テレビ出演・記者会見 テレビ出演・記者会見

茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

平成25年8月27日(火)
10:49~11:07
於:記者会見室

(冒頭発言)

 

 おはようございます。私から簡単に二点まず御報告を申し上げます。

 

【ブルネイ・ミャンマー出張】
 まず先週の海外出張の関係ですが、先週の月曜日19日から水曜日21日までブルネイで開催されました、日ASEAN経済大臣会合を含みます五つの多国間会合に出席をいたしました。また議長国のブルネイを始めとする8カ国の経済大臣とのバイ会談も実施をいたしました。今般のASEAN経済大臣関連会合では、RCEPについて今後の進め方について合意をいたしました。また、ERIAを活用しつつ、地域大の産業育成戦略を策定すること、年末の日ASEAN40周年特別首脳会議に合わせて、経済関係大臣及び産業界が参加をする記念経済フォーラムを開催することに合意をいたしました。
 また、ミャンマーには、木曜日22日から金曜23日にかけて訪問いたしまして、テイン・セイン大統領を初めとする5名の政府要人との会談を実施し、ミャンマーにおけるインフラの整備等、協力関係の強化について議論を深めました。さらに、ヤンゴンで中小企業海外展開現地支援プラットフォームの発足式を実施するとともに、ティラワの経済特区の視察を行いました。一連の訪問を通じて、新興国戦略に基づき、日ASEAN協力の深化、そしてASEAN各国等との二国間関係の強化、ミャンマーとの経済関係の強化に取り組んでまいりました。

 

【福島出張】
 もう一点、昨日福島に出張いたしまして、廃炉、そして汚染水対策の主要現場を視察いたしました。視察では、4号機の原子炉建屋の最上階に上りまして、使用済みプールから燃料取り出しに向けた燃料取り扱い機の設置を確認いたしました。1月に視察をしたときと比べると、機材等も入り、準備は進んでおりまして、燃料の取り出し、1カ月程度前倒しできると思っているところです。
 また、水ガラスによります地盤改良の現場も見ましたが、現場の前の海水の濃度の上昇は抑制されつつあるなど、早速一定の結果も出始めていると考えております。
 一方、今回の汚染水のタンクからの漏えいについては、これまでの地下水の汚染の問題とは異なっておりまして、構造的問題というより、弁の管理やパトロールなどタンクの管理をしっかり行ってこなかったことに大きな問題があると考えております。今回の事態を受けて、汚染水のタンクからの漏えい対策として五つの項目について東電の広瀬社長の方に現地で指示を出したところであります。
 一方、汚染水対策そのもの、これは廃炉に向けた取組と切り離せない極めて重要な課題であります。東電任せではその解決は困難でありまして、国が前面に出る必要を感じました。具体的には体制の強化の問題、そして費用の問題があるわけですが、経済産業省として、まず体制を強化して取り組むことといたしました。局長級の汚染水特別対策監を新設いたします。また、福島の現地においても、本省の参事官級の職員を常駐させるなど現行の体制の強化を早急に行ってまいります。
 また、費用ですが、凍土方式の陸側遮水壁等、緊急性があって技術的難易度の高いものについて予備費の活用を含め財政的措置につきまして、国としてしっかりと進めてまいります。
 また、汚染水対策とは全く別ですが、昨日福島県いわき市におきまして、“ちいさな企業”成長本部を開催いたしました。被災地の中小企業、小規模事業者の方々が果敢に事業再生に取り組んでいる様子を実感いたしました。国としても一日も早い復旧・復興に向けて支援を着実に講じてまいりたいと考えております。

 私から、以上です。

 

 

(質疑応答)


【汚染水対策】
Q: 福島第一の汚染水対策の件ですが、予備費の活用も含めて国として積極的に前に出ていかれるということだと思うんですけれども、例えば、次の凍土に続く対策とかを時期的なめどとか、その辺はございますでしょうか。

 

A: できるだけ早急に詰めたいと思っております。そして申し上げたように、緊急性の高い案件について措置をしていくということになりますから、それほど時期的には遅れないと思いますが、財政当局とも詰めたいと思っております。

 

 

