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茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

平成25年5月17日(金)
9:26~9:41

於:記者会見室

(冒頭発言)

 

 今週は平成25年度の予算も成立して、いよいよ各委員会の方で法案の審議に入っているわけです。今日は、本会議でクールジャパンの法案も趣旨説明、質疑ということでありまして、経済産業委員会で、経済産業省としても幾つかの重要法案を国会の方に提出しておりますので、その成立に向けて、全力で取り組んでいきたいと考えております。

 

 

(質疑応答)

 

【成長戦略】

Q: 本日、安倍首相の方から成長戦略の第2弾が発表されることになると思います。その中でも経産省の担当部分が主要なところを占めてございますが、内容は現時点で難しいと思いますが、狙い等について聞かせてもらえますか。

 

A: アベノミクスの3本目の矢は、民間の投資を喚起する成長戦略ということでありまして、この民間投資の中核をなすのが設備投資であると思っております。1月から3月期の成長率は、年率で3.5%と民間の予想以上の数字でありましたが、設備投資はまだマイナスといった状態でありまして、あらゆる手段を使って、設備投資の拡大というものを早急に図っていくことが成長戦略成功の鍵を握っていると判断しております。これにも関連しまして、産業の新陳代謝の促進策につきましては、近々政策パッケージの素案を取りまとめたいと思っております。

 

 

【敦賀原発2号機直下の活断層】

Q: 先だって、規制委員会の方で敦賀原発2号機直下の断層を活断層とする評価報告書がまとまりました。これによって2号機廃炉の可能性が指摘されますが、その受け止めと、それによって電力業界などから政府として日本原電への支援も必要との意見もありますが、それについて、現時点でどういうふうに考えていらっしゃいますか。

 

A: 一昨日、原子力規制委員会の評価会合におきまして、敦賀2号機の直下を通る敷地内の断層は、活断層である評価書案が了承されたことは承知をしております。破砕帯調査については、規制委員会が科学的、技術的な見地から検討を進めておりまして、その評価結果に関して、私からコメントは差し控えたいと考えております。いずれにしても、原発につきましては安全第一、そしてその安全性については、規制委員会の専門的な判断に委ねられるということになっています。また、個別企業の経営につきましては、私からはコメントは控えさせていただきます。

 

 

【電気事業法の改正】

Q: 今国会に提出している法案のうち、電事法の改正については、今後の見通しについてお願いします。

 

A: この電力システムの改革、そしてそのための電気事業法の改正は現在日本が直面しているエネルギー制約を克服するための中核になる改革だと考えております。政府・与党として、経済産業省として、是非この国会での成立をお願いしたいと考えておりますが、野党の一部のグループ、改革への抵抗ということもありまして、なかなか進みにくい状況にある。これは大変残念だと思っております。日本をきちんと変えていく、こういった思いを各党、各会派の皆さんに持っていただきたいと思っております。

 

 

【TPP】

Q: 今日の夕方にTPP関係閣僚会議が予定されていますが、それの狙いと改めて7月の交渉会合までに政府として進めていかなければいけない課題について教えてください。

 

A: TPPに関して、定期的に閣僚会議を開催しております。そして、日本の参加につきまして、11カ国の承認を得て、今各国の国内手続に入っているといったことの情報の共有等 を図っていきたいと思っておりますが、いずれにしても次回会合、これに我が国として、実質的で意味のある議論に参加できるように、各国にこれからも働きかけていきたいと思っています。

 

 

【敦賀原発2号機直下の活断層】

Q: 先ほどの敦賀原発に関連しての質問なのですけれども、もともと2号機については、国が許可を与えたという経緯があり、それが今回活断層ということで、政策変更に直結するような側面があるかと思うのですけれども、現状で廃炉ということになれば、大幅な廃炉積立金の不足なども生じますけれども、これについては、原則的に事業者の自助努力で対応すべきものとお考えなのか、あるいは国として何らかの配慮、どのようなことがあるのか、現状でどのようにお考えでしょうか。

 

A: まず、政策変更というお話がありましたが、安全性を第一にして、いかなる事情においても安全性が勝るといったことを中心に据えた ことについて、政策変更とおっしゃるならそうかもしれませんけれども、これまでも一定の評価基準で評価を行ってまいりました。また、新しい基準や新しい組織で評価を行った結果、これがこれまでと違ったということについては、 政策変更ということにはならないと思っております。
 そして、評価会合におきましては、一定の結論が出たわけでありますけれども、最終的な結論に委員会として至っているわけでありません。今後の推移等を見ながら、政府としてどう対応していくか、検討したいと思っております。

 

 

