テレビ出演・記者会見 テレビ出演・記者会見

茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

平成26年6月6日(金)
9:06~9:23
於:記者会見室

(冒頭発言)

 

 まず、私から簡単に2点申し上げます。

 

【平成26年版ものづくり白書】
 まず、第1点は平成26年版のものづくり白書についてでありますが、本日、「平成25年度ものづくり基盤技術の振興施策」、いわゆる「ものづくり白書」を閣議決定いたしました。文部科学省、厚生労働省と経済産業省と共同して執筆をしておりまして、今回で14回目となります。
 今回の白書では、平成25年度に講じた施策や各種統計データのほか、国内でのものづくりの再評価と国内生産基盤の維持、強化について、そしてグローバルニッチトップ企業やベンチャー企業など、新しい経済の担い手の育成といった今後の方向性を示しております。
 さらに、成長分野に進出するに当たっての人材育成、ものづくり基盤を支える教育、研究開発、女性が活躍できる環境づくりの重要性についても述べております。
 ものづくり白書の詳細につきましては、後ほど事務方から説明をさせていただきたいと思います。

 

 

【対ウクライナ石炭火力効率改善支援】
 もう1点、G7のサミットにおけます対ウクライナの石炭火力効率改善の支援についてでありますが、先月ローマでのG7エネルギー大臣会合の結果も踏まえて、昨日まで開催されましたG7サミットにおいても、ウクライナに対するエネルギー効率の向上に向けた技術的支援の重要性が改めて確認をされたところであります。
 これを受けて、我が国のウクライナに対する支援として、老朽化した石炭火力の効率改善に向けて協力を実施していくことを決定いたしました。この協力は産炭国であり、石炭火力の比率が高いウクライナからの強い要請に基づくものでありまして、我が国のすぐれた石炭火力の技術を生かしつつ、ウクライナのエネルギー安全保障とCO2排出量の削減に貢献できるものと確信をいたしております。
 できるだけ早い時期にJCOAL及び専門家チームによります石炭火力発電所の設備診断のためのミッションを派遣するなど、具体的なプロジェクトの実現に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 私から以上です。

 

 

(質疑応答)

【成長戦略】
Q: 幹事社から質問します。新しい成長戦略策定に向けた政府内の調整が加速しております。経済産業省として、最優先で成長戦略に盛り込みたいと考えているテーマを改めてお聞かせいただけますでしょうか。

 

A: 我々の成長戦略は、常に進化していく成長戦略と思っております。その中で幾つか重要なポイントがあると考えておりまして、まず一つは産業の新陳代謝を加速して、国際競争に勝てる事業環境を整備することが重要であります。このための法人税の改革、世界で勝てるベンチャー企業の創出、農業、医療など、さらなる規制、制度改革に取り組んでいくことが必要であると思っております。
 2番目に、労働関係でありますが、労働人口減少が進む中で、雇用労働制度を見直して、能力と意欲に応じて働ける環境をつくっていくことが重要です。女性や高齢者の活躍を推進するとともに、労働者の長時間労働を是正して、より成果に重点を置いた労働制度をつくっていくことが重要であります。
 また、人手不足の解消、これは医療、介護の現場であったり、農業、建設現場、そして中小企業の工場等、そういった現場での人手不足であったり、過重な労働からの開放などの観点から、ロボット技術をさらに活用していくことも重要であると考えております。
 3番目に、経済の好循環を全国津々浦々に届けて、景気回復の実感を一日も早く感じていただくということが必要だと考えております。このために、地域経済を支える全国385万の中小企業、中でもその9割を占める小規模事業者の活力を最大限発揮していくことが必要不可欠でありまして、全国で1万4,000あると言われております地域資源を活用した新事業の創出や、地域における創業などを促進していくことが重要であります。
 こういった課題につきまして、具体的に検討を進め、必要な施策を成長戦略の改訂に反映をさせてまいりたいと考えております。

 

 

【G7サミット】
Q: もう1問お願いします。
 冒頭の御発言とも絡むのですが、ロシア抜きでの開催となったG7サミットが終了しました。サミットへの評価、今後ロシア抜きでのサミットが続くことへの感想などがあればお聞かせいただけますでしょうか。

 

A: 今回のサミットにおいて、エネルギー分野ではG7エネルギー会合で一致した内容が改めて首脳レベルで確認をされたわけでありまして、エネルギー安全保障の確保の観点からも重要な意義であったと考えているところであります。
 今後、ロシア抜きでG7の議論をしていくことについては、極めて高度な政治判断を要する事項でありまして、ロシアとの関係について、中長期的に戦略を構築していく必要があるとの問題意識から、引き続き議論をしていきたいと考えております。

 

 

【法人税改革】
Q: 法人税について改めてお尋ねしたのですが、大臣は国際的に遜色のない水準にすることが重要だとおっしゃっていますが、具体的にいつまでに何%くらいまで下げるべきかというイメージをお持ちなのかということと、財源についてなのですが、外形標準課税の拡充を求める声もありますが、その辺についてどうお考えでしょうか。

 