【事故処理の役割分担】
Q: 次に、福島の事故処理の問題というのは、東京電力が事故を起こした責任ということもあって、これまで東京電力が費用も含めて負担していくということになったんですが、今回国が前面に出るということで、東電と国の事故の責任の分担のあり方とか、そこまでも今後検討されていくというお考えはございますでしょうか。

 

A: 例えば、廃炉につきましては、基本的な廃炉の作業、これは事業者として責任を持ってやってもらわなければなりません。ただ、これはこれまでに無い新しいさまざまな課題を抱えております。モックアップ施設をつくる、遠隔ロボットの開発等研究開発に係る部分、そして、今後いろいろな形で汎用がきく部分、こういったものについては、国が担当する。こういった役割分担をしていきたいと思っております。
 そして、汚染水。基本的な出入りのオペレーション、これは東電にしっかりやってもらわなければならない。しっかりやってもらうのが当たり前。それができていない点については、昨日きちんと指示も出させていただきました。
 ただ、この汚染水問題、御案内のとおり、阿武隈山系から建屋内だけでも毎日400立米の地下水が流入をしてくると。そして、周辺も含めますと1,000立米の地下水が流入をしてくる。これそのものがなくなるわけではありません。そして、これをどう止めていくかということになりますと、陸側の遮断壁、さらには敷地内、建屋近くのドレンによる水のくみ出し、そしてまた水ガラスによる地盤の改良、海側の遮断壁と、さまざまな対応をとっていかねばならない。そして、またALPSによる放射性物質の軽減と、こういったことも図っていかなければならない。廃炉を進める上でも緊急な課題があります。そして、技術的に困難な問題もあります。東電に任せていて進まないことについては、国がきちんと前に出てやっていく、こういう役割分担を考えております。

 

 

【エネルギー基本計画】
Q: 次に、エネルギー基本計画ですけれども、本日、また総合エネルギー調査会が開かれて議論が行われますが、年末に向けて電源のベストミックスの数字というのはいろいろ議論があると思いますけれども、原発の位置づけについては、どこまで議論を進めていってもらいたいというふうに大臣お考えでいらっしゃいますか。

 

A: エネルギーの基本政策、これは中長期的な方向を示すというのが基本でして、現在総合エネルギー調査会の基本分科会において議論を進めていただいております。
 今日も分科会開催されますが、これまで月一遍程度の開催であったのを9月、10月とそれぞれ3回程度分科会を開催して、年内の取りまとめに向けて議論を加速してまいりたいと思っております。
 ベストミックスそのものを数字として決めるということが必ずしも最終的な目標ではないと思っております。
 ただ、それぞれのエネルギー源の特徴ですとか、今後の見通し等々については、このエネルギー基本計画の中に書き込めればと思っております。

 

 

【事故処理の役割分担】
Q: 福島第一原発の国の分担についてもう少しお伺いしたいと思って今手を挙げたんですけれども、R&Dは国の分担であるということで、今までも研究開発というのは国の費用でやってこられたわけですよね。そうるすと、今回国が改めて国が前面に出て予算措置もというのが、とりわけどういう点がこれまでに比べて前面に出ることになるのか、もう少し詳しくお話しいただけませんか。

 

A: まず廃炉、それから汚染水の構造的な問題、それから今回のタンクからの漏えい問題、関係はしておりますけれども、それぞれ別の問題です。
 そして、まず廃炉についてですけれども、これは事故の発生から約2年間、民主党政権において対策はとられてきませんでした。我々が政権を担ってすぐに平成24年度の補正、そして25年度予算、これにおいて900億円超の予算を計上して研究開発、モックアップ施設や、遠隔ロボットの問題に取り組むことにいたしました。そういった意味で、これまでも研究開発をやってきたということについては、若干認識が違うと思っております。やってこなかったのです、民主党政権は2年間。事実として。
 そして、汚染水の対策の件は構造的な問題と先ほど申し上げたタンクからの漏えいです。言ってみますと、管理体制の問題です。管理体制の問題については、事業者としてしっかり取り組む必要があります。そのために五つの指示を昨日出し、早速東電としても広瀬社長を本部長とする本部を昨日立ち上げ、現地での体制も強化するということにしたという報告を受けております。
 そして、汚染水の構造的な問題、これについては先ほど申し上げたような形で緊急性、そして技術的に困難な問題については国が一歩前に出るという役割分担をさせていただきました。