【福島第一原発の汚染水対策】

Q: 福島第一原発の収束に関連して、昨日、東電が漏洩水量の実際に漏れた量が試算した数字よりも大幅に少ないという結果を出しました。結果論になってしまいますけれども、地下貯水槽から汚染水を地上に運び出すことによって、敷地の中の年間被ばく線量も上がってしまうことになり、また汚染水を保管ということも、非常にタイトになってきている現状があるかと思うのですが、地下貯水槽については、東電は今後も再利用はしないと言っているのですが、この判断についてはどうお考えでしょうか、あるいは何らかの対策を施した上で、利用することも有り得るとお考えでしょうか。

 

A: 漏洩があったという事実は変わっておりません。そして、漏洩の量をしっかりと把握できるようにすべきだと考えておりますし、今後引き続き原因究明を進めるとともに、周辺でのモニタリングをしっかりと継続していくことが不可欠だと思います。こういうことができずに、地下貯水槽を使うということは有り得ないと考えております。

 

 

【石炭火力の推進】

Q: 明日からアフリカの資源相の会合がありますけれども、アフリカは最近ガスでも注目されていますが、一方でモザンビークの石炭の話もかなり有望な地域だと思うのですが、ここで改めて大臣から、今政府として石炭火力の推進の方針が打ち出されておりますけれども、国内での必要性でありますとか、有効性について、改めて大臣にお伺いしたいと思います。

 

A: アフリカを含め石炭は、世界各地に埋蔵量が確認をされているということで、今後我が国がエネルギー源の多様化、そして調達先の多角化を進めるという意味でも、極めて重要だと考えております。同時に石炭火力、燃料費で言いますと、LNG火力の3分の1程度でありまして、経済的に優れていることに加えまして、エネルギーの安全保障、そして低廉なエネルギー調達に向けた対外的な交渉オプションを持つという観点からも極めて重要な意味を持つと考えております。
 環境にも配慮した高効率石炭火力発電の推進に向けまして、先月、4月末までに環境アセスメントの手続の明確化や期間の短縮、特に期間につきましては、火力発電所のリプレイスについて、これまで3年から1年強とに短縮ができたわけでありまして、これについて、環境省と合意したところであります。
 この石炭火力、日本国内のエネルギー制約の克服という観点からも重要でありますけれども、日本の高効率の火力発電は世界のトップの技術です。例えばアメリカ、そしてまた中国、インド、こういった国に応用しますと、年間で言いますと15億トンのCO2の削減ということになるわけでありまして、これは日本1国の1年間の排出量以上ということでありますから、今後日本の世界トップレベルの石炭火力、海外へのプラント輸出の一つの核として、またそれを通じて日本が地球環境問題に貢献をしていくといった意味からも、非常に大きな課題、テーマだと考えております。

 

Q: 環境性と経済性というのも、常に天秤になると思うのですけれども、今も日本の石炭というのは、それに応えるものだとお考えでしょうか。

 

A: 先ほども申し上げたように、世界トップレベルであります。そして、この日本の技術をもってすれば、アメリカ、中国、そしてインドにこの同じ技術を導入したとしますと、日本の1年分のCO2の削減ができます。これが大きいかどうか、私は大きいと思います。

 

 

【メタンハイドレート】

Q: 昨日、資源エネルギー庁長官と新潟県知事らとで日本海側のメタンハイドレート等についての会談が行われましたが、今後太平洋と並行して日本海側のメタンハイドレートなど、資源開発を行うに当たっての今後のスケジュール感、御見解についてお願いします。

 

A: 日本海側につきましては、これから3年間掛けまして、資源量の調査、探査を行っていくということであります。太平洋側におきまして、既に掘削、生産実験も行っておりまして、今後そのデータをベースにしながら、技術的な課題、商業化に向けての課題といったものも詰めていくことになりますけれども、これは日本海側におきましても、同じようなことを含めて、日本国内に有する大変貴重な資源として、これからも注目していきたいと思っております。

 

 

【原発再稼働】

Q: 原発のことに絡むのですが、規制委に安全確認は任せるとして、問題は規制委が安全だと言っても地元が反対しているような場合、昨日も新潟県知事がそういったことに対して懸念を言っていましたが、こうした場合、事業者だけでは無理だと思うのですが、国としてどのようなアプローチで安全を確認した原発の再稼動を進めていくことになるのでしょうか。

 

A: まずは安全性の確認、これが前提条件ということになっていると思います。その上で、立地自治体始め、関係者の理解を得る努力を最大限行っていかなければいけない。事業者任せにするのではなくて、国もしっかりと前面に出て、様々な形での理解を得る努力をしていきたいと考えております。

 

Q: 例えば、自らが現地に赴いたりとか、そういうことも考えているのでしょうか。

 

A: これからの話でありますので、具体的なことにつきましては、その時点で、また地域事情といったことも勘案しながら、全ての地域で同じアプローチが有効か、また適切かということも含めて、判断をさせていただきます。

 

 

 

(以 上)