スピーチ・対談

OECDフォーラム・イン・ジャパン「日本経済の将来をどのように描くか」開会の辞

平成14年12月6日
於:東京国際フォーラム

本日はお忙しい中、本フォーラムに参加していただき、ありがとうございます。
本日のフォーラムの主要なテーマである「日本経済の将来をどう描くか」という課題は、まさに我が国政府のみならず、経済界、学界が一体となって取り組んでいる重要な課題であり、誠に時宜を得たものであると考えます。
このフォーラムのためにパリから昨日訪日されたジョンストンOECD事務総長をはじめ、国内外の著名な参加者を得て、実りある議論となることを期待します。さらに、このような有意義なセミナーを主催していただいたOECDと日本経団連、日本経済研究センター、さらに小島日本経済新聞論説主幹をはじめとして、このセミナーの開催に向け、ご助力いただいたすべての方に、感謝の意を表したいと思います。

1964年に我が国がOECDに加盟して以来、我が国はOECDでの議論に積極的に参画し、数多くの実りある成果を達成してまいりました。
このOECDの活動の注目すべき特徴の一つとして、質の高い経済分析が挙げられます。OECDのエコノミストと共に各国専門家が共に議論して作成するOECDの経済レポートは、世界で最も権威あるものの一つと言えましょう。
OECDは先月19日に『OECD対日経済審査報告書』を公表いたしました。この報告書も、OECDが、我が国を含む各国の専門家との真剣な議論を通じ作成したものであり、今後の日本経済の将来を考える上で誠に貴重な報告書であるといえます。
同報告書は、その結論において、我が国における構造改革や競争政策の一層の推進を訴えており、我々として考慮しなければならない重要な指摘が数多く含まれております。本日は、ジョンストン事務総長より、日本経済が直面する諸問題をいかに克服し、活力ある成長を取り戻していくかにつき、OECDとしてのメッセージを頂けるものと期待しております。
実際のところ、日本経済は様々な問題に直面しています。日本経済に対する悲観的な見方もありますが、私は、現状を打開する日本国民の意志と能力という点において決して悲観しておりません。我々は過去幾多の試練に直面して、乗り越えてきた経験を持っております。我が国は、コンセンサスに時間はかかりますが、一旦コンセンサスが出来ると行動は早いのです。そして、国民・政府ともに改革と変化が必要であり、そのための痛みを耐える覚悟があると思います。

また、本日のセミナーでは、日中経済関係が今後どのように進展していくかがもうひとつの大きなテーマとして取り上げられています。中国の経済発展を脅威と見る向きも一部にありますが、我々は、中国のダイナミックな経済発展を我が国の一層の発展のための挑戦・好機であると受け止め、これを積極的に活用していくことこそ日本の進むべき道であると確信しております。
OECDはこれまで域外国との協力に積極的に取り組み、中国やロシア等の非加盟国に対しオブザーバーとしての参加を呼びかけ、その協力関係をより一層強化してきています。特に中国に対する最近のOECDの取組みは、注目すべきものがあります。
本年3月にOECDは『世界経済における中国』と題する報告書を公表いたしました。これは、本日パネリストとして参加されるエコノミストのピゴット氏をはじめとするOECDの専門家が総力を挙げて取り組んだ、注目すべき報告書であります。この報告書の中では、今後の中国経済の発展の可能性及び克服すべき課題などにつき、質の高い分析が行われております。我々が中国の将来について議論するに際し、貴重な参考になり得るものであります。
また急速に発展をとげつつある中国はその過程において、いろいろな内部の問題も抱えております。WTO加盟も果たしたばかりであり、その中国が国際貿易体制の強化に対し、いかに建設的な役割を果たしていくかも注目されます。こうした観点からも、我が国を含むOECD諸国にとっても、中国といかに協力的な関係を築いていくかが大きな戦略的課題と言えるでしょう。

本日このような課題について是非大いに活発な議論が行われることを心より期待しております。最後に、本日ここにご参集いただいた皆様にとりまして、本フォーラムが有意義な結果、願わくば我が国経済の将来に大きな指針を与えるような野心的な討議になることを念願いたしまして、私の挨拶の結びとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。