 

 

【汚染水対策】
Q: 今のと関連して聞きます。今回7月下旬以降に国としてもいろいろやるという動きが、原子力規制委員会もそうですが、その辺から目に見えた取組が行われたと思うんですけれども、この原発のいろいろな問題というのはずっとこの一年間ぐらいいろいろな問題が起きてきて、今に始まったことではなくて、いつかこうなるだろうということはいろいろな記者の方が質問されておりました。このタイミングで出た。もちろん、いいこともあるんでしょうけれども、もっと早くからどうしてできなかったのかというあたり、大臣としてはどういうふうに押さえているんですか。

 

A: 民主党政権時代になぜ対策がとられなかったのか、このことについては民主党にぜひお聞きをいただきたい。私に聞かれても分かりません。
 廃炉については、政権についてすぐに予算措置等々を行いました。そして、汚染水対策についても汚染水処理対策委員会を我々が政権をとってから立ち上げ、6月には緊急対策、そして抜本対策といった対策も取りまとめました。
 その中には、当然現状を見るために地下水の状況がどうなっている、何をやらなければならない、ということもあり、若干の時間はかかりましたが、6月までにはまとめました。民主党が2年かかって何もやらなかったことを半年以内でまとめました。そして、着実に今、陸側の遮断壁についてのフィージビリティースタディーに入っています。遅いと言えば遅いかもしれません。しかし、前政権と比べたら圧倒的なスピードで、また圧倒的な責任感でこの問題に取り組んでいると、こういう自負を我々は持っております。

 

Q: 要するに、基本的にぬかりというか、そういう手落ちとか不備とか、そういうものはなかったという御認識でよろしいですか。大臣になってから。

 

A: いつの時代の話をされているのでしょうか。

 

Q: 6月に取りまとめたということですけれども、その守備としては、もうやるべきことはやったという御認識でよろしいでしょうか。

 

A: この間も申し上げましたけれども、こういう問題、自然との戦いの部分もあります。今回タンクに対する管理は不備だった。想定できないような問題も起こる可能性ありますけれども、現時点で起こり得ること、それについては相当な議論を行い、緊急対策、そして抜本対策まとめたつもりであります。ただ、事象が変化したら、それに合わせて新たな対策もとっていきたいと考えております。

 

Q: タンクの漏えいの問題なのですが、先ほど来も大臣は管理体制の問題、それからヒューマンエラーの問題を指摘されていますけれども、それと、

 

A: 「ヒューマンエラー」と言っていません。ヒューマンエラーというのは、例えば見回りに来た人が漏れているのに、それを見逃した、こういうものがヒューマンエラーです。「ヒューマンエラー」という表現は私は使っておりません。

 

Q: では、管理体制の問題とおっしゃいましたけれども、その管理体制の問題というのは何に起因するとお考えでしょうか。例えば、東電の汚染水に対する意識の低さですとか、人員配置の問題ですとか、いろいろ考えられると思うんですが、大臣のお考えをお尋ねしたいんですが。

 

A: 汚染水対策全体について、やはり後手後手に回ってきた、モグラたたきのような状況が続いてきたと、こういったことは否めないのではないかなと思っております。やればできることがきちんとできてこなかった。結果として見ると、そういうことなのではないか と私は思います。見回りも1日2回、これが4回であったら状況は変わっていた可能性もあります。弁についても通常閉じるという運用をしていれば状況が変わっていた可能性もあります。更に、この見回りの結果についても「異常なし」と、こういう定性的な表現ではなくて、具体的な数値も入れた記録を残していれば状況が変わっていた可能性というのもあります。そして、古いタンクについて、その底部の強化について早目に対策を打っていたら、ここでも状況は変わっていた可能性というのはあるのでしょう。そういったことは私は事業者としてやり得ることだと思っています。こういったことをしっかりやってほしいということから、昨日五つの指示を出させていただきました。

 

 

(以 上)