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政調会長会見録

平成28年12月8日(木)
16:30 ~
於:党本部記者会見場

【冒頭発言】

 本日、来年度の「税制改正大綱」と「予算編成大綱」を決定しました。
 昨年と比べて1週間以上早くとりまとめることができました。その分、これから大綱に沿って、政府の予算案にわが党の考え方をしっかりと反映させていきたいと考えています。
 税制改正につきましては、「一億総活躍社会」を実現し、日本の成長力を底上げする観点を重視した改正となっています。
 まず、個人所得課税の改革については、経済社会の構造変化を踏まえ 今後数年かけて取り組むこととしました。来年度はその第一弾として、まず、働きたい人が就業調整を意識しなくて済む仕組みづくりの観点から、配偶者控除の見直しを行います。具体的には、38万円の所得控除が適用される配偶者の収入制限を現在の103万円から150万円以上に引き上げることにしています。
 次に、法人課税につきまして、研究開発投資へのインセンティブを強化する研究開発税制の見直し、賃上げを行う企業を支援する所得拡大税制の見直しを行うこととしています。
 このほか、同一酒類の税率格差を解消する酒税の改革。そして、日本企業の海外展開を支えつつ、国際的な租税回避に効果的に対応できるようにするための国際課税の見直しを行うこととしました。
 一方、来年度予算ですが、安倍政権の発足以来、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本に、歳出改革をすすめながらメリハリの効いた予算編成を行ってきました。来年度の予算編成に当たっても、この姿勢に変わりはありません。今回の予算編成のポイントは3つあります。
 まず1つは、保育・介護の受け皿拡大、保育士・介護士の処遇改善、さらに無利子奨学金の拡充や給付型奨学金の創設など、一億総活躍社会の実現に向けた施策を重点的に推進すること。
 2つ目に、持続可能な社会保障制度の確立に向けて、低所得者に配慮しながら、負担能力のある方にはそれに応じて負担をいただくなど、公平性を確保する制度改正を行っていきます。同時に高額な薬剤の薬価引き下げに速やかに取り組むなど、国民負担の軽減につながる施策は前倒しで進めていく。
 3つ目に経済構造改革によるGDP600兆円の実現、働き方改革の実現、国民の生命を守る防災、国土強靭化、未来を創造する教育再生など重要政策について、個人、企業、地域、さらに社会全体を動かす力強くメッセージ性のある予算編成としています。
 この4年間、安倍政権は、地球儀を俯瞰する外交、経済の再生、インバウンドの大幅拡大、経済のグローバル化に対応した法人税の減税、大胆な規制改革など、「結果を出す」といった強い決意で、1つ1つ確実な成果を挙げてきました。今回の税制改正、予算編成が、国民の期待にしっかりと応える成果・結果につながるようにしていきたいと考えています。

 

 

【質問】

 外交についてお伺いします。日米開戦の発端となった真珠湾攻撃から75年の節目に当たります。年末の総理の真珠湾訪問について、日米関係、さらには戦後日本外交における意味合いをどのようにお考えですか。

 

【回答】

 まさに今日がパールハーバーから75年です。日米関係を振り返るタイミングだと思っております。第二次世界大戦において敵対した日本と米国が共通の価値観の下で同盟関係を結び、日米の絆、希望の同盟が、アジア太平洋地域、そして世界の平和と繁栄の大きな礎になっています。日米同盟の強い絆、希望の同盟を世界に向けて発信をする。そういった意味でも、安倍総理のハワイ訪問は良い機会となると期待しております。

 

 

 

【質問】

 配偶者控除の見直しで、103万円の壁が150万円になりましたが、会長が意義を強調されていた夫婦控除は、今回見送りということになりました。率直に、今年できなかった、見送りになったことをどう受け止めているのかということと、今後、来年度以降の創設の時期についてどのような見通しでしょうか。

 

【回答】

 今回の議論で、いわゆる夫婦控除については、世帯単位で所得を把握することが難しいといった問題点が指摘されたところです。大綱においては、配偶者控除の見直しを行うこととしておりますが、これを実効性あるものにする観点から、今後、企業において配偶者手当の見直し等を行っていくことを期待しています。
 その上で、重要なのは、雇用の流動化であったり、労働者に近い形態で働く自営業者の割合の増加など、現在さまざまな面で多様化する働き方を踏まえて制度改正を検討していくことだと考えております。
 ライフスタイルに合わせて多様な働き方を自由に選択できるように、個人所得課税についても、今後数年かけて各種控除を含め、制度全体のあり方を見直すということにしております。その中で、配偶者控除そのもののあり方も、今後、検討課題になってくると考えております。

