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政調会長会見要旨

平成24年7月30日

【冒頭発言】

 政府は明日、特例公債法の修正を閣議決定して、衆院本会議で修正承諾の議決をする予定と聞いています。
民主党内には、一体改革法案の参議院での採決前にこの修正特例公債法を参議院に送りたいとの意向もあるようですが、参議院に送るどころか、この修正特例公債法は今のままでは衆議院で否決されることになると思います。法案への反対の理由は、各党それぞれ違うと思いますが、大きく2つポイントがあります。
まずこの特例公債法は、平成24年度予算を執行するための財源を確保する法案です。わが党はバラマキ施策3.7兆円の削減を求めてきました。本予算に反対した野党各党は、本予算同様に当然この特例公債法に反対することになると思います。一方今回の特例公債法の修正では、これまでの交付国債に代わって基礎年金2分の1への財源2.6兆円について、消費税の引き上げを財源とする“つなぎ国債”を発行することになっています。年金特例公債、これがつなぎ国債の正式な名称ですが、法案は「年金特例公債の元利償還に要する費用の財源は、税制抜本改革法の施行により増加する消費税の増加をもって充てるものとする」という修正になっています。そうなると、消費税法案に反対した小沢新党、また民主党内に残っている造反組の皆さんは、消費増税に関するスタンスを変えない限り反対に回るはずですから修正された特例公債法の賛成者は与党のみになり、消費税と同じ220名にしか達しないことになります。
仮に、消費税法案に棄権した15人が賛成に回ったとしても235名、過半数に足らないので特例公債法は衆議院の段階で否決になると思います。
さらに、民主党内に残っている消費税造反組が、この修正特例公債法でまた造反ということになると、オリンピックではないけれども、彼らは既にイエローカード1枚ですから、今度はレッドカードで即退場と言うことになるのではないかと思います。
もし、特例公債法の採決が強行されて再び民主党から造反が出た場合、これに対して民主党がどう対処するのか、キチンと見極めた上で一体改革法案をはじめ今後の対応を我々としても改めて検討しなければならないと思っています。
民主党の執行部は、こういった状況について正しい認識を持って特例公債法の審議・採決を進めようとしているのか甚だ疑問です。まさに民主党の国会運営の稚拙さが表れている典型例ではないかと思っています。「どうぞご自由に。責任は皆さんでお取り下さい。」このように申し上げたいと思います。

 

【質問】

 昨日行われました山口県知事選の結果についての受け止めをお聞かせ願います。

 

【回答】

 自民・公明が推薦する山本繁太郎候補が当選することが出来ました。一部では既成政党と第三極との戦いの構図だったとも言われますが、自民党と民主党の知事選対応は全く違っていて、自民党は山本候補を明確に推薦、そして全面的に支援しました。これに対して、与党の民主党は沖縄知事選、東京都知事選に続いて今回も自主投票という極めて中途半端な対応で、やったことと言えば選挙にオスプレイの混乱を持ち込んだだけです。政権与党としての選挙対応が全く出来ていない、来るべき総選挙にも大きな影響が出るのではないかと思います。
知事選は、実質的には山本候補と反原発を掲げる飯田候補との一騎討ちになりましたが、民主党が候補者を出さない中で、なぜか政権批判まで山本候補が被るという形にもなってしまいました。それでも山本候補が勝利したことは、地方が雇用問題や防災対策、医療・福祉問題など様々な問題に直面している中で、反原発を訴えるだけのシングルイシューでは有権者の共感は得られないという結果であったと思います。

 

 

【質問】

 関連してですが、今回の選挙戦の結果が、総選挙の時期とかそういったものに対して、どのような影響を与えると考えますでしょうか。全般的な影響ですね。

 

【回答】

 この知事選の結果そのものが、選挙の時期を左右するとは考えていません。いずれにしても民主党は選挙をやっても、国会運営をやっても政権運営の体をなしていない。このことだけは明らかだと思います。

 

 

 

【質問】

 参議院の長谷川大紋議員が自民党と統一会派になるとの話がありますけれども、仮の話で恐縮ですけれども、仮に復帰した場合にはあと1議席で民主党が第1会派から滑り落ちることになります。これは衆院解散の戦略に与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。

 

【回答】

 参議院の第一党が交代することが直ぐに何かの引き金を引くといった事にはならないと思います。けれども、まさに与野党で力関係が逆転するという象徴的な出来事にはなります。おそらく、民主党が参議院において第一党から転げ落ちることと一体改革の採決の時期が重なってくる。その意味では、当然衆議院側にも影響が出てきて、野田政権としての体力は更に落ちることになると思います。

 

 

 

【質問】

 先程の特例公債法に戻りますが、一方、参院の一体改革特委が先程の理事会で、(8月)6・7日の公聴会がセットされ来週中の採決を視野に入れておるようですが、この特例公債法案が追いぬいてやろうと民主党側は考えていますけれども、改めて特例公債法の採決を先にしようとする民主党の国会運営について、どのようにお考えでしょうか。

 

【回答】

 先程も説明したように、この特例公債法は衆議院で通りません。追い越すにも、次の列車に乗れません。このことをきちんと理解された方がいいと思います。つまり、この特例公債法は予算の裏打ちをする財源ですから、24年度予算に反対した野党はどう考えても反対とならざるを得ない。今回のつなぎ国債の償還財源は税制抜本改革による消費税の増収です。そうすると、消費税の引き上げに反対した小沢さんのグループ、鳩山さんのグループは賛成できないと思います。消費税法に賛成したのは与党側で220名。220名では可決できないことになります。