A: 法人税改革は非常に重要かつ緊急の課題だと考えております。経済のグローバル化が大きく進展をしていく中で、日本企業が競争力を高め、また国内外からの投資を呼び込むためには、事業環境整備の一環として、法人実効税率を国際的に遜色のない水準としていくこと、これをできるだけ早く実現したいと考えております。
 スタートの時期でありますけれども、御案内のとおり企業は既に6年ぶりの賃上げを行っておりますが、この夏から秋にかけて、アベノミクスによって生れた企業収益、これを国内投資に向けるのか、それとも海外投資に向けるのか、この判断をしていく段階になるわけでありまして、企業の国内投資を拡大、これを促す観点からも、6月の段階で具体的な方針を示すことが必要であると考えております。
 2015年度から引き下げを行うということと同時に、その先の改革、国際的に遜色のない水準に持っていくという政策パッケージ、全体の政策パッケージの両方を示すことが極めて重要ではないかと考えております。
 一方で、財源についてでありますけれども、中長期的に見て、レベニューニュートラルであることが重要であると思っておりますけれども、レベニューニュートラルは必ずしもタックスレートニュートラルではないと思っておりまして、当然課税ベースの拡大であったりとか、租税特別措置の見直しも必要でありますが、アベノミクス経済効果による増収力、こういったものも含めて、レベニューニュートラルが図られるように、総合的な検討をしていくことが必要ではないかなと思っております。

 

 

【新福島変電所】
Q: 先日は変電所の規制強化についてのお答えありがとうございました。
 その後、電力安全課長からお返事をいただきまして、結局変電所全般としては、地震によって絶対壊れてはいけないという考え方はとらないと、原発につながるものについては、原子力規制委員会の方で確保するべきものだと、原子力規制委員会としては、多重化すればいいのだということでした。
 そこはわかったのですが、そうしますと、変電所、九州電力で例に挙げますと、マックス500ガルまでという規制に今なっております。福島の場合はあの地震によって1,069ガルまでいってしまいました。これですと、今現在の規制のあり方ですと、経済産業省によっても、原子力規制庁によっても、耐震化の強化というのは行われません。
 大臣としては、この件についてはどのように誰が規制をかけるべきだというふうにお考えでしょうか。

 

A: 変電所、二つの側面があるわけでありまして、一つは電気の供給システムの確保、こういう観点、もう一つは原発への電気供給にかかわる変電所の規制強化が必要か否か、どちらについてお聞きをいただいているのでしょうか。

 

Q: 両方です。

 

A: 両方ということはないです。どちらかなのです。
 一般的に電力の安定供給なりを確保する観点から、変電所なり発電所はどうあったらいいかという御質問なのか、それとも原発に限って、原発への電気供給にかかわる変電所の規制強化が必要か否か、どちらの観点からの質問によりまして答えが違うので、どちらから聞かれているのでしょうかと申し上げている。

 

Q: ですので、両方聞きまして、前者の方ですと絶対壊れてはいけないという考え方はとらないのだというふうにお聞きしております。後者の考え方ですと。

 

A: 絶対壊れてはいけないということではなくて、大きな地震等が発生しまして、変電所が損壊したとしても、著しい供給支障が生じないように、たくさんのルートとか、ループがあるわけでありますから、そういったものを組み合わせる、いわゆる代替性の確保であったり、多重化によって対応していくということになります。
 全ての変電所について、全く事故が起こらない、こういう想定ではなくて、もし事故が起きた場合にも、ルートの変更であったり、さまざまな手段によって対応していく。例えば電線が切れた場合でも全く一緒でありまして、そういった対応をすることによって、安定供給に支障をもたらさないという対応をとっております。

 

 

【凍土遮水壁】
Q: 凍土遮水壁について質問いたします。先般、6月4日の規制委員会で、この問題について議論がありました。実際には正式な許可はないけれども、地盤沈下が建屋のそういう心配がないので、一応黙認する形でOKという、そういうような。

 

A: 一応ということはないと思いますけれども。

 

Q: 人にもよるのですけれども、要するに正式な許可は出ていないという中で、今後どういうふうにそれを進めていくのかという見通しと作業の安全、特に夏は熱中対策も今までとは違う、普通のやり方ではだめだということが規制委員会でも出ております。
 この辺もあわせまして。

 

A: だめだとは言ってないと思います。そういう言ってないことを引いて質問されるというのはフェアではないと思います。

 

Q: 個別の取材では、そういう黙認という言葉が出たので言ったのですけれども。

 

A: ただ、それは正規な見解でないと思います。正式な見解を聞いた上で、まだ御質問ください。

 

Q: 正式なオーケーが出ていないことについては、どう思われていますでしょうか。手続にのっとって、許可が出ていないということです。

 

A: 凍土壁をつくるのに、それぞれの工事全てについて、一個一個許可を出すということですか。

 

Q: そうではなくて、最終的にオーケーというのは出てないけれども、事前に工事も日程もあるし、支障のない限りで穴を掘るということについては、いいでしょうという、そういう状態です。

 

A: 飲み込んでお答えをいたします。飲み込んでというのは、もう少しきちんと、例えば今の御質問を聞くと、事実でないことに基づいて質問されているのですけれども、それは私はフェアでないと思いますけれども、それを飲み込んでお答え申し上げます。凍土壁の工事に係ります原子力規制委員会の指摘、これは事業者であります東電と鹿島建設に対して、夏に向けて作業員の被ばく低減対策の効果をよく評価した上で対応すべきという指摘であると考えております。

 経済産業省としても、作業員の被ばく低減を含め、安全な作業環境の構築は極めて重要であると考えておりまして、既に夏に向けて東電、鹿島とは政府の現地事務所で事前に十分な打ち合わせを行い、凍土壁工事の作業概要の確認であったりとか、線量対策を含みます安全対策についてのヒアリング等も実施をしているところであります。今後も引き続き作業員の安全対策を行った上で、着実に廃炉汚染水対策を進めていきたいと考えております。

 

 

(以 上)