スピーチ・対談

日経ビジネス創刊35周年記念セミナー ITで実現するリアルタイム経営

基調講演 「発進! e-Japan戦略II加速化パッケージ」
平成16年2月24日
東京会館
「日経ビジネス」の創刊35周年を記念するセミナー「ITで実現するリアルタイム経営」が、2月24日、東京会館で開催された。茂木敏充・科学技術・IT担当大臣は、基調講演で「今後、外交や援助にもITを組み込む」とするとともに「デジタル家電で日本は先行しているが、システム化、ネットワーク化に後れを取らないように」と警告した。
また、佐藤正史・JTB取締役が「経営トップはITをROI向上の武器にすべき」と力説する一方、ベンダーには「システム構築のスピードアップを」と要請、植草一秀・早稲田大学大学院教授は「政府は不良債権の処理より景気回復を優先すべき」と経済運営に注文をつけ、「企業はBPRを活用、コスト構造をゼロから改革し、優位な部分を一層強化すべき」だとした。
「リアルタイム経営」の実現には、情報システム構築のツールが必要になる。そこで、協賛会社のジャストシステム、日本ユニシス、SAPジャパンは、「トップの意思決定を支援」したり「成長路線を提示」したりする最新の商品やサービスを紹介、参加者はそれらに真剣に聞き入っていた。


基調講演 「発進! e-Japan戦略II加速化パッケージ」
ITを外交・援助戦略にも取り入れデジタル家電などはシステム化を急げ

科学技術・IT担当大臣 茂木 敏充


わが国のIT戦略は3段階のステップを踏んで進行している。2001年1月に始まったe-Japan戦略による「05年に世界最先端のIT国家をつくる」ための基盤整備、03年7月からのe-Japan戦略ⅡによるITの利活用の推進、そして04年2月にまとまったばかりのe-Japan戦略Ⅱ加速化パッケージである。
茂木敏充・科学技術・IT担当大臣は、「これらの戦略によって、ブロードバンドでは安さ、速度ともに世界のトップレベルとなり、携帯電話のインターネット対応率は世界一になった。電子政府の関連では、国の公共事業すべてに電子入札が可能になっており、04年3月には国の申請・届出手続きの97%がオンラインで可能になる」と一連の施策の成果を強調した。
だが、主要国に比べて遅れている分野もある。茂木大臣はその例にレセプト(診療報酬明細書)点検を挙げ、「すべて電子化されれば年間1500億円コストダウンできる」との試算を紹介した。また、規制改革関係ではスキャニング(による書面の電子保存)技術の進展を例にとり「電子保存によって紙ベースの保存にかかる企業のコストが年間で約3000億円削減でき、これが実質的な減税効果になる」との見方も示した。
さらに、茂木大臣は今後の課題に話を進め、「国際社会で情報流通の地域的不均衡の発生(デジタルデバイド)が問題になっている。アジアとの一層の関係強化のために、外交・援助(ODA)戦略の中にもITを位置づけていくべき」と主張。国内については情報セキュリティ対策の抜本強化に乗り出す構えを見せるとともに、「ITの付加価値の源泉は、通信手段からコンテンツに移行している。コンテンツ資産の有効活用、そのための人材育成、コンテンツ事業への資金調達の円滑化が急務」とし、その策を講じる姿勢を示唆した。
現在好調なデジタル家電については、「個別の商品で先行していても、ネットワーク化、システム化が達成できないと、海外勢に逆転され、これまでの開発努力が十分に報われない恐れがある」と警告した。また、e-Japan戦略Ⅱ加速化パッケージをテコに、「政府はアジア等IT分野の国際戦略、セキュリティ政策の強化、コンテンツ政策の推進、IT規制改革の推進、政策評価、電子政府・自治体の推進に力を入れる」とし、e文書法の国会提出などに言及、最後に「IT革命を推進するためには、企業の幹部の方々に問題意識を共有していただき、必要な改革を政府に提案していただければありがたい」と呼び掛けて講演を締め括った。