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茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

平成25年9月3日(火)
11:26~11:44
於:記者会見室

(冒頭発言)

 

 私から、まず1点御報告をさせていただきます。

 

【原子力災害対策本部及び原子力防災会議合同会議】

 今朝の原子力災害本部におきまして、東京電力福島第一原発の汚染水問題の根本的な解決に向けて、汚染水問題に関する基本方針を 決定いたしました。お手元に基本方針、そして参考資料の図表2枚お配りをしております。
 汚染水問題については、東電任せにせずに、国が前面に立ち、その解決に当たってまいります。
国が前面に立つとは、大きく二つのことがあると思っております。
 その一つは、政府としての体制の強化を図っていくということです。そして、二つ目は必要な財政措置をとっていくということです。
 体制の強化につきましては、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議を設置いたします。また、汚染水対策現地調整会議等の現場体制 を強化してまいります。財政措置につきましては、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要があるものについて、財政措置を講じてまいります。特にまずは予備費を活用して早期の事業開始を促していきたいと思っております。
 具体的な汚染水対策としては、基本方針三つであります。
 まず、一つは 毎日山側から流れてくる 地下水を汚染源に近づけない。二つ目は汚染源、そして汚染水そのものを取り除く。 さらに三つ目として、汚染水を漏らさない、流出させない。 こういった三つの基本方針に基づき、新しい対策を実施してまいります。
 一つ目の地下水を汚染源に近づけない対策としまして、国費によりまして凍土方式の陸側遮水壁の設置を行います。また、地下水バイパス、そして建屋付近でのドレイン等 も実施をしてまいります。
二つ目は汚染源、汚染水を取り除く対策といたしまして、国費によりまして、高性能な多核種除去設備 を整備して、高濃度汚染水の浄化を加速してまいります。
 三つ目、汚染水を漏らさない対策として、海側の遮水壁の設置、来年の9月には完成予定です。この遮水壁の設置やタンクの漏洩リスクを減らすために、全てのボルト締め型タンクを溶接型タンクに今後リプレイスをしていきます。
 何よりも大事なことは、対策の実施に当たり、従来のような逐次的な事後対応ではなく、想定されるリスクを広く洗い出し、また対策が所期の効果を発揮しないことも考慮して、予防的かつ重層的に抜本的な対策を講じていくということです。
 また、原子力防災会議におきましては、原発周辺自治体の避難計画を抜本的に充実、強化するため、政府を挙げて支援していく方針を決定いたしました。そして、事故後初となります原子力総合防災訓練を来月の上旬に鹿児島県の川内原発で行うことにつきましても、了承されました。
私から以上です。

 

 

(質疑応答)

 

【汚染水対策】
Q: まず、汚染水なのですけれども、これで政府として基本的な方針が出て、一方でタンクからの漏洩は引き続き続いていると。
 先日、大臣が現地に行かれて指示されていますけれども、政府が方針を出した段階で改めて今後東電にどういう対応を求めるか、お聞かせください。

 

A: この汚染水対策、先ほど申し上げた山側から大量の地下水が敷地内に流出をする。そして、それが建屋、また建屋付近で汚染源、汚染水となることによりまして、汚染水の量が増大していく。 こういう構造的な問題、そして タンクから汚染水漏洩を防いでいくという管理体制の問題、これに分けて考えていく必要があると思っております。
 既にタンクからの漏洩問題につきましては、五つの方針 につきまして、東電 には指示を出しておりますが、今日改めて会議におきましても、タンクの溶接型へのリプレイスを進める、こういったことを決めさせていただきました。そのことにつきまして、改めて東電 に伝達をしたいと考えております。
 一方、汚染水の抜本対策、もちろん東電として事業者としてしっかり進めるべき部分はありますが、東電任せにしていては、なかなか加速化が難しいということで、国が予算面でも前面に出て、緊急性の要するもの、そして技術的な難度の高いものにつきましては、国が責任を持って進めてく 、という役割分担のもとで汚染水対策に当たっていきたいと考えています。

 

 

【TPP】
Q: 2問目はTPPなのですけれども、8月の終わりまでブルネイの方で閣僚会議と事務レベルの交渉会合が開かれたと思うのですが、この成果について、大臣の受け止めをお願いします。

 

A: 日本は12カ国目、最後の参加国ということになりましたが、ブルネイでの会合に向けて、日本として交渉チーム、100人という体制で十分な準備のもとで臨みました。甘利大臣、そして鶴岡首席交渉官を中心に、しっかり交渉に臨むことができたと考えています。
 次回は9月18日から21日の日程でアメリカのワシントンにおきまして、首席交渉官会合の 開催を 調整中 と聞いております。また、各分野別においても中間会合が開催をされる予定です。
 今後、各国が共有しております年内合意、これに向けて閣僚レベル、交渉官レベルで精力的に 交渉を進め、交渉の中で我が国の国益をしっかり主張し、実現をしていきたいと考えております。

 

 

【汚染水対策】
Q: 今回の福島での対応に関してなのですが、壁をつくって、あるいは汚染水を。

 

A: どちらの壁ですか。陸側の凍土方式による壁ですか、それとも海側の遮水壁ですか。

 

Q: 全部ひっくるめて政府としてお幾らぐらい使うことになるのかというのをお伺いいたします。

 

A: これは全部政府がやるわけではありません。先ほど申し上げたように、緊急性の高いもの、そしてまた技術的に難度の高いものにつきましては、国として責任を持って事業を進めていきたいと思っております。

 

 