 

 

 

【質問】

 会長が先日の役員会で、統一会派を組む無所属議員が来年から政調の会議に出席できるようにしたいと発言されたと思います。本日の臨時総務会で、一部からそれに対する慎重な意見が出たとのことですが、そもそもこれは総務会マターではないという指摘もあります。この件に関してあらためて会長のお考えをお聞かせください。

 

【回答】

 統一会派を組んでおりますから、予算、税制、さまざまな法律について、自民党と同じ対応をしてもらいたい。そのためには、予算や法案の内容についてもしっかりとご理解をいただくことが大切だと思っております。そういった観点から、来年から政調の部会をはじめ各種会合にオブザーバーとして出席していただくという形を取りました。

 

 

 

【質問】

 来年度予算編成の焦点の一つとなっている高額療養費の取扱いですが、現在、中所得者の外来部分について自公間で若干考え方の違いがあるわけですが、現在の調整状況について教えてもらえますでしょうか。

 

【回答】

 まず全体として、「経済・財政再生計画」において示されている社会保障関係費の水準の「目安」を十分に踏まえて、予算編成を行っているところです。
 1,400億円の削減については、既に決められた「改革工程表」などに沿って、医療・介護分野での具体的効率化、見直しの議論がかなり進んでおります。
 その中で、高額療養費制度について、70歳以上の中所得層の負担をどうしていくかということが焦点となっているのは事実です。現在、鋭意議論を進めていただいておりまして、ゴールは見えてきつつあると考えております。
 さまざまな意見があることは事実ですが、負担能力に応じた公平な負担により全世代で制度を支え合うことが必要であり、与党として責任ある結論に達することができると考えています。

 

 

 

【質問】

 関連して、公明党は中所得者の部分は現状維持を主張していますが、仮にこの部分を現状維持にしたとしても、1,400億円の抑制は可能だとお考えでしょうか。

 

【回答】

 実際、いま現場でこの問題を含めて議論をしているところです。1,400億円については、きちんと削減をしていきたいと考えております。必要な部分については効率化、見直しを進めるという方針のもとで議論が進んでいると考えています。

 

 

 

【質問】

 税制の話に戻りますが、今回の配偶者控除の見直しで決定した部分を見ると、パートタイムや専業主婦に対しては税制優遇がある一方、フルタイムで働く女性に対しては優遇がない形になっています。一方で安倍政権は、保育所の拡大や保育士を増やすなど、女性が仕事と子育てを両立することをかなり強化されていると思うのですが、税制面と環境整備がかなりちぐはぐな印象があるのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。

 

【回答】

 国の施策には、さまざまなものがあります。例えば、施設整備を進める、制度改正を進める、予算措置を取る、さらには税制で後押しをしていく。どの施策が、それぞれの課題について重要となってくるかという観点も踏まえて対応を取っているところです。単に税制上の優遇措置がないから、重点的な対応を行っていないということにはならないと私は思っています。
 一昨日も話しましたが、フルタイムを含めて、とくに女性でいま離職をされている方が復職をする、こういった方に対する支援策は予算面でも相当充実をしていきます。基本的に安倍政権として、女性が輝く社会を作っていく。フルタイム、パートタイムに関わらず、働きたいと思う女性、さらには、キャリアアップしたいという女性が活躍できる環境を、さまざまな形で整えていきたいと考えています。

 

 

 

【質問】

 先ほどの質問にもあった統一会派の議員の部会への参加の件ですが、一部で同じ選挙区の自民党の議員から異論が出ていると聞きますが、こういった方々にはどのように説明をされますか。

 

【回答】

 これは国会運営の問題であります。国会において、さまざまな法案で同じ行動を取っていく。内容について全くお知らせをしないで、同じ行動を取ってほしいというわけにはいかないと私は思っています。選挙はまた別です。

 

 

 