 

 

 

【質問】

 参院一体特での採決の環境が来週にも整うと思いますが、来週中の採決ということについては。

 

【回答】

 今週で審議時間がおそらく70時間を超えると思います。相当な議論を重ねているわけで、熟議をつくした上でタイミングがきたら採決を行うというのが国会のルールですので、粛々と進めて頂きたいと思います。

 

 

 

【質問】

 消費増税と公共事業の関係ですが、増税分は社会保障に充てることで財政的な余裕が出来た分を公共事業に充てるということについて、財政再建につながらないという意見もあり、民主党の前原政調会長は自民党の国土強靭化法案を念頭に公共事業のバラマキ、先祖返りだけは絶対にさせないとおっしゃっていますが、そのことについてどう思われますか。

 

【回答】

 八ッ場ダムを中止すると公約しながら今年から本体工事の着工に入っている政党にそんな批判をされるいわれは無いと思います。
国土強靭化の政策、これはまさに様々な災害から人の命を守る、これはインフラの整備だけではありません。情報通信網の問題、そして耐震化の問題、さらには災害時のエネルギー供給の問題、そして病院など医療サービスをどう提供するか、そして地域のコミュニティの再生、様々なソフトな政策も組み合わせて全体としての災害に強い日本をつくる政策であると考えています。
消費税の増税分はもちろん社会保障関係費に全て充当致します。その上で、この国土強靭化の予算はまだいくらかかるということは全く決まっておりません。法律の中にもあるように、基本計画の中で定めていくことになると思います。そしてこれが既存の一般歳出にはめり込まない形の新しい財源のあり方を早々に発表したいと思っています。

 

 

 

【質問】

 冒頭に戻るんですが、山口の知事選の結果ですね、むしろ与党側からこれでは総選挙を戦いにくいなという声が早くも漏れていますが、早期解散を求めている自民党としてどう分析をされますか。

 

【回答】

 今、政治の局面は野田政権がいつ解散のタイミングを決めるかというより、一体改革も特例公債も与党単独では政治が全く動かせないという状況にあるということです。特例公債法が成立しないと秋には予算の財源が枯渇します。ジェット燃料が底を尽くわけですから、野田さんが操縦している政権交代号、この航続距離も限界にきます。ソフトランディングしたいのなら協力しますが、さもなければ失速か、ハードランディングしかありません。

 

 

 

【質問】

 与党単独で政治が動かせない状況とおっしゃいましたが、今国会で成立していない法案というのが60本ほど残っているわけですが、この原因をどうご覧になっていますか。

 

【回答】

 もっと早い段階で手順を踏んで、やるべきことを進めていればこんなことにはならなかったと思います。最低限必要なことについては、協力をしますけれど、これからまさに政局も緊迫してくるわけで、一番大切なものについては政治全体を見通した中で、我々の対応を決めていきたいと思います。

 

 

 

【質問】

 大阪都構想法案についてですが、明日審議入りし、今国会中に成立する見通しですが、改めて大阪維新の会との連携についてどうお考えになっているか。

 

【回答】

 この法案は元々維新の会からの提案も受けて、大都市における二重行政のあり方等々、我々も検討した結果、必要な法案だということで五党で合意した法案ですから速やかに成立させたいと思っています。そして、こういった地方制度、将来的な道州制等々について維新の会と意見が一致する部分があると思っています。ただその一方で、それ以外の政策については維新の会の考え方は具体的な政策というよりはどちらかというとキャッチフレーズといったレベルですから、早く具体的な政策に落としてもらい、我々と一致するのか、考えが違うのか見極められる状況を作って頂きたいと思います。

 

 

 

【質問】

 改めて特例公債の話ですが、構造的にもはや可決できない状況になっているということですが、1つは採決を強行して否決された場合、衆議院で否決された場合に野田政権はどう対応すべきと考えますか。また逆に、否決を恐れてまたズルズル採決をしないという状況も考えられますが、この場合の自民党の対応をお教え願います。

 

【回答】

 この法案が可決できないことは、よく考えれば分かるはずです。そういったことも考えずにこの法案を参議院に送りたいと考えた執行部の責任問題だと思います。否決されたら、それは執行部として責任をとるべきだと思います。

 

 

 

【質問】

 マイナンバー法案についてですが、一部で三党で修正合意したとあり、8月中旬にも成立というような報道もありましたが、今の状況をお教え願います。

 

【回答】

 マイナンバー法案については、まだ与野党の修正協議は正式にはスタートしていません。この法案については、まず自民党としては、党内手続きを粛々と進めたいと思います。その上で、一体改革とも関連する法案でありますから、一体改革法案の参議院での審議スケジュールも睨みながら与野党協議をどうするかを考えたいと思います。

 

 

 

【質問】

 一体改革の法案ですが、自民党の谷垣総裁も公明党の山口代表もお盆前の採決が望ましいと確認なり言及されていますが、会長自身も審議時間や流れも見ながらお盆前が望ましいと思われますか。

 

【回答】

 望ましいというか、それが当然のことだと思っています。審議が70時間を今週で超える、少数会派にも相当な時間を与えながら議論をしてきたと伺っています。機が熟したら採決をするのは当然のことです。