【原発再稼働】
Q: 汚染水対策についてもう一つ伺いたいのですけれども、東電の柏崎刈羽原発の再稼動との関連でお聞きしたいのですが、泉田新潟県知事は、今回の汚染水問題で東電の原発への管理能力の不足というところを指摘して、原発再稼動にも非常に難色を示しているのですけれども、今回汚染水問題と柏崎刈羽の再稼動との関連を大臣はどのようにごらんになっていますか。

 

A: 今、 四国電力、関西電力、九州電力、さらには北海道電力が行っております安全審査の申請は、各事業者 が原子力規制委員会によって作られた新しい 安全基準に適合するという義務のもとに、 安全性の向上を図られた原発について、その審査の申請をしているものです。再稼動の申請をしているものではありません。
 そして、その上で安全申請が出されたものにつきましては、その原発が基準を満たしているか、安全であるか、このことを独立した立場で規制委員会がしっかりと、かつ迅速に審査していただくということは、原発の安全性の向上の意味から重要なことだと考えております。

 

 

【汚染水対策】
Q: 今回報道で、汚染水の凍土壁とALPSの高効率化で、昨日大臣は数百億円の総事業費がかかり、うち一部予備費にという話をされていたと思いますが、報道によって総事業費400億円であるとか500億円とか、さまざまな数字が出て、予備費200億円超という言葉もありますけれども、この辺の内訳をもし教えていただけましたらお願いします。

 

A: 精査中の部分もありますので、確定値ではありません。そういう前提でお聞きをいただきたいと思いますが、まず凍土方式の陸側遮水壁の構築のための事業費ですけれども、これは全体で320億円程度を見込んでおります。今後詳細な事業設計の中で精緻化をしていきたいと思っておりますが、この中で予備費の使用額につきましては、約140億円程度となる見込みです。
 一方、より高性能な多核種の除去設備の開発に関しましては、事業費全体、現時点で粗い概算ですが、約150億円程度 、そのうち予備費使用額につきましては、約70億円程度を見込んでございます。両方を足しますと事業費全体が470億円、そしてその中で予備費を活用するもの、これが半分近い210億円程度と見込んでおります。

 

Q: この470億円は国費でやられるという理解でよろしいですか、全体の総事業費のうち民間がどれだけ、国費がどれだけという割合は。

 

A: 国費でやります。

 

Q: 先日も伺ったのですが、五輪招致に与える影響ということも言われていますが、今回示した対策、方針で、先日おっしゃっていた国内外の懸念というのは払拭できるというふうにお考えでしょうか。

 

A: 汚染水の問題、これは日本にとっても、また福島で廃炉を進め、そして福島の復興を進める上でも極めて重要な課題だと考えております。オリンピックの開催地決定の有無に関わらず、政府として全力で取り組むべきものという基本的認識のもとで、今回の基本方針につきましては取りまとめを行わせていただきました。国が前面に立ってやるべき事業をしっかりとやり、この汚染水対策を加速化していきたいと思っております。
 一方で、事故以降、食品や 水の安全性、日本は世界で最高水準の厳しい水準を採用して、厳格な検査、そして流通管理を行ってきており、我が国の水、そして食料の安全性は確保されている、このように確信をいたしております。
 加えて、海への汚染水の影響でありますが、福島第一原発の港湾内、大体0.3平方キロメートル弱 、それも原発の施設の近い方を中心にとどまっておりまして、日本近海においてモニタリングを行っておりますが、放射能値、基準を十分に下回っているということを確認しております。
 我々は2020年のオリンピック・パラリンピックを東京で開催をし、世界中 から集まるアスリート、競技関係者など、多くの来訪者を食事や宿泊施設、そして安全対策、万全の準備でお迎えをし、日本ならではのおもてなしの心をもってお迎えをしたいと考えております。

 

Q: 先ほど予備費のうち、140億円程度を凍土方式による陸側遮水壁に充てる考えであるとおっしゃいましたが、この陸側遮水壁については、まだフィージビリティースタディの段階だというふうに承知していますけれども、140億円をもう少し具体的にどういうことにお使いになるのか、もしおわかりになるようでしたら教えてください。

 

A: これからFSが進む中で、工事の手順というのもありますけれども、機材の発注等 から入ることになると思います。それから実際の凍土をするための棒 の埋め込み作業等 と、そして関連するシステムの整備ということになってくると思います。

 

Q: そうしますと、今年度内に埋め込み作業にも着手できるとお考えになっているのでしょうか。

 

A: それは精査中です。

 

Q: 今の汚染水に関連しまして、東電の広報体制なのですけれども、この対策をいただいた政府の中でも、国際的にも広報体制をしっかりしていくようなことが書いてありますが、昨日の東京電力の記者会見でも随分いろいろな記者から指摘がありました。
 要するに、規制庁や何かに対応するときはしっかり対応しても、記者会見では確認しますとか、余りにも多くて、言うことが二転三転して、それでは国民に伝えるのはメディアの責務として、しっかり広報体制という面では、国の御指導の中でもそういう点というのは含まれているのではないかと思いますが、茂木大臣もある程度御存じかとは思うのですがこの辺についてどのように、今後の広報体制のあり方、記者会見のあり方も含めてお考えでありましょうか。

 

A:  国、事業者を始め、正確な情報を迅速に国民の皆さんに、また国際社会に対しても伝えていかなければならないと考えております。東京電力 にもそういった姿勢で臨んでほしいということは、既に社長にもお話をしております。

 

Q: 今回政府として汚染水対策を前面に出て、国費を投じてでもこれを解決するという姿勢を示されたと思いますが、一方でどこまでが東電、どこまでが国というこの線引き、ここについては、大臣としては今どのようにお考えでしょうか。

 

A: 既にちゃんと答えたと思います。明確にお答えしていると思います。

 

 

 

(以 上)