日本が中国にアンチダンピング関税の関係で、WTOに紛争処理を求めるというふうな動きもありましたけれども、APEC圏内の保護主義の動きをどうごらんになっているかというのと、今回のAPECで日本としてどのようなことを訴えていかれるのか、その辺についてお願いします。

 

A: これから検討します。

 

 

【エネルギー基本計画】

Q: エネルギー基本計画の会合なのですけれども、今月中のまだいつごろ開くかということと業界団体を呼ぶ意向があるのかどうか、その2点についてお願いします。

 

A: 具体的な日程、また会議の進め方などについてはまだ報告を受けていません。どこかのタイミングで調整をすることになると思います。

 

 

【TPP】

Q: ペルーの件なのですが、先日の甘利大臣の会見でちょっと突然感がメディアとしては各社あったなと思うのですけれども、EPA交渉は基本的にはオーケーであったのに、この状況の中で、どうして突然またTPPの参加を承認してくれないのかということに関して、可能な範囲でお願いします。

 

A: 恐らくそれぞれの国で事務手続とかいろいろなことがあるのだと思います。少なくとも私は、何か大きな問題が引っかかっていて、ペルーの間でスタックしているとういう話は聞いておりません。

 

 

【電気事業法改正案、ガス事業の改革】

Q: 電気事業法改正案が先週国会に提出されましたけれども、規制の行政組織についてあり方見直すという附則がありましたけれども、これについて大臣の今のところのお考えがあればお聞きしたいのが1点。それから、ガス事業についても、電気事業と一緒に見直すべきではないかという一部の業界の意見があったりしたわけですけれども、これについて何かお考えがあればお聞かせください。

 

A: 規制組織については、これから2年で結論を出すということになっております。全体の改革を進める中で、この規制組織が持つ意味というのは、極めて大きくなっていると思いますので、しっかりした検討を進めていきたいと思っています。
 それから今回電力システム改革、大きな改革を進めるわけでありますけれども、ガス事業についても何らかの改革が必要だと考えております。会社の数も多いため、まずきちんと今の実態を把握した上で、どんな問題点があるか、どんな課題があるか、整理をした上で、改革の方向なり考え方というのをまとめていきたいと思います。

 

 

(以 上)