【質問】

 大綱が決まったタイミングで申し訳ないですが、三次補正についてお伺いします。これから三次補正の準備が始まると思いますが、経済対策の必要性はどのようにお考えでしょうか。

 

【回答】

 今年度の税収は10月分までで19兆5,000億円です。上半期の円高などの影響もあり、昨年の同期を下回っていることは事実です。これによって、歳入の修正は必要だと思っています。
 すでに二次補正で対応している事業もありますし、新年度の予算で対応する事業も出てくるわけで、事業的に三次補正に何を盛り込むかということについては、現時点では決まっておりません。

 

 

 

【質問】

 税収に関してですが、今年度の税収見通しが当初から下振れをして赤字国債を追加発行するということを検討していると出ているのですが、これが来年度の予算編成に与える影響、アベノミクスが抱えている課題、今後のあるべき方向性についてお伺いします。

 

【回答】

 おそらく、今年度の税収につきましては、昨年度を下回るということになってくると思いますが、その前の年よりは税収が上がるという形です。基本的に、アベノミクスにより税収が上がるという構造が崩れているとは考えておりません。
 とくに今年の場合は、上半期に円高等の影響が大きく出たのは事実ですが、現在、為替相場も相当安定しています。そういった意味で、来年度の予算について、税収が大きく落ち込むという懸念は持っておりません。

 

 

 

【質問】

 北陸新幹線の敦賀以西ルートについてお伺いいたします。一部報道で、PT座長の茂木会長と座長代理の公明党の井上幹事長が昨日国会内で会談して、小浜・京都ルートの方針を確認したとなっております。その事実関係と選定の理由についてお伺いします。

 

【回答】

 昨日、井上幹事長と国会内で、与党の「整備新幹線建設推進PT」の今後の運び方について相談したのは事実です。ご案内の通り、先月の11日に、北陸新幹線の敦賀・大阪間のルート、いわゆる敦賀以西について、国土交通省の調査結果が出たわけです。現在、PTの下に設置をしている「北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会」で議論を行っております。かなり議論の方も大詰めを迎えていると聞いています。
 井上幹事長との間では、年内にPTを開く、そしてPTにおいてルート等について結論を出したいということで合意しました。それ以上、どこにするということを昨日決めたわけではありません。

 

 

 

【質問】

 関連で、選定に当たってはどういった条件を一番優先で考えるべきだとお考えでしょうか。

 

【回答】

 例えば、3つのルートのB/Cであったり、所要時間など、さまざまな要素を総合的に判断するということだと思います。

 

 

 

【質問】

 日程に関して、年内にPTを開くとおっしゃったのですが、具体的な日程については決まっているのでしょうか。

 

【回答】

 予算の日程がこれから決まってくるわけです。予算編成の具体的なスケジュールも出てまいります。例えば、復活折衝ということになると、私も陪席することになるので、そういった年末の予算スケジュールの合間を見ながらPTの日程を決めていきたいと思っていますが、22日より遅くなることはありません。

 

 

 

【質問】

 来年1月の通常国会についてお伺いします。次期通常国会では、天皇陛下の退位を巡る有識者会議の提言を踏まえた法案について、政府が検討を行うなど、重要法案の山積が予想されます。こうしたことを踏まえて、来年1月の通常国会の召集時期について、いつ頃が望ましいかという会長のお考えをお聞かせ下さい。

 

【回答】

 ようやく来年度の税制改正大綱、予算編成大綱を今日決めたところですから、今後、そういったことについてじっくりと検討していきたいと思っています。

 

 

 

【質問】

 関連で、与野党内では、来年1月の通常国会の冒頭で、解散・総選挙に踏み切るのではないかという見方が出ております。その中で、今日は自民党の各派閥で、派閥幹部の方々から選挙に向けた準備を進めるように指示する発言が相次ぎました。こうした状況を踏まえて、解散・総選挙に対する会長の率直なお考えをお聞かせ下さい。

 

【回答】

 解散・総選挙、率直に言いまして、総理の専権事項だと思っております。

 

 

 

【質問】

 薬価の改定について伺います。昨日7日の経済財政諮問会議で、薬の公定価格について民間議員から年一回以上、全部を対象に見直すべきだという発言がありました。冒頭に会長からも発言がありましたが、あらためて政調会長として薬価の見直しについてどのように考えていらっしゃるか教えて下さい。

 

【回答】

 国民負担の軽減につながる必要な改正については、できるだけ前倒しで進めることが望ましいと考えております。日本の場合、全体の医療費に占める薬剤費比率が非常に高いわけであります。この分野の切り込みは極めて重要なテーマだと思っています。
 どれくらいのタイミングで改正をしていくか。あまり頻繁で混乱を起こすことはあってはいけませんが、2年に1回ではなく、大幅に需要が拡大する薬剤や大きく収益が出るという薬剤については、適切に見直しの頻度を上げていくことは当然だと思っています。

 

 

 

【質問】

 関連で、来年かもしれませんが、党として薬価について協議する場を設けるなど、具体的な考えはありますでしょうか。

 

【回答】

 いまの時点ではまだ考えておりませんが、政府としてもそうした方向での検討を始めていくと思いますので、担当の部会か、その下にPTを作るのかわかりませんが、しかるべく党としても検討したいと思っています。

 

 

 

【質問】

 働き方改革について1点お伺いします。昨日、総理も言及されていましたが、ガイドラインと、今日の予算編成大綱の中でも法改正について躊躇なく行っていくと書いていますが、現在の検討状況を。具体的にどのような法整備が必要でしょうか。

 

【回答】

 まず、働き方改革の中で、同一労働同一賃金につきましては、どれが同一労働なのか、どの部分が問題となるのか、こういったストライクゾーンを決めていく。ガイドラインを示すことが年内の作業となってくると思います。法案の準備状況によりますが、3本の法案を制定しなければならない。その準備に取り掛かることになります。
 同時に長時間労働の問題につきましては、法的に労働時間の条件を定めることが必要ではないか。各社の自助努力で対応を取るのは困難だと思っています。何らかの法的な措置を当然取っていくことになると考えています。

 

 

 

【質問】

 関連で、会長から法的に労働時間の上限を定めることが必要ではないかというご意見がありましたが、具体的にはどのように。例えば、月なのか、どのようにお考えになっているかお聞かせ下さい。

 

【回答】

 期間について、月なのか週なのか決めているわけではありません。いずれにしても、月に何時間までといった形の罰則付きの基準を作ることが必要だと思っています。

 

 

 

【質問】

 生前退位についてですが、来年の通常国会で特措法の準備を進める段階になると思います。民進党が党内議論を進めているということで、自民党としても党内で検討する組織を立ち上げるお考えはあるのでしょうか。

 

【回答】

 有識者会議での議論が進んでいると思いますが、今後どうなっていくのか、静かな環境の中で議論が進むことを見守りたいと今の段階では思っています。いずれ国会で何らかの議論が必要になってくると思いますが、まずは院との関係では、議長や副議長と政府が相談した上で、どう取り扱っていくかということが検討される。その上で、各党で何らかの検討が必要だということであれば、そのタイミングで考えさせていただきたい。

 

 

 

【質問】

 党内で議論することは排除はしないということでしょうか。

 

【回答】

 排除はいたしませんが、こういった問題について、大衆討議で議論をすることよりも、いずれ党内においても冷静な議論が必要だと思っています。

 

 

 

【質問】

 先ほどの長時間労働の罰則の件ですが、政府側ともそういう方向の話をしているのでしょうか。

 

【回答】

 正式に話していることではありませんが、いろいろな意見交換はしております。

 

 

 

【質問】

 その罰則についてですが、具体的にどのくらいの罰則を考えているのでしょうか。

 

【回答】

 まだ決まっていません。

 

 

 

【質問】

 配偶者控除の件ですが、今回、先ほど出たように夫婦控除見送りということですが、今日の大綱では、国民の理解が得られていないと書かれていますが、今回の改正によって、夫婦控除、さらには税額控除の道筋はある程度ついたのでしょうか。方向性を出せたとお考えでしょうか。

 

【回答】

 先ほど申し上げましたが、今回の税制改正大綱では、個人所得課税について、経済社会の構造変化を踏まえた改革に今後数年かけて取り組むということが明記されています。配偶者控除については、まずは就業調整を意識しなくて良いような今回の改正をさせていただいた。抜本的な見直しはまさにこれからだと考